「新長田を彩るプレイヤー ~スタッフと創る、地域に根付く図書館を目指して~」-Part3-
新長田図書館 前館長 Nさん
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-記者-
働いていて、楽しいなって思う瞬間はいつですか?
-Nさん-
私はまだ館長になってからそんなには経っていないのですが、スタッフの頃は、やっぱり自分の考えた企画
とかサービスで、お客さんが「面白い」と思ってくれるのがうれしかったですね
館長になってからは、「自分が」っていうよりは、利用者の方が満足してくださるのはもちろんですが、スタッフがみずから発信して、図書館をより活かす何かをしてくれる時が楽しいですね
自分が考えてもいなかったような図書館を使った利用者サービスを、スタッフが考えてくれたら、ほんと楽しいですよ
今ってコロナで、ひとつのところに集まるとか出かけるとか、そういうこと自体が難しい状況じゃないですか
その困難を抱えてるっていうのは、図書館にとっても同じで
でも、図書館が置かれているこの状況をプラスにするような何かを、しかもそれが、スタッフが心から面白いと思うことを出してきてくれた時が、めちゃくちゃうれしいですね
今はスタッフが利用者のこと、図書館のことを考えて、「自分にできることはなんやろ?」「自分がこれが面白いと思えることってなんやろ?」って考えて、素敵なアイデアを出してきてくれた時に、「ほんまこの仕事してて良かったな」って思いますね
あとは、カウンターでのスタッフのお客様に対する細かい気づかいとか、図書館の入口に置いてあるチラシを綺麗に並べてくれてるとか、事務所の中で作業しながらスタッフがちゃんと声を掛け合って仕事を進めてくれてるのとか、そういう些細なことのひとつひとつを見るたびに、「良かったな」って思いますね
-記者-
新長田ってどういったところだと思いますか?
-Nさん-
新長田って、やっぱり、人のつながりが今もちゃんと生きているところじゃないですかね
-記者-
なるほど
-Nさん-
もちろん、いろんな生活している方がいらっしゃるから、誰もがうまくつながれているかといったら、なかなかそんなことはないんでしょうけど
でも、そのまだつながっていないところも、長田に長く住めば、いつかなんか引っ掛かってくる網は結構いろんなところにあるような気がしますね
新長田は他の街に比べると、まだ、その網が破れてない感じがしますね
-記者-
いろんな世代の人が、別に壁もなく話している印象が商店街であって
-Nさん-
本当にそうですね、それは思います
どの世代であっても、新長田に住んでいたら、まず壁を乗り越える第一段階はクリアみたいな、そんな感じはしますね
都会のど真ん中やとどうしても、やっぱり、なんか用事があってとか、仕事しにきててとか、たまたま今ここにきていますって感じだと思うんですけど
新長田ってその辺に歩いてはる人は、十中八九、ここに住んでる人やないですか(笑)
ここには三宮みたいな魅力はないかもしれんけど、でも長田に来れば、逆に三宮にはない濃い魅力や面白いところは結構あったりするやないですか
-記者-
ディープな感じですよね
-Nさん-
ええ、たぶん神戸でいちばんのディープな感じですよね(笑)
-記者-
館長にとって新長田図書館に限らず、「図書館」とはどういう場所ですか?
また、この新長田の街での新長田図書館って立場や今後発信したいことがあれば教えていただきたいです
-Nさん-
そうですね、公共って言葉はよく使われますけど、公共って暮らしの中で、なかなか具体的にイメージしにくいじゃないですか
図書館って、原則として、どなたでも無料で利用していただけるんですよ
ときどき、初めてご来館いただいて、図書館の利用券を作ってくださった利用者の方から、「利用料はいくらですか?」って言われて、「無料なんです」ってお伝えしたら「そうなんや!」って驚かれることもあって
これはほんまに、図書館で働いている私たちとしては、もっと頑張らなあかんところで、こちらが当たり前だと思ってることが、まだちゃんと市民のみなさんには、うまく伝わってないってことですから
そのために、図書館ってこんなところで、こういういろいろなサービスをしていますよ、っていうのをもっと知ってもらえるように、「しんながた図書館だより」っていうスタッフ全員でコラムを書いてる広報紙も発行したりしています
だから、図書館っていうのは、公共性っていうものを誰もが実感でき、かつそれを具体的に使ってもらえる場所な気がしますね
-記者-
みんなに使ってもらえるからこそ、公共なわけですもんね
-Nさん-
そうですね
それと、いつもスタッフにもよく言うんですけど、これから新長田図書館は、どんどん街の外に出ていくし、新長田の街がどんどん図書館の中に入ってくるようにしてゆきたいと思ってて
なんかそういう積み重ねで、本当に地元の図書館になっていけたらなって
-記者-
来たら交流できる場ですね
-Nさん-
そうですそうです、本当に!
地域の人との交流もなんですけど、図書館ってやっぱり本がベースにあるんで
今って、何かあったらまずインターネットで調べるじゃないですか
それは図書館で働いている私たちも一緒なんですが
でも、ネットの情報っていうのは誰かがアップしてるものなので、ソースとして不確かな時もあったりしますよね
本にも、残念ながら不確かな調査で作られちゃったものも皆無ではないけれど、やっぱり世に出るまでに何人かの人間のチェックを経てるんでミスも少ないし
図書館なら同じジャンルの本を他にもたくさん所蔵しているので、それぞれを手に取って、読み比べて、貸出することもできるんですよ
自分自身の中で、本を通して、古今東西の他人と交流することもできる、その入り口になるのが図書館だと思ってます
そういう意味でも、ここは長田の図書館ですから、長田っていう地域に根付いていきたいってのが一番ですかね
-記者-
「地域に根付く図書館」素敵です!
ありがとうございました
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