大江健三郎
三島由紀夫と大江健三郎の関係は直接的なものではなく編集者を介したものであると理解していた。しかし「大江健三郎にすすめられて」とは意外にもっと近しい直接のやり取りがあったのか。
大江健三郎は若い作家にも英語の本を読むように勧める癖があった。しかしこの場合は英語がそう得意でない三島に、きわどい本を勧めてはいないか。
それにしても出たばかりの本を読んでいる大江はさすがだ。LGBTの走りみたいな話なのでさすがだ。
drag queensだって相当早い。三島の実感としてはまだぴんと来なかったかもしれない。ピーターのデビューでさえ1969年なのだ。
日清戦争
殆ど戦争というものを書かなかった三島の書斎に「日清戦争実記」の復刻版があったとしたらやはり意外だ。
しかも「面白い写眞入り」と書いているのは何とも変な感じだ。私も幼いころに「大東亜戦史」とかいう十何冊かの本を読んだ記憶があるが、「面白い写眞」というのは一つとしてなかつた。
日清戦争には「面白い写眞」があったのか?
内掌典
完全に見落としていた。これは平野啓一郎も気がついて無かろう。やっとわかった。
つまり三島由紀夫は『春の雪』の取材のために「宮中の賢所へ行つて内掌典に会ひ」、宮中三殿に従事する内掌典の本物の神学の中にこそ天皇の根拠があると確信したわけだ。
つまり三種の神器が宮中三殿であるとは、単に場所を指示していたわけではなく、内掌典の神学その経験を指していたのだ。
なるほど。
で、そこを空爆する???
[附記]
昭和四十一年五月二十八日 「憂國」が大当たり
「宴のあと」が和解になりそう
六月二十七日 「サド侯爵夫人」の東京の再演は大成功
何だかこの時期ノリノリな感じもある。三十日にはザ・ビートルズを見に行く。
昭和四十一年十月二十三日
こう言われてみると「あれ? 肺炎? もうちょっとやり方があるやろ」という感覚の方がおかしいのかもしれない。
確かに肺炎かあ、とは思ったけれど。