見出し画像

Y Combinator発の生成AIスタートアップの傾向(2025年初 時点)

シードVC ANOBAKAの小林です。

これまでNoteでは生成AIビジネスの成功要因について考察をお届けしてきましたが、今回は少しアプローチを変えてみます。

テーマは「Y Combinator発の生成AIスタートアップの傾向」です。

米国有数のアクセラレーターであるYCから採択された企業の中で、どのような領域に取り組む生成AIスタートアップがシリーズAの資金調達に成功したのか探っていきます(2025年 年初時点)。

調査対象は2023年冬から2024年冬までにYCに採択された515社。その中で次回の資金調達に成功した31社に焦点を当てます。(尚、Crunchbaseの公開データに基づいて分析しており、非公開案件が含まれていない可能性があることをご留意ください)

それでは、YC卒業生のリアルを深掘りしていきましょう!


業界横断 vs 業界特化

SaaS時代にもよく議論された「ホリゾンタルSaaS(業界横断型)」と「バーティカルSaaS(業界特化型)」というテーマ。この議論自体はSaaSの専門家にお任せするとして、生成AI時代においてもこの対立構造は引き続き重要なテーマです。

以下の図は、この31社を2つの軸で分類した結果です:

  1. ホリゾンタル vs バーティカル:業界を横断して使えるか、特定の業界に特化しているか。

  2. エージェント型 or Co-Pilot型:特定の業務を完全に代替するか、人間の業務を支援する形か。

今回取り上げた31社を分析した結果、以下のような傾向が見られました:

  • ホリゾンタル型(業界横断型)が全体の約6割を占めているが、予想以上にバーティカル型(業界特化型)の割合も高い。

  • ホリゾンタル型ではエージェント型(特定業務を代替する)が大多数。バーティカル型ではCo-Pilot型(特定業務を支援する)が大半を占める、対照的な構図。

予想以上にバーティカル型が多い理由

生成AIはよく「偏差値70の新卒社員」に例えられることがあります。優秀ではあるものの、実際の業務で即戦力となるには事前の教育、つまりデータの学習が必要です。

このプロセスを経なければ、生成AIは的外れな回答をしてしまうリスクがあります。そのため、生成AIを業界特化型にカスタマイズし、特定の業務に高い精度で応える仕組みが求められます。この必要性こそが、バーティカル型スタートアップが多い理由の一つだと考えられます。

さらに、競争環境も重要な要素です。汎用的なサービスで市場に挑むと、OpenAIやGoogle、Anthropicといったビッグテックの進化に対し、相対的に付加価値が薄れてしまうリスクがあります。これに対し、特定の業界や業務に特化し、データを蓄積する戦略が、アプリケーションレイヤーのスタートアップにとって合理的な選択となります。

ニッチ市場とユニコーン。相反する2つの事象と各スタートアップの戦略

ここからは余談ですが、特化型アプリケーションはニッチな課題を扱うため、ユニコーンが生まれにくいという意見もよく耳にします。確かに、初期段階で狭い業界のニッチな課題解決にとどまっていては、ニッチ×ニッチということになり、スケールするのが難しいことは容易に想像できます。

この疑問に対する答えを出すために、私がモデレーターを務めたイベントで元スマートニュースの川崎さんが語った次の言葉が重要なヒントになると考えています。

テクノロジーが進歩するほどテクノロジーによって提供できるサービス単価が下がるのは事実。一方、それによってある課題への解像度がどんどん高まり、新たな課題が生まれる。結果的に、テクノロジーで解決できる課題の総量は金額ベースでは変わらない、もしくは増える可能性がある。

元スマートニュースの川崎さんのイベントでの発言

ここからは私の言葉ですが、例えば、スマホの普及もその一例です。スマホは、PCの一部機能を切り出して小型化して安価に提供することによって、多くの人々に浸透しました。

しかし、普及するにつれユーザーの要求はどんどん複雑化、つまり、課題の解像度がどんどん高まっていきました。初めは手軽な情報端末として普及したスマホも、カメラの高性能化や、長時間バッテリーの持続といった新たなニーズを生み出すという結果に繋がっています。守備範囲は、電話する、調べ物をするという課題を遥かに超えて、写真・動画を撮る、仕事をするなど日々広がりを見せています。

結果として、PCやカメラよりも低単価ながら、今ではグローバルのPC市場規模:2,040億米ドル、デジタルカメラ:85億米をはるかに凌駕し、スマホ市場は4848億米ドルとなっております。

このように、テクノロジーが進化し、サービスが安価に提供されるようになることで、解決すべき課題の解像度が上がり、さらなる新しい課題が現れるという事象はスマホの例に限らず人類史で起こってきたものです。

SaaS時代にはフロンティアとして期待されたバーティカルSaaSが、クラウド技術を駆使して特定の業界課題に挑戦してきたものの、十分にスケールしきれなかった例も少なくありません。その背景には、クラウドの力だけでは特定の業界課題の解像度を十分に高めきれなかった点があるのではないでしょうか。

一方で、生成AIは今まで得られなかった非構造化データを取得し、それを基に課題自体の解像度を高め、新たな課題を明らかにする力がある可能性があります。

例えば、製造業では、熟練工の暗黙知を生成AIが取り込み、膨大な非構造化データを解析することで、従来見逃されていた微細な不具合や予兆を検出できるようになるかもしれません。この変化により、従来の「故障後対応型」から「予防保全型」へとシフトし、さらに予防保全の中にも新たな課題が生まれていきます。こうした新たな課題に対して企業はサービスに対価を支払い、効率的なメンテナンス計画を立てることが可能になります。

まとめると、生成AIがデータを通じて課題の解像度を飛躍的に向上させ、新たな問題が明らかになることで、業界ごとのテクノロジーへのサービス支払需要が拡大し、従来の枠を超えた成長が促進されるといった具合です。

生成AIによるバーティカル型サービスの普及は、市場を狭めるどころか、特定の業界の新たな成長機会を生み出す起爆剤となる可能性すらあります。これこそが、シリコンバレーでバーティカル型生成AIサービスが投資を集めている理由かもしれません。

バーティカル型スタートアップにCo-Pilot型が多い理由

次にバーティカル型にCo-Pilot型が多い理由を深掘りしていきます。

「生成AIの素晴らしさは、生成AIエージェントがホワイトカラーの業務を代替できることである!ソフトウェアによる業務効率化の枠を超えて、ホワイトカラーの人件費をTAMとみなせるので可能性は無限大!」

みたいな話ってよくネット上の記事やポッドキャストで言われている話かなと。一方、足元のスタートアップを見てみるとバーティカル型に限っては、Co-Pilot型が多い。ここに理想と現実がギャップがあります。

理由は複雑な変数の絡み合いなのだと思いますが、一つには「構造化されたデータの不足」が理由だと考えられます。

生成AIエージェントの構築のためには、業界を理解し生成AIで代替できる業務を探し当てるだけでなく、生成AIが出力を出す上で参考にする正解データの存在が不可欠です。

業界を横断した汎用的な業務を代替する場合、例えば、議事録作成などではある程度音声が読み取れてそれをサマリーするので、追加の学習をさせずとも基盤の言語モデルがあれば事足りることが多いです(もちろん高い精度が求められる業務だとまだまだ厳しい)。

一方、ある業界に特化する場合、偏差値70の新卒社員的な能力をもつ生成AIは、業界の当たり前を認知していないので、ある業務をそのまま代替してしまうとミスをしまくってしまうということがあると思います。

そのため、特定の業界向けに高精度な回答を生成するには、事前にその業界に特化したデータを学習しておく必要があります。しかし、業界独自のテキストや画像のデータセットは、オープンデータとして容易に入手できるものではありません。基本的に、ある業界に特化したデータセットをDay1から保有している企業は、極めてまれなのです。

生成AIに学習させるべき業界独自のデータが不足している結果として、Day1から業界特化の生成AIエージェントを構築する難易度は極めて高いものとなります。

それであれば、特定の業界の知識がなくても行える業務の補佐から始める。これが業界特化のCo-Pilot型の生成AI事業の考え方です。

いわば、「大企業の新卒社員が会議に出席して発言はしないが、チームのために議事録を取る」といったことなのだと思います。議事録をとっているうちに業界の理解が深まり、2~3年もすれば一人前になり、10年経つと会社のエース格に成長している。そんな新卒の成長路線を生成AIも進んでいるのだと思います。

従って、特定業界の特定業務に特化したCo-Pilotは一見ニッチに見えるものの、スタートアップの成長戦略として、蓄積したデータを活用した生成AIエージェント化による単価向上は不可欠な要素として含まれるものだと考えられます。


Hona AI | 言語聴覚士に特化したバックオフィスのCo-Pilot

例えば、Hona AIは、言語聴覚士に特化したバックオフィスのCo-Pilotを提供しています。

言語聴覚士は、現状、保険書類作成やスケジュール管理、文書作成といった膨大な事務作業に多くの時間を取られています。Co-Pilot型の支援によって、こうした業務が効率化され、専門的な治療に専念できるようになります。

この支援が広がれば、独立を躊躇していた言語聴覚士が増え、業界の成長を後押しすることが期待されます。

hona.aiのHPの画像を一部抜粋・編集

業界特有の知識や慣習が深く関わるため、AIが即座に完全な代替をするのは容易ではないですが、Co-Pilot型で得られたデータが蓄積されることで、生成AIエージェントへの進化の可能性が広がります。

例えば、これまでは人間が行っていた治療計画の提案や、患者の反応に基づくアフターフォローのアドバイスに関して、人間のサポートをするのではなく、生成AIが代替できるようになる可能性があるかもしれません。

このように、バーティカル型のスタートアップがCo-Pilot型を選択する背景には、業界特有の知識やデータが重要であるという点が影響しています。

生成AIエージェントが本格的に業務を代替するためには、業界固有の知識とデータが不可欠であり、それらを集めて学習する過程は時間がかかります。Co-Pilot型での支援からスタートし、徐々にデータを蓄積し業界理解を深めることで、生成AIエージェントへの進化が可能となったタイミングで一気に代替できる業務を代替しているという成長戦略なのではと感じています。

生成AIの使い方のトレンド

業界のカテゴライズに続いて、次は生成AIの具体的な活用方法を深掘りします。

「生成AIエージェント」や「Co-Pilot」といった言葉を聞いても、具体的にどのように使われているのかイメージがつかない方や、どのような使い方が筋が良いのか気になる方もいるかもしれません。

そこで、今回取り上げた31社のスタートアップについて、生成AIの活用方法を以下の3つに分類してみました。


  1. 構造化型:事前に定義されたルールやフォーマットに基づいて、決まった情報を生成・整理する使い方

  2. チェック型:事前に定義されたルールに基づいて、人間の作業や行動を確認する形での使い方

  3. その他:成果物の創造など上記に含まれないもの


1と2は少し重なる部分があるかもしれませんが、それも含めて現状の生成AIのトレンドを掘り下げていきたいと思います。

今回取り上げた31社を分析した結果、以下のような傾向が見られました:

  • 対顧客のインターフェースに生成AIが立つことや経営の意思決定に携わるケースは少ない。

  • それよりも、人間がやりたがらない情報の構造化やチェックといった業務を一部代替or支援するというアプローチが多い


構造化型のアプローチ

いわゆる非構造化データを生成AIが読み込んで、それを構造化して人間が使いやすいデータに整理するというものです。

生成AIは、テキスト、音声、画像などといった非構造化データを読み取り、それを体系的に整理し、使いやすい形に変換する能力があります。この特性を活かし、さまざまな業務プロセスが自動化され、業務効率を劇的に向上させる可能性を秘めております。

こうしたアプローチは、業務の現場で例えると従来、担当者やその部下が行っていたデータ整理やサマリー作成をAIが代替・補助する形です。手書きの書類や複雑な報告書などの非構造化データを正確に処理し、体系的に整理された情報として提供することで、人間がやりたくない業務から解放されるポテンシャルを秘めています。

NRIネットコム株式会社様のブログを引用


Driver | チップ業界特化の技術文書の作成自動化AI

ここでは、構造化の事例として製造業向けの文書作成効率化の生成AIスタートアップ「Driver」の取り組みに触れたいと思います。

Driverは、技術文書の更新作業を生成AIで半自動化しています。新しいコンポーネントの導入ごとに技術文書を最新の状態に保つ必要があり、この作業は非常に複雑で、エンジニアにとって大きな負担となります。

Driver.AiのHPより画像を抜粋

ここで言う「技術文書」とは、製品の設計や運用、トラブルシューティング、保守に関する重要な情報を提供し、企業の製品が企業を横断してエンジニアや技術者が正確に作業を進めるために欠かせないものです。

従来は、エンジニアがコードを更新した後、大量のPDF文書と共にそのコードの内容を説明書の作成者に伝え、手作業で説明書の文章を作成する必要がありました。

Driverを用いた更新プロセスでは、エンジニアや作成担当者が連携して、人間が直接説明文書を更新するのではなく、生成AIが構造化データを整然とまとめ、必要な部分に反映させることで、効率化にとどまらず、従来の人間の手作業を介した方法では実現できなかったコストとスピードで製品と文書の整合性と精度が高めることができます。

つまり、テキスト情報である「プログラミングコード」という非構造化データを生成AIが構造化データとして整理し、必要な更新を人手を介さずに反映する仕組みが実現されると考えられます(具体事例は詳細に公開されておらず、どこまで実現できているかは不透明ですが、、、)。結果として、エンジニアは文書作成の手間から解放され、コア業務に集中できるようになります。

ニッチながら特定の面倒な業務を半自動化させるポテンシャルの高さを感じさせる同社ですが、補足として、TechCrunchのインタビューで創業者のティルトン氏が語った言葉が非常に印象的でしたので、ぜひ紹介したいと思います。

「最初は作業効率化が目的でしたが、生成AIが構造化された技術文書を正確に処理できる可能性に気づきました」

Techcrunchのインタビューを抜粋

インタビューではこれ以上の詳細は語られていませんが、私なりの解釈として、Driverは単なる業務効率化を超えて、製造業における情報管理のスタンダードを再定義する可能性を秘めているのではないかと感じました。

つまり、前述したような、「生成AIがデータを通じて課題の解像度を飛躍的に向上させ、新たな問題が明らかになることで、業界ごとのテクノロジーへのサービス支払需要が拡大し、従来の枠を超えた業界の成長が促進される」可能性があるということです。

この点において、ティルトン氏はまさに生成AI×業界特化型のアプローチがもたらす大きな可能性を見出しているのだと強く感じます。


チェック型のアプローチ

構造化型の次に多いのがチェック型のアプローチです。個人的には、今後、このアプローチはさらに広がる可能性が高いと考えています。

チェック型とは、AIが学習したデータやルールに基づいて書類や画像などの非構造化データのチェックを行うといったもので、この型は更に2つのパターンに分けられます。

  1. AIが大量の情報に対して初期チェックを行うパターン:AIが大量のデータを迅速に処理し、初期のチェックを担当することで、作業の効率を大幅に向上させるもの。人間が最終確認を行い、AIによる誤りがあった場合でも、最終的に正確性を確保することが多い。

  2. 人間が行った作業にAIが2次チェックを加えるパターン:AIが業務を行う人間のサポートを行い、誤りを未然に防ぐもの。​個人的には「初心者エンパワーメント型」とも呼んでます。

前述した通り、こうしたアプローチは、特に今後広がる可能性が高いと考えております。理由としては、既存の業務の現場でAIがチェック作業をアドオン的に担う形になるため、既存のプロセスに自然に組み込める点にあります。

また、ミスの検出や最終確認は手間的にも心理的にも人間の負担が大きく、これらの作業をAIが代替・支援してくれることのインパクトは非常に大きいです。

ここで上記2つのパターンに該当する企業を今回の31社の中から1社ずつピックアップして紹介したいと思います。


SafetyKit | マーケットプレイス特化のコンプラ監視AIエージェント


AIが大量の情報に対して初期チェックを行うパターンとしてご紹介するのは、AIを活用してマーケットプレイス上のコンプライアンスチェックを自動化するSafetyKit です。

SafetyKit社HPのサービス紹介画像を引用

具体的には、ユーザーの行動がマーケットプレイスの規約に違反していないかを生成AIがチェックし、その後人間が最終確認を行うというものです。AIによる事前チェックでコンプラ違反のリスクを減らすとともに、生産性向上を図ることで、現状多額の人件費がかかっているコストを一部圧縮することができ、殆どすべてのプラットフォームにインパクトがあるサービスと言えます。​

日本でも、人材プラットフォームで闇バイトの掲載が問題になったり、フリマプラットフォームで違法出品があったりと、マーケットプレイスでの規約違反は国に問わず問題になっています。

この手のサービスは、リスクの検知による経済インパクトが非常に大きい、且つ、Day1からオペレーションを大きく変えずに導入できるので、この領域に問わず様々な領域で日本でも参入余地のあるサービスタイプかなと考えております。


RetailReady | 倉庫作業員特化のチェックCo-Pilot

次に、人間が行った作業にAIが2次チェックを加えるパターン(「初心者エンパワーメント型」のアプローチ)として、RetailReadyを紹介いたします。

RetailReadyは、倉庫作業員が100ページを超える梱包マニュアルを簡潔に参照し、正確な作業を行えるようタブレットアプリを提供。マニュアル(非構造化テキスト)と箱詰め画像を生成AIで整合させる技術を現場に導入しています。

100ページにも及ぶマニュアルという非構造化テキストデータと、箱詰め作業の画像データという非構造化データの整合性を生成AIで確認する仕組みは、生成AIの威力が最大限発揮される領域と言えます。

retailready社のHPより画像を一部抜粋

倉庫作業員には、配送ラベルを貼る位置など、正確な手順が求められますが、実際には注文ごとに100ページ以上のマニュアルを確認するのは非現実的で、結果としてミスが多発しているのが現状です。

尚、このミスによるブランドへの罰金額は市場全体で年間約400億ドル(約6兆円)に達しており、日本のアニメ市場が4.6兆円と言われていることから、小さくない数字だとわかります。

マーケットプレイス特化のコンプラ監視AIエージェントのSafetyKitでご説明させていただいた通り、生成AIを活用したリスク検知と作業効率化は、こうした課題へ非常に大きな効果を持ち、また、既存のオペレーションを大きく変えることなくスムーズに導入できる点が、事業の急速な立ち上がりを支えています。

また、本節でご紹介する「人間が行った作業にAIが2次チェックを加えるパターン(「初心者エンパワーメント型」のアプローチ)」は、離職率が高く、作業員のリテラシーが比較的低い領域では有効です。このアプローチにより、熟練者不足に起因する作業効率や正確性の問題を大幅に改善し、さらに効率と正確性の向上が離職率の低下にもつながる可能性があります。


終わりに

今回は「YC卒業生の今 ~次回調達に成功した生成AIスタートアップたち~」というテーマで、米国における生成AIスタートアップのトレンドに迫りました。

生成AIを活用した事業では、業界に深く入り込み、課題を特定して業務の一部を代替する必要があります。そのため、業界慣習や前提が違うことからアメリカで成功した事例が日本でも必ずしも成功するとは限らず、「今回紹介した事例を日本に持ち込めば成功確率が高くなる!」というのが今回の趣旨ではなく、先行する事例を参考に、日本において生成AIがどの業界でどのように活用できるかを探ることが目的です。

それを踏まえまして、今回の内容をまとめると下記です。

  • 米国の生成AIスタートアップは、意外にもバーティカル型が多い

  • バーティカル型は業界特有のデータ不足の観点から、まずはCo-Pilot型で参入することが多い

  • 生成AIの使用法として、「非構造化データを構造化して整理する・確認する」といった人間が面倒な業務に使用するケースが多い

  • バーティカル型はニッチに見えるが、課題自体の解像度向上による成長ポテンシャルは計り知れない

今回の調査と執筆をしてみて、もっともっとニッチな領域に挑む生成AIスタートアップが日本に増えてほしいと思いましたし、生成AIに投資をするキャピタリストとしてもっと日本市場における仮説の数を増やさないといけないなと感じました。

最後になりますが、「日本でこのアイディアで起業すればうまく行きそうだ」「いやいやここは違う!」などのご意見があれば、是非下記のコメント欄にてご意見ください!もちろん、DMでのご連絡も大歓迎です!

いいなと思ったら応援しよう!