昔あった、みんなが欲しいもの 

僕はファミコン世代ど真ん中。

まだ小さかったころにスーパーマリオが大ヒットした。
ちょっと年の離れた姉と一緒に欲しがった。
でもさすが大ヒット、どこにも売っていない。
ネットが無い時代、お店でみつけないと買えない。
どこそこのお店で偶然買えたらしい、そんな話をみんなしていた。

そんな折、家族でとある商店街を歩いているとき。
文具店だったかな、なぜかスーパーマリオが売っていた。
姉と一緒に両親にお願いした。
ずっと探していたことを両親は知っていたので買ってもらえた。

夕食を食べに行ったのかな?
明るい時間ではなかった。
蛍光灯で光る店内のちょっと高いところにある白い棚。
ガラスの向こうに黄色い箱。
こんなところに売ってるわけない、と思いつつ、もしかしたら。
一緒にいた姉に「おねーちゃん、マリオだ!」
姉もびっくり、両親もびっくり。
記憶のディテールは薄れたけど、あの時の嬉しさはしっかり覚えている。

そのあとはドラゴンクエストⅢ
僕は少し大きくなって小学生だった。
社会現象にもなって、いくらか事件も起きた。
そんな中、叔父の友達がおもちゃ関係の仕事をしていて、
特別にソフトを買っておいてくれていた。
母と訪ねて、叔父からプレゼントしてもらったカセット。
白いペンで名前が書いてあった。
「盗られたってニュースになっているから」と。
黒いカセットに白いペン。
なんか諸々うれしかった。

自分が小さい頃って「みんな」が欲しいものが沢山あったように思う。
文房具を買って応募するともらえる嚙みつきばあちゃんの消しゴム。
そのあと、僕は追いかけなかったけどエアマックスとかたまごっち。

これを持っているとすごい、みたいな。
共通する幸せのシンボルみたいな。

自分の子供や、親戚の子たちを見る。
ある程度流行はあるようだ。
甥っ子はブリンバンバン言ってる。
でもこれが絶対、みたいなものは無いみたい。

豊かになったとか、便利になったとか、多様化したとか。
色々なんだろうなと思う。

みんなが憧れるモノがあって、
それが欲しい、それがあるから幸せ、
そんな風に子供をしていたおじさんからすると、
今の子供たちって、難易度が高いんじゃないかなと思う。
だって正解を自分で見つけないといけない。

でもここまで書いて思い出した。
唯一の神を信仰する方から、八百万の神よろしく、
初詣、七五三、チャペルで挙式、ハロウィン、
日本人って大変じゃない?って聞かれたことがある。
僕は普通の事だから大変って感じたことは無いよって答えた。

勝手に心配しているだけか。

そういえば、小さい頃、勝手に心配して色々言うおじさんっていたな。

そんなおじさんになったんだなあ。


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