田中優子の『カムイ伝講義』を読む③ 武士とは何か③ 武士は物貰い?
この辺りの話は何とか分かる。武士はサラリーマン。自由業ではないので制約が多い。そのイメージそのままだ。
ところが、
こう言われるとさすがに驚く。
しかしこれは「ホームレスも元はリストラされたサラリーマン」と言われているようなものか。
こうした武士の存在を前提にして三島の理屈を考え直してみると、そりゃ無理だという感じがしてくる。現実問題として天皇の赤子だとしても特攻隊にさせられるわけである。昔の武士はリストラされて物乞いになったわけである。そこの関係はあくまでクールでシビアなものだ。
自分をリストラした上司のために死ねるかと問うのは愚問だろう。
まあそういうことなのだろう。これは江戸時代の話だ。
幕末の武士は六~七パーセントしかいなかったそうだ。皇軍兵士は矢張り農家の次男三男、自衛隊員も漢文の素読をして木刀の素振りをして育ったわけではなく、「士」でもなかったはずだ。
よくよく考えてみたら江戸時代に武士であること、それ自体がかなりきついことだったのではなかろうか。三百年伝統を守り、最後の一年だけ武力行使したと考えると明治維新は凄い。よくぞ剣を磨いてきたものだ。三島が自衛隊員に求めたものはその奇蹟的なものだったとして、物貰いに落ちてしまえば剣の修行も何もなかろう。
どうも武士について調べていくと、だんだんと解らないことが増えていく。
実戦経験なしでよくぞ戊辰戦争とか戦えたね?
[余談]
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