谷崎はこうして田舎者をディスる。鎌倉武士を批判しているのか。それにしても「大宮人の雅懐がなければ詰まらない」は「大宮人の瓦解がなければ詰まらない」ではないのか、潤一郎!
そうか。きこえてきたのか。本当に? 嘘ついていない? 幻聴? そんなことある? 映画じゃないんだから。それに歓語のこえっていうけど、鎌倉時代の日本語って随分違うよね。発音も。文字としての言葉なら馴染みがあるだろうけど、当時の発音はどう聞こえたかな。
つまりね、明治時代の落語の聞き書きなんかでも、随分解り難いものなんだから、鎌倉時代となるとね、早々聞き取れないんじゃないかな。それが聞こえてくる? 嘘くさいな。
狐うどんを二杯か。大盛りじゃなくて。肥るぞ、潤一郎!
あーあ。ついに会話しちゃった。これで国木田独歩には負けたな。新しい意匠も出せないで、徹底しないまま、それを幻聴で誤魔化したってしょうがないだろうよ。それに水無瀬川の川幅って何メートルあるんだ?
大きな洲なんかないだろう?
さては、潤一郎! お前、嘘を書こうとしているな?
だって水無瀬川ってそもそもが、
本来は水無川じゃないか。だから信用できないんだよ。それに「下(した)」にかかるって、絶対そっちに持っていく気だろう、潤一郎!