ペット目線のハウスクリーニングで、人もペットも安心して暮らせる「住環境フローラ」を実現しよう
■新聞配達業を通じて見えてきた「地域の課題」
小林:本川さんとは、ある勉強会で知り合いました。第一印象は「変なTシャツを着ている人」だったな~(笑)。
本川:よく言われます(笑)。僕としては、自分の持っている200枚のTシャツの中から、その時々のTPOにぴったりの1枚、名付けて「TPOTシャツ」を厳選して着ているつもりなんですけど…。今日は、ペット家庭専用のハウスクリーニングのお話をするので、そのTシャツを着てきました。
小林:え、200枚も持ってるの(笑)!?
本川:はい、TPOTシャツのインスタもやってるので、ぜひ覗いてみて下さい(笑)。
小林:ほんとに面白い人だけど、本川さんって仕事はすごくまじめですよね。もともと新聞販売店を営んでいたと聞いたときは、驚きました。あの仕事は本当に大変で、並大抵の人には務まりませんから。
本川:はい、23歳で新聞配達の仕事を始め、30歳過ぎたころに新聞販売店を創業、2020年に後継者に店の経営をバトンタッチするまで20年以上にわたって、大阪市内で新聞販売業に従事していました。おっしゃるとおり、新聞配達は大変な仕事ですが、その分とてもやりがいのある仕事なんですよ。なんといっても地域の皆さんと深いお付き合いができますから。20年のうち後半は他の事業も手掛けていましたが、それらの事業のほとんどは新聞販売業で得た地域とのつながりから生まれたものです。
たとえば、2014年にスタートした「いえサポ!」という事業は、地域の皆さんの「困りごと」をサポートする事業なのですが、もともとは高齢の購読者さんから「家具を移動したいけど、重くてできない」とか「電球の取り換えができない」とか「足が痛くて買い物に行けない」といった小さな困りごとをボランティア価格で解決する活動から始まったものです。「いえサポ!」は予想以上に大きな反響を呼び、年間1000件以上のご依頼をいただくようになりました。すると、購読者の皆さんを中心に「何か困ったことがあったら、Snailtrackさんに相談してみよう」という感じになってきたんですね。その中で一番多いお悩みが「掃除」だったので、より専門的に掃除ができるスタッフを育成した上で、ハウスクリーニングに特化した「いえサポ!プロ」という事業を始めました。
■ペットに特化したハウスクリーニングを始めた理由は?
小林:なるほど、そうだったんですね。2021年には「いえサポ!プロ」とは別に、ペットのいる家に特化したハウスクリーニング「アニマルフレンドリー」をスタートされましたね。別事業化したということは、やはりペット家庭からのニーズが多かったからですか?
本川:もちろん、それもあるのですが、一番の理由は「動物が好きだから!」ですね(笑)。偶然にも「いえサポ!プロ」のスタッフには僕を含め動物好きが多くて、動物関係の資格を保有している者もいるので、ペットのいるご家庭のクリーニングに行くときは、作業の前後にペットと触れ合うのが秘かな楽しみなんですよね。
でも、実際にお邪魔すると、ペットたちはケージの中に入れられていることが多いんです。最初は「掃除の邪魔になると思って、ケージに入れてくださっているのかな」と思っていたのですが、よくよくお話を伺ってみると、「ペットが洗剤を舐めてしまうと、体に悪いんじゃないか」という不安から、ペットをケージに入れる飼い主さんが多いことがわかりました。
小林:一般的なハウスクリーニングでは、かなり強力な洗剤や漂白剤が使われるから、心配になってしまうんでしょうね。強力な洗剤を舐めるのはもちろん危険ですし、皮膚や粘膜に触れると炎症を起こしてしまうおそれもありますよね。においもキツイので、人間の何倍も嗅覚が鋭い動物には想像以上のストレスになっていると思います。
本川:残念ながら、もう劇薬といっても過言ではないような強力な薬品を使うクリーニング業者も普通に存在します。そんな薬品で掃除した家に住むのは動物にはもちろん人間の健康にも良いわけはないですし、自然環境にも大きな負荷を与えてしまいますよね。だったら、僕たちが劇薬を一切使わない、動物にも飼い主さんにも優しいハウスクリーニングを提供しよう!と決意して創業したのが、「アニマルフレンドリー」なんです。
■劇薬を一切使わず、「住環境フローラ」の整うハウスクリーニングを
小林:強い薬品を使うかわりに、どんな手法で汚れをきれいにしているんですか?
本川:従来のハウスクリーニングって、「汚れを界面活性剤で包みこんで、外に流す」という発想のもとに行われてきたんですよ。でも、それだと家の汚れを外に出しているだけで、汚れ自体は分解されてないわけですから、根本的な解決になっていません。むしろ、汚れを洗剤という有害物質と一緒に外に出すことによって、自然環境も汚してしまいます。しかも、強い洗剤は殺菌作用が強すぎて、菌だけでなく、汚れを分解する力を持つ微生物や細菌まで殺してしまうので、住まいから「自浄作用」を奪ってしまうことになります。
そこで、アニマルフレンドリーでは界面活性剤を使わず、代わりに微生物の力で汚れを分解する自然に優しい薬剤を使っています。これなら、汚れを外に流すわけではないので環境に負荷もありませんし、善い菌まで殺してしまわないので、住まいの自浄作用を損なうこともありません。人間の腸も善玉菌と悪玉菌、それと日和見菌がバランスよく共生する「腸内フローラ」の状態を保つのが大切だっていいますよね。家も同じで、屋内を滅菌・殺菌しすぎると自浄作用が失われて、逆に傷みやすくなってしまいます。アニマルフレンドリーでは、単に見た目をきれいにするだけでなく、微生物の力を上手に活用して「住環境フローラ」を整え、自浄作用のある住まいづくりをサポートすることを目標に、ハウスクリーニングに取り組んでいきたいと考えています。そして、ハウスクリーニングを通じて微力ながら飼い主さんとペットの快適で健康な暮らしや、SDGsの実現にも貢献できれば嬉しいですね。
小林:住環境フローラ、素晴らしい考え方ですね!大いに賛同します。今のところ、アニマルフレンドリーは大阪、京都と兵庫県の一部地域のみでの展開ですが、今後はぜひ首都圏にも進出して、私の病院もクリーニングしてほしいです。ペットに有害な洗剤を使っていない業者がクリーニングした病院なら、飼い主さんにより安心してご利用いただけると思います。そのうち「アニマルフレンドリーで清掃しています」というのが、動物病院のアピールポイントになっていくかもしれませんね。本川さん、今日は、貴重なお話をありがとうございました。今後の事業展開に期待しています!