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season2-4 初授業
【前回までのあらすじ】
英語が喋れるようになりたくて米兵ご用達のストリップクラブでバーテンのバイトを始めた小橋。
ストリップでアメリカ人とコミュニケーションをとれるようになってきた小橋はさらなる英語力の向上を目指し、米軍基地の中にあるメリーランド大学への編入を決意した。
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初授業の前の顔合わせではみんなの英語力に圧倒された。そんな中、同じぐらいの英語力のたつやさんと仲良くなった。
初授業の時に現れたベリック先生は流暢な日本語で話し始めてびっくりした。
なんだ、意外とうまくいくんじゃないか。
そう思った。
そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれた。
ベリック「今日は、みんながどれぐらい英語ができるのか確認したいと思います。そのために一人ずつ英語で自己紹介していきましょう。名前と年齢、仕事は何をしているか、好きな食べ物やおススメの映画。なんでもいいから自分の事を喋ってくれ。おっと、女性は嫌なら年齢は言わなくていい。その代わりに好きな男性のタイプを教えてくれ。」(日本語)
みんな「Hahaha!」
ベリック先生は日本語ですぐに笑いをとった。さすがだ。日本語なのに笑いの取り方はアメリカ人だ。かっこいい。今考えると、軽い、かる~いセクハラだと思うけど。
そして一人ずつ自己紹介をしていく。まずは僕に最初に話しかけてくれた綺麗なお姉さんが率先して手を挙げた。積極性もある。素晴らしい女性だ。
お姉さん「私の名前はマリ。みんなよろしくね。年齢は秘密だけど、気になる人には後でこっそり好きなタイプは教えてあげる。」(英語)
マリさんの英語は完璧だ。そしてなんかずっとエロい。エロペラペラだ。
マリ「私はカナダで生まれて、15歳で日本に来たの。だから英語は喋れるわ。でも安心して。ここにいるみんなの中には喋れない人もいるだろうから、私が教えてあげる。恥ずかしい事じゃないわ。お互いわからない事があったら協力しましょう。授業が終わった後にご飯でも食べながらね。」(英語)
マリさんはやっぱりエロペラペラだった。「私が教えてあげる。」の時に目があったような気がした。
気がした。
そしてみんなの自己紹介が進んでいく。みんな留学経験があったり、パートナーがアメリカ人だったりした。そして、僕と同じぐらいの英語力のたつやさんの番になった。
たつやさん、頑張って。僕も後から頑張るから。大丈夫。マリさんも言っていたように英語がまだ喋れないのは恥ずかしいことじゃない。そのためにメリーランド大学に入学したんだ。
たつやさん「みなさんこんばんは。僕の名前はたつや。32歳。普段は外資系の会社でサラリーマンをしています。外資系なので英語を使う機会も多く。ビジネスで役立てる為にさらなる英語力の上達を目指して入学しました。このクラスを卒業したらマーケティングについて勉強していきたいと思っています。あ、独身なので恋人も募集しているよ。収入にはちょっとだけ自信があるから気になる人は声かけてね。もちろんジョークさ。」(英語)
・・・くそたつやが。てめえペラペラじゃねーか。おい、話が違うぞ。てめえ俺と同じぐらいの英語力だって言って近づいてきやがって。しかも収入には自信があるっていうジョークまで挟んでついでにモテようとまでしやがって。
おい、収入には自信があるっていった後の「もちろんジョークさ。」についてもっとちゃんと説明しやがれ。みんなは笑ってたけどどこが面白いんだ。何がジョークなんだたつやおい。収入にはホントは自信がないってことなのか?ホントに自信があるのを「ジョーク」だと言ってジョーク風に無理やりしたんだろう。そうなんだろう?ジョークって言えばなんでもジョークになるのか?お笑い舐めてんじゃねえ!ボケるならボケやがれ!ベリック先生みたいに!カマしたつもりなのか?
僕は裏切られたショックのでかさからたつやさんの事をめちゃくちゃ嫌いになった。
くそ、こうなったら俺もちゃんと英語で自己紹介して笑いもたつやの野郎よりとってやる。
幸い僕の出番までまだまだある。僕はノートにペンを走らせた。自己紹介を考えるんだ。多分僕の出番までまだ5分はある。考えろ、考えろ。
気が付いたら僕の前のおばちゃんが自己紹介をしていた。
おばちゃん「えっと、私はあまり英語がしゃべれません。年齢は50歳です。主婦です。すきな食べ物は肉じゃがです。好きな映画は7人の侍です。お団子も好きです。旦那も好きです。子供も好きです。みなさん、初めまして。」(英語)
おばちゃんの英語力は僕以下だった。顔を真っ赤にしながらも頑張って自己紹介をしていた。おばちゃんには申し訳ないけど、僕は安心した。この流れなら僕の自己紹介はそんなにひどくない。普段以上の英語を喋って、その中にボケもいれまくってたつやの度肝を抜いてやろう。そして次にたつやが喋りかけてきたらシカトしてやるんだ。そう決めた。
ベリック「おばちゃん、ありがとう。英語が喋れなくてもいいんだよ。僕やみんなが君のためにいろいろと頑張るよ。だから君はこれから英語がどんどん上手になる。わくわくするだろう?僕らは君に英語を教える。だから君は僕たちに美味しい肉じゃがの作り方を教えてくれ。よし、次はそこの坊やだ。」(英語)
ベリック先生はかっこいい。僕の事を「坊や」みたいなニュアンスで呼んだように聞こえたが、おばちゃんにちゃんと寄り添って優しくコメントしてあげていた。
いよいよ僕の番だ。
僕は考えた文章を、まるでアドリブで喋っているかのように喋り始めた。
僕「やあみんなおはよう!今の時間は夜の8時だね。でもおはようって言ったよ。多分アメリカでは今は朝だろう?ジョークさ。僕の名前は小橋。KOBAHI。a.k.a.コバさ。ブリヂストンって会社があるだろう?ブリヂストンの会社の創業者は石橋さんだってさ。石橋さんの名前を逆にして、ブリッジとストーン。だからブリヂストンなんだって。なぜこの話をしたか気になるだろう?僕の名前を思い出してごらん。そう、小橋さ。・・・ブリヂストンとは一切関係ないって事さ!ジョークだ!好きな食べ物はコーヒーだよ!それは飲み物だね!ジョークさ!たばこを飲むよ!ジョークさ!たばこは吸うもんだよね!僕の名前は小橋だよ!さっき言ったね!ジョークだよ!」(英語)
僕はボケにボケた。見たか、たつや。「カマす」っていうのはこういう事だ。
そしてみんなの顔を見た。
まじで困っていた。
スベッたどころじゃない、困らせてしまった。急に一番若造が調子に乗ったのだ。
明らかに下手な発音。当ってるのかわからない文法。そんな奴が急に変な事を言い始めた。「飲み物」を「食べ物」と言い間違えるボケ。こんなもん片言の人が言い間違えただけだ。そしてa.k.a.コバ。a.k.a.の意味さえあまりわかってない。後で調べたら「またの名は」って意味だった。小橋のまたの名はコバってどういうこと?略しただけじゃない?
そして一番ヤバイのがブリヂストンの話。意味がわからないとかじゃない。普通にマジで面白くない。ていういか意味もわからない。なんでそんな話をしたんだ。小橋とかかってそうで何もかかってない。それだったらa.k.a.ブリヂスモールとか言えよ。後「ジョークさ」で全部ジョークに変えられると思うな。
そして15秒ほど沈黙の間があり、ベリック先生は言った。
ベリック「ユニークな子もいるみたいだね。よし次の人いこう。」
あの15秒の後のベリック先生の顔を思い出して寝れない夜もある。
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