映画『一月の声に歓びを刻め』
北海道洞爺湖の中島、八丈島、大阪の堂島、この三つの島を舞台に、心の傷と罪の意識を負った者が自分と向き合い再生しようとする物語。
昨日に続き2回目の鑑賞。
昨日に比べ、登場人物たちの心の内がより鮮明に想像できた。あくまでも自分の勝手な想像の域を出ないので、自分の心の働きが共感と呼べるか疑問であるが、新しい感情を知ることはできた。
普通の生活を送っているように見える私でも共感できる部分があるということは、自分の内にも傷や罪の意識が少なからず存在するということを自覚させられる。
この映画は、人々の目を自分の心の傷に向けさせ、自分自身と向き合うことで、やがて光を見出すことができるかもしれないことを優しく教えてくれた。私はそのように感じた。
上映後、三島有紀子監督と映画研究者で京都大学教授の木下千花先生のトークイベントが開かれた。
監督の映画への想い、映画の中に出てき「島」や「水」が象徴するものなど、興味深い話を聞くことができ、自分が映画を観て疑問に思っていたことが腑に落ちた。
三島監督、木下先生は、映画の深い内容について、平易な言葉で順序良く筋立てて話されていたので、私のような者にもすんなりと理解できた。賢い方はこういう話し方ができるんだと感心させられた。
お客さんの質問に対しても、その意を真摯にくみ取って、的を射た答えを返されていた。今回お話を聞けて、作品だけでなく三島監督の人柄も好きになった。
最後に、私が思っていた、三つの「島」と監督の名前である三島の関係については、なんの意図もないとのことだった。