おもしろ『農ライフ』
親戚から畑を借りることになった千春ちゃん…
畑を耕す…農作物を栽培する…
そうそう簡単なことではない…
彼女の口から農作物を栽培していると聞き、おいらがまず始めに聞きたかったのが、何を作っているの?ではなく…農業のお師匠さんはだあれ?親戚のおじさん?道具や機械はどーしているの?…ということだった。
話は飛ぶが…
田舎育ちのおいらの子どもの頃の遊びといえば、ゲームもあるにはあったが、どちらかというと、友達と野球やサッカーをしたり、自転車に乗り、近くの森や林、小川に行き、昆虫を取ったりしていた…。そう、外で遊ぶことが楽しく、外で遊ぶ道具も家にそろっていた。そんな環境であった。
千春ちゃんと出会ってすぐの頃、彼女から
「みんなどこで遊んでるんですか?」
…と聞かれたことがある。同じくらいの年齢の若者や中高生をあまり見掛けないから…という理由からだった…。
コロナ禍だから、今はあんまり出歩かないし…「イオン?図書館?カラオケ…は密になるから行かないか…。やっぱり家に籠ってるのが多いのかなぁ…」と何とも曖昧な答えしか出来なかった…。
「芸能界で活動するまではどんなことして遊んでたの?」と逆に質問してみた…。
「電車で原宿や渋谷に行ったり、カフェでお茶したり、小中学校の頃は、ショッピングモールみたいな複合施設が遊び場でした!」
マジか!?やっぱり都会は違うなぁ~。環境が全く違う。自然の中、屋外で遊ぶ…なんてのは、休日に旅行に行って体験するものなんだ…と改めて実感したのを覚えている。
そのイメージが残っていたからか、都会育ちの彼女が一人で農作業なんてできるのかな?…というように感じたのだと思う。
おいら達みたいに田舎育ちで、少なからず農業に対しての作業イメージが沸くのならともかく…都会育ちの彼女が??教えてくれる人はいるのか?農機具は使いこなせるのか?本当に大丈夫?…など、気が付けば、心配なことばかりが頭をよぎっていた…。
話を元に戻して…
彼女が農作業をどのようにして学んでいるか…
彼女から凄い答えが返ってきた…
「苗の植え方、育て方はyoutubeを見て研究してます!」
おぉ!!さすがZ世代!!
彼女のお師匠さんは、ソーシャルメディアであった…!!
なるほど…確かにわかりやすく解説している動画もあるもんなぁ…
ここで気付いたことがある…
おいらなら、周囲に農地が広がり、他のベテラン農家が近くで農作物を栽培している中で、初めて自分一人で農作物を栽培するとき、「あまり変な作り方はしたくない」「恥ずかしい思いをしたくない」という他人の目を気にする思いが先行してしまうところだが…彼女は全く違った…。
彼女の中では、「成功・失敗」は、二の次で、「先ずはやってみる!」これが一番大切なんだ…と思い知らされる…。「経験して学ぶ」…口で言うは易し、行うは難し…である。
親戚から借りた畑も、耕作放棄地であったため、先ずは土づくりが必要な土地であったとのこと。
「約2か月間、雑草と格闘し、畑を耕し、農作物を栽培する土壌を作ってましたー!」…と、彼女は笑いながら言う。簡単に話をするが…初めてのことだらけで、沢山の苦労があったと思う…。それを微塵も感じさせない彼女のスタイル…それも大きな魅力だと思う。
彼女が農作業を始めるようになってから、「むとちゃんねる」というYoutubeでその様子を配信している。
これがまたニッチな部分が撮られていたり、完全に素の部分が出ていたりと、本人を前にしては言えないが、なかなか笑える…
初めてスコップを持ち、畑を耕す…そのへっぴり腰ときたら…何とも言えない…(笑)
農業経験70年以上の大ベテランの親戚に、雑草を抜く作業を教えてもらっている時に、
「やる気がいくらあってもダメ。おまんま食べてこなきゃ」…先ずは体力!…とハッパをかけられたりする…。
それにこの動画、出演しているおっちゃん達が方言丸出しで、いい味を出している。人の良さも伝わり、何だかほっこりする動画が多い。
機会があればぜひ見ていただきたい。
その土づくりから始まる動画…。じゃがいもやトマト、なすやきゅーり…変わりどころでラディッシュなど…いろいろなものを育てる様子が残されている。
どんな人が観ているかわからない動画だが、彼女が凄いのは、そのほとんどが「素」であるところだ。自分で好き好んでやっている農作業だから「楽しい」という感情があり、それをみんな伝えたい…そう思うのは、ごくごく普通のこと。
でも彼女の場合は、しんどい作業は、しんどいって顔に出して、動画に残している。それも彼女にとって普通の感情で、作られた自分をみせるのではなく、ありのままを知って欲しいという彼女なりの考えがあるからだ。
どうやって育つかわからない作物を、苗から育て、収穫する。そのありのままの姿を記録として残している。ある時はyoutubeで観てやってみたけど…ちょっと心配…などとはっきりしゃべったりもしている…。そう、成功も失敗も、彼女にとってはかけがえのない「経験」なのだ…。
そうやって、コロナ禍で持て余した時間を、自分の生活を豊かにし、都会では味わうことの出来ない様々な「経験」をする時間に使っている。彼女の「農ライフという冒険」はまだまだ始まったばかりだ…
つづく…