土曜日教徒の午前
9:17、目が覚めた。
悪くない目覚め。アラームに無理やり起こされた訳でもない。
土曜日というのは非常に良い曜日だ。人類におそらく最も愛されている曜日。それも晴れているなら尚更。予定も特にない。
ただ、天気の良い予定のない休日というのは、その偉大さが自分には眩しすぎる。
「なんでもできる日」というのは、上限が大きくなるぶん、及第点を取るためのハードルは通常より高くなってしまうのだ。
義務がないのに、何かしなければ、と義務感に駆られるのは人間の悲しい性だが、これは一体誰に対する見栄なのだろうか。おそらく偉大なる土曜日様へのだ。
とりあえず、簡単で立派そうなことからやり始めるか、と、机の上の整理整頓とかして、ペットボトルに入ったアイスコーヒーをわざわざコップに入れて氷も入れて飲んでみたり、歯をいつもより入念に磨いてみたり、洋楽をスピーカーで流してみたりしてみた。
これって俺が満足することっていうより、映画か雑誌か何かで見た「良さそうな家での休日の過ごし方」をこなしているだけか?
というありきたりな疑念を抱いては、「別にそれでもいいだろうるせえ」とすぐ開き直ったりして。誰にキレてるんだ?
というわけで、俺の立派な土曜日メーターの数値は十分な上昇が見られなかったため、お昼ご飯を食べることを契機に、外に繰り出すことにした。
何を食べようか。マックや松屋はダメだ。
崇高たる土曜日様に似つかわしくない。
コーヒー付きでパスタとスープを出してくれるカフェのランチ、電車で数駅行った所にあるアジフライが美味しい定食屋。
そういうものでないと。土曜日様は満足してくださらない。
全ては土曜日様の御心のままに。。
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