見出し画像

シン・長田を彩るプレイヤー~アートを紐解いていく抽象画家~(後編)

今回のインタビューは長田を拠点に活動されている抽象画家のCBAさんです。
前編ではCBAさんと抽象画の出会いについてお話を伺い、作品の楽しみ方も直接レクチャーしていただきました。
後編ではCBAさんと長田との関わり、抽象画への思いについて探っていきたいと思います!

アートで出会う長田

-記者-
長田に来られたきっかけについて教えてください。

-CBAさん-
神戸のアーティスト助成制度*の対象エリアだったんですよ。
(※現在募集終了)

-記者-
そうだったんですね!
アーティストとして、いち市民として暮らしていく上で長田にこうあってほしいなって求めていることはありますか?

-CBAさん-
以前はあったんですが、長田はやっぱり長田なんですよ。だから求めるのではなく、僕も含めてみんなで変わっていけばいいと思ってます。

僕の願いは僕が達成すればいいし、まちの方に要求することではないなと。そのままを受け入れて、その地域の発展に協力出来る事があれば参加すると言う気持ちです。

-記者-
そのままの長田というと、親しみやすいところとかでしょうか?

-CBAさん-
そうですね、たまに飲みに行ったら知り合いでもないのにすぐいじられて(笑)

-記者-
長田区長と知り合ったのもお酒の席がきっかけですか?

-CBAさん-
どうやったかなー。とにかく「区長に会ってみたら?」っていうのは来た当初から言われてたんですが、ビーチサンダルの仕事のときに紹介してもらいました。

(区長室に飾られているコラボビーチサンダル、CBAさんデザインは右奥。詳細はこちら。)

-記者-
ビーチサンダルがきっかけだったんですね。ビーチサンダルのデザインはなにか区長側からの要望はあったんですか?

-CBAさん-
紹介してくれたDORの岩本さんが、「普段通りのテイストで作って欲しい」と。だから5パターン作ってその中から3パターン選んでもらいました。全面的に受け入れて頂いて有難いお仕事でした。

-記者-
ビーチサンダルのために描いたデザインというよりは、自由に描いたものがビーチサンダルになったという感じですか?

-CBAさん-
いえいえ、ビーチサンダルのために素材を全部用意して、デザインしたんですよ。

-記者-
そうだったんですね。ふと思ったのですが、それはCBAさんの信念とは異なる、型にはまったデザインということにはならないですか?

-CBAさん-
決められた枠の中でやるということは普段絵を描いてるのとは違うんじゃないかって質問だと思うんですけど、実はそれはできるんです

僕も枠を意識して寄せていく事は、この時もしているんです。5点仕上げた中にはかなり枠に寄せたデザイン案もあったのですが、それは選ばれなかった(笑)

僕の提案に対して色んなジャッジが入って、自分が見つけたバランスが崩れていくのが恐怖なんです。せっかく整合感が出たのに、その調和が奪われていくっていうのがすごいストレスで。ビーチサンダルの時はそれが全くなかったんですよ。

アートってチャレンジ

-記者-
ビーチサンダルのデザインと普段描かれる抽象画のテイストがかなり異なるように感じますが、ビーチサンダルのようなデザインの抽象画は描かれないんですか?

-CBAさん-
やっぱりビーチサンダルの場合はデザイン寄りに脳をシフトさせてます。情報をどういう風にバランスをとるかっていう技術は持ってるので。

だけど絵画の場合は、僕の中でのチャレンジがあって、そこがポップじゃなくなっていく部分だと思うんですよね。

誰もしていないことをすると、一緒に淀みも入ってくるでしょ?だって、新しい音楽って一瞬「ええっ??」ってなりません?

-記者-
なります、よく分からない…って。

-CBAさん-
どう受け止めたらいいか分からないでしょ?それが馴染んできたら「あぁ~そういうことやったんか~」ってなるけど。なんていうのかな、突然変異的なものって人間はポップに感じることが出来ない。

だけど、アーティストって常にそういう突然変異的なもんも生み出す事を求められる。というか、やってたらそうなってしまう。

ここがまた難しいところやけど、それをどこまで“削ぎ落とすのか”っていうのが個人的に肝になってます。出てきたエッセンスをどれだけ磨いたらいいのか…ね。

ゴツいのに、ポップ

-記者-
今後の目標などはありますか?

-CBAさん-
大きなものを描いてみたいですね、まずは。例えばこの前、市の庁舎を壊すときあそこにでっかい絵*を描いてたのあったじゃないですか。あんなんやってみたいなって思いますね!
(※2020年8月14日神戸新聞/解体される神戸市役所2号館最後の壁画が完成
(※KOBE CREATORS NOTE

海外展示は去年やって、今年も引き続きやっていきたいけど、今年出来るかな…って感じなんですよね。

あとは、さっき言ったように“削ぎ落として”いきたい。「バーン!」とこう伸びあがってるポップさ、そういうのが出てこないかな~って。ゴツいのに、はみ出てるのにポップ…みたいな。

-記者-
見てみたいですね!

-CBAさん-
でしょう?僕も(笑)

抽象画家として生きていく

-記者-
芸術って言葉に出来ないんじゃないかって思ってたんですけど、凄く科学的だと感じました。CBAさんは芸術を言語化、視覚化するのが得意なんですね。

-CBAさん-
それは努力してきましたよ。さきほど(前編)も話しましたけど、「どう理解したらいいんだ?」って答えを探してる方が結構いらっしゃるんです。そこってもしかしたら誰もやってないポジションなんじゃないかなと思ってやり始めたのがきっかけで。

そういうことがあったからアートを科学的に説明できるんだと思います。たまに「腑に落ちた!」って仰ってくださる方もいて。そういうところでもちょっと味を占めて(笑)、もっとやってみようかなと思うようになりましたよね。

-記者-
そうなんですね!
では最後に、CBAさんにとって、抽象画とはなんですか?

-CBAさん-
やっぱり生きる理由かな。デザインの先にアートがあると思ってここへ来たので、これがあるから辛いことがあっても生きていこうかなって思う理由になってます。

僕の生きる居場所、誰に認めてもらえなくてもここで何かつくり続けることで、誰かが気にしてくれている。そういう「存在を確認できる場所」ですね。

-記者-
つまりアイデンティティ、自己同一性ということでしょうか?

-CBAさん-
そうですね。こういう場所があってよかったなって思いますね!

-記者-
たくさんの貴重なお話をいただきありがとうございました!!

-CBAさん-
こちらこそ、ありがとうございました!

CBAさんの抽象画に対する熱い思いを伺って、わたしたちも質問が止まりませんでした。
CBAさんは身近なものに例えて説明してくださるので、今回のインタビューを通して初心者でも抽象画に親しみを待つことができました。
みなさんにも少しでも抽象画を身近に感じてもらえたらなと思います!
(編集:Hanana・みっちゃん)