小森陽一の『漱石深読』をどう読むか④ だから藤尾は自殺なんかしていない
割引あり
これまで文庫本の解説か何かで小森陽一が「藤尾は漱石に殺された」と書いていたことにより、小森は藤尾が自殺したのではないことを理解していると考えてきました。石原千秋は抽象的表現というものが理解できなくて、そのまま毒を呑んで自殺したと理解している。そことは差があるのではないかと理解していた。
ところがどうもそうではなさそうだ。
漱石作品は必ずしも結末が確定されないまま書き始められることもあり、『門』や『虞美人草』はそうした作品だと考えられている。
この有名な手紙を小森陽一が読んでいないとも思えないのだが、小森はここで「自殺」という言葉を不用意に使っている。
そしてさらに、
ええと。
何回目かな、この話。
ものすごくシンプルに、抽象的表現は既に起きた藤尾の死に意味付けを与えているだけで、死の真相が隠されたわけでもなんでもない。小森は「藤尾が毒薬を呑んだわけではない」というところまでは理解しながら「自殺」という考えが捨てられない。
まあ、読んで勉強してください。
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