ショートストーリー チュロス
雪の結晶を彷彿させる断面。
溝に絡む砂糖。
生地が吸った甘みを感じる油。
テーマパークの定番アイテムは、私を駄目にする。
見たら買う。
それくらい好きなチュロス。
テーマパークにはお馴染みとなったアイテム。
それは、恋人と遊びに行った地元の遊園地にさえあった。
付き合いたてで普段は猫をかぶっていたとはいえ、我慢が出来ずチュロスを何本も食らう私に彼は蒼白していた。
それでも私は嫌いになれない。
彼もチュロスも。
砂糖と油の相性が良すぎるみたいに。
気の合うものとは、私の脳を緩くさせて何も考えなくさせる効果があるのだから。
今は、彼も私の元に帰ってきてチュロスを一緒に食べている。
一緒に生地を練り、一緒に揚げて、一緒に食べる。
週末には必ず作る。
作らないと彼から申し出るくらいになった。
チュロスの美味しさは私を駄目にする。
でも、彼がいるし、チュロスもあるし、何も悪いところはない。
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