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朗読・二葉亭四迷『浮雲』⑧第一編 第四回 言うに言われぬ胸の中(後編)
ほぼ週一ペースで日本の著作権切れの作品を朗読しています。
今回は『浮雲』8回目。
作中では第一編第四回の後編です。
今回は!
頑張りました!
何がって、清元のお稽古!!!
いや、YouTube観ながらの自習なんですけどね。
「清元って何?」
からのスタートなんで、どうぞ大目に見てくださいませ(/ω\)
【登場人物】
内海文三: 父を早くに失くし東京の叔父の家に居候中。痩せて背が高い。
園田孫兵衛: 文三の叔父。ちょっとだけ暮らしに融通はある。子煩悩。
お政: 孫兵衛の妻、お勢の母。浮気者で大酒飲み。娘大好き。「ひ」を「し」と発音する江戸っ子。
お勢: 園田家のお茶っぴぃ娘。小学校後に入塾したが、今年の春の暮れに退塾して家に戻って来た。
勇: お勢の弟。現在は某校に入舎中で家には居ない。
お鍋: KYな女中。チョンボリとした摘ッ鼻と日の丸の紋を染め抜いた頬がチャームポイントの、ズングリムックリな生理学上の美人。
【これまでの『浮雲』】
お年頃の文三は一つ屋根の下に共に暮らす叔父の娘、お勢のことが気になってしかたない。
良い感じの若い二人、お勢の両親も将来的には文三とお勢を夫婦にしたいと考えていた。
というところで文三、仕事をクビに。
どうしよう!
言わなきゃいけないけど、お勢の前では言えない!!
【朗読】
第一編 第四回
言うに言われぬ胸の中(後編)
BGM: MusMusさん
活字で全部読んでみたい方は青空文庫さんや本屋さんでどうぞ!
【語彙】
でんぼう肌: 威勢が良いのを好む気質
七里々けぱい: 七里結界、人や物を嫌って寄せ付けないこと
羽二重肌: 織物の羽二重のように色白で滑らかな肌のこと
衣織姫: 美しさが衣を通して輝いたという伝説の美女
長唄: 歌舞伎用音楽として発達した三味線音楽
清元: 浄瑠璃から発生した三味線音楽
一向しきな: 一向式な、まるっきり
謗はしり: 悪口
〇八段の腹合わせの帯:
どんなもんかChatGPTさんに尋ねてみました。
「八段の腹合わせの帯」というのは、着物を着る際に用いる特別な帯の一種で、通常の帯結びとは異なり、複雑な形状や結び方を持つものです。具体的には、八段の折り返しや重ね合わせがあるため、「腹合わせ」という表現が使われています。これは、帯の結び方に工夫があり、着物をより美しく見せるための技法の一つです。
『浮雲』の中で、この「八段の腹合わせの帯」は、登場人物の心情や複雑な人間関係を象徴する役割を果たしていると言えます。着物や帯の美しさと同時に、その背後にある思惑や感情の繊細さが強調されているのです。
どんな形、織り物か尋ねたつもりだったんですが、予想外な回答が返ってきました。
「登場人物の心情や複雑な人間関係を象徴する役割を果たしていると言えます」
帯に心情が隠されている?!
確かに『浮雲』の冒頭は道行く男性たちの髭、そして身なりが描写されていました。
身なりには松竹梅があり、文三は外出の際「竹」ランクの畳皺のついたスコッチを身にまとっていました。
流行や裕福度合いを測るためだけの身なりかと思い込んでいたんですが、ChatGPTさんが言うには、服装にはその人物の腹の中も映し出しているそうで。
特に帯は腹に巻くものですからね。
帯が女性の腹の内を暗に示しているとは、なるほど面白い!
お政の性質を見るに「繊細」とは程遠そうなので、背後にある思惑が帯の下に隠れていると捉えられるでしょう。
どんな思惑か!
それは恐らく、まだ言えないけど「些と考えてる事」とやらでしょうね。
つまり、お勢と文三を夫婦にさせようという。
でも帯、八段もあるんで。
「咄してしまってもいいけれども」言わないということは、まだ本決まりでなく、文三より良さそうな物件があればいくらでも乗り換える気は満々そう。。
浮気者だし。
そうなると今度はお勢の帯も気になります。
ここでのお勢の身なりを見ると、
「糸織の袷衣に友禅と紫繻子の腹合わせの帯か何か」
とあります。
糸織は絹の撚糸で織った織物。
袷衣は裏地のある、秋冬用の着物ですね。
友禅は鮮やかで繊細な染色、繻子とはつややかで滑らかな基本的な織りです。
華やかで艶やかな、若々しく女性らしい印象を与えます。
「さして取繕いもせぬ」とあるので、お政と違って裏はあまり無さそうですね。
〇四谷で始めて逢うた時、すいたらしいと思うたが、因果な縁の糸車 :
清元の『山帰り』の一節。
本文でお政は「糸車」まで唄ってます。
一応私も糸車までお稽古してたんですけど、諦めて最初の「四谷で始めて逢うた時」だけで切り上げました。
ほら、全部唄っちゃうと、長いじゃん。。
私の精神力が持たないじゃん。。😭
お稽古はコチラの動画で。
『山帰り』(8:05辺りから)
江戸時代、職人の間で流行った大山参りをした帰り道の踊り。
当時の町人たちの流行が様々垣間見られます。
コミカルな、江戸っ子町民のわちゃわちゃした感じが、お政好みのようですね。
お勢は長唄贔屓でしたが。
【あとがき】
前回はちょっと、
文三ウザイ悩み過ぎ!
って思いつつ読んでたんですが今回は読むの楽しかったです。
誰がって、お政さんが。
「一言」が「しとこと」とかフリガナついてるんですよ。
クァーーーッ、江戸っ子だねぇ!って。笑
お政とお勢のやりとりがまた楽しい。
文三、置いてけぼり。笑
『浮雲』は女性陣が、読んでて楽しいなぁ。
語り手も楽しい。
ぶっちゃけ文三以外は読むのが楽しい。笑
ということで、長くなっちゃいましたが最後まで読んでくださる方は果たしているんでしょうか。。
続きは次回です。
よろしければまたお付合いください。
🍀🍀🍀
大前提として、私がこうやっていろいろ調べてるのは、あくまで朗読のためです。
専門家でも何でもないので、思い違い、読み間違えもあるかもしれません。一応自分なりに調べて自分なりの理解で読んでいます。
その辺はご了承ください。
何かお気づきのことがありましたらぜひぜひお教えいただきたいです。
今後の朗読に役立てていきます!
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