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パワハラの時代の終焉

映画館アップリンク社長のハラスメント問題で思い出したこと。

映像業界、昔は威圧的な態度や不機嫌を撒き散らすことによって周りの人を服従させようとする偉い人がいました。ADをみんなの前で怒鳴りつけて走らせ、憂さ晴らしをしている人も見ました。僕も事務所に呼び出されて「お前、刺されるぞ」と脅されたことがあります。

当時は若かったので、「何てひどい業界なんだ」と絶望しかけましたが、距離を置いていろいろな作品や会社に関わるようになると、ほとんどは素敵な方々ばかりだとわかり、最近ではそういうタイプの人にはほとんど会わなくなりました。

かつて尊敬する脚本家の方に教えられたことがあります。

「機嫌のいい人でいなさい」

機嫌の良さは、人生を切り拓く最良の武器。不機嫌を巻き散らして周りを服従させるタイプの人は、己の無能さをアピールしているだけ。それって最悪のタイプのハラスメントだと思います。

しかしながら、このタイプの人のパワハラを「治す」のは、並大抵のことではないはずです。記事によると、これまでも何度も「それはパワハラです」と従業員から指摘され、理解したつもりだったけれど改善できなかった、とのこと。

「パワハラだ」と言われて、仮にその言葉と意味が理解できたとしても、己の言動を抑え込めるかどうか、ということは別問題だから厄介です。パワハラは大概、本人が「それが正しいやり方である」という無意識の信念のもと、ある時は「善意」や「思いやり」の下に行っている言動です。

数十年間、無意識的に続けてきた言動、性格、態度、仕事のやり方を、ある日突然別人のように変革することは、ほとんど不可能です。

周囲の人にとっても、「他人を変える」なんて土台無理。何年もかけて、いや、一生を費やして、本人が専門家の力を借りながら意識改革やカウンセリングに地道に取り組まない限りは、不可能なことでしょう。ひょっとすると、一生かけても根本的には変われないかもしれない。

そこまでしてこの社長がこのまま社長に居座り続けなければならないのか、という問題もありますが、記事を読む限り、どうやらこれからも社長で居座り続けない限り、アップリンクは存続できないのでしょう。

威圧的態度や不機嫌な言動によって周りを服従させるタイプの人が一掃されることを心から願います。

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