マイナ保険証のエラー事象について②
マイナンバー総合フリーダイヤルは無意味
色々と情報が混乱しているので整理していきます。
まずマイナンバー制度に関していきなりデジタル庁に電話してもらちがあきません。制度全体に一番長く関わっているのは総務省で、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけに関しては厚生労働省が管轄です。デジタル庁には制度全体を見渡せる人材がそもそもいないので「マイナンバー総合フリーダイヤル」にたらいまわしされたわけです。
で、問題の「マイナンバー総合フリーダイヤル」ですが、電話を受けているのはマニュアルを渡されただけの素人(非正規・派遣・外注いずれか)なので基本的にHPのQ&Aに掲載されている範囲のことしか答えられません。(電話確認済み。)つまり「事象」や「問題」をそもそも知る立場にありません。つまりそんな「マイナンバー総合フリーダイヤル」にたらいまわしをしたデジタル庁の職員は行政の仕組みを全然知らない素人エンジニアの可能性がかなり高いと言えます。少なくとも元々の役人であれば、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけに関しては厚生労働省が管轄だということくらいは分かっていて当然なのですが、ここで気が付きますよね。
何故そもそも総務省は厚生労働省ではなくてデジタル庁にたらいまわしにしたのか?
これは完全な凡ミスか、そうでなければ嫌がらせでしょうね。
氏名・性別・生年月日で紐づけ?
さて、この「氏名・性別・生年月日」問題、色んな人が空想して不思議がっていますね。解っている人は見かけません。何を言っているのという話がいくつもあります。
実はこれ健康保険組合などに組合員のマイナンバーが提出されていない際に、健康保険組合が独自でマイナンバーをJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)に照会して回収する仕組みのことです。
J-LISというのはNHKと似たような総務省の外郭団体ですね。つまり「氏名・性別・生年月日」で情報照会して済ましていたのは当該健康保険組合のミスで、当然記者会見で謝罪すべきでしょう。通達を守らなかったわけなので責任者は責任を取らざるを得ません。
しかしここには闇がある
しかしそもそも通達に無理があることはお判りでしょうか。デジタル庁で標準化を進めてきたデータの中で「住所」に関しては根本的な問題があるのです。
実は住所には正規表現がなく、郵便番号と住所のリアルタイムの突合もなされていません。しかも住所は区画整理などでしばしば変わります。
また行政の仕組みの中で住所は大きく分ければ「管轄」「納税場所」「配達先」という意味合いを持っていて、どれを住所とするのかという約束事はありません。あるいは「居住地」でなくても通ってしまいます。
従って、例えばある会社がグエンさんというベトナムの研修生を200人一つの住所に登録することも可能なのです。
あるいは「グエンコーポⅡ-203」という情報照会に使えないJIS第二水準にない文字が入った住所を登録することも可能なのです。
ルパン三世の「Ⅲ」はJIS第二水準外の文字なので「●」で表示されます。ローマ数字は情報連携ではアウトなのです。しかし今池袋なんかでは簡繁くずしの入り混じった中国文字の看板しかないビルもあります。これ配達先としてはどう登録されているのでしょうか。
漢字氏名って?
戸籍には五万六千以上の文字が使用されています。JIS第二水準は3390文字です。これで「漢字氏名で検索しろ」という通達そのものが無茶だと解りますよね。
実は法律の読み方や戸籍の「ヨミガナ」に法律上の根拠がなく、何とか整備しようという流れになったのはマイナンバーによる情報連携の準備の為です。住所問題はほったらかし。漢字の問題は全く別に文字情報技術促進協議会というところで同定と縮退マップを作成中でしたが上手く連携できませんでした。
悪いのは誰?
で、結局悪いのは誰、という話になるとやはり「やってみたら後でわかったこと」が多すぎて、誰とは言えないような気がします。
まず端的にミスした健康保険組合は悪い。
無茶な通達を出している役所も悪い。
制度全体を見回す人材がいないのが悪い。
ただ脊髄反射みたいに誰かを悪く言うツイッター民の国家なので、こんなことになるんだろうなと思います。まずよく調べて……
こんなことを書いている場合じゃなかった。
お豆腐買わなきゃ。