「そりゃそうだよね」って笑ってよ

同い年の学生時代からの友人で、今は一児の母をしている友人に最近遭って衝撃的な話を聞いた。

今の旦那さんと結婚する前に付き合ってた人が、死んだらしい。しかも自殺だったと。

私は友人とその子と付き合っている時から、2人の交際の内容を聞いては相談に乗っていたし、私を含めた3人で遊んだ事もあった。

その子は少し精神的に弱い部分があり、
仕事で上手くいかなくなると、家に引き籠もってしまったり、彼女に八つ当たりをしてしまうような子だった。
実際のところ、少し家庭環境も複雑で、あまり実の親からも愛情を受け取っていない子だったような話も聞いた事がある。

最初は友人も救いの手を差し伸べていたし、引きこもるようになった彼を支えていた。

ただそんな友人を見るのも私は辛くなり、当たりの強い彼氏から心無い言葉をぶつけられているのを相談してくるたびに、
「別れればいいのにな。」と心で呟いていた。

そんな友人はある日きっぱりと彼に別れを告げた。友人自身もまだ好きな気持ちはあったけれど、このまま付き合っていく訳にもいかない。そして恋愛経験の少なかった友人は、この人が全てと思っちゃいけない。今は別れて視野を広げるのが自分の為だ。と思ったらしい。

彼の精神的に不安定な部分が別れに繋がったと言えばそれもそうだし、別れなんて１つの理由で語れるものではない。
友人に見合う人が現れればいいな、そう思っていた。

その一年後、友人から「彼氏ができた」と報告された。穏やかな友人によく似合う大柄な男で、友人は交際1年未満で結婚、すぐに子供も産まれた。

私は友人の息子と、友人の旦那さんともよく遊ぶようになり、こうして家族を持った今でも定期的に会える関係がすごく嬉しい。

そんな矢先だった。

久しぶりに友人に会った時に、以前付き合っていた元彼が実は1年前に死んでいて、自殺だったと聞かされたのは。

・1人暮らしの自宅で亡くなっていたのが見つかった。

・職場のパワハラが原因じゃないかと言われ、彼の上司に当たる人は全員退職している。

・親族はお墓参りなどを拒否している。
　お葬式も行われる事がなかった。

私自身も、身近で自死を選んでいなくなってしまった人は今までになく、友達の元彼と言うやや遠い存在であったとしても心が痛く、ショックだった。

友人曰く「未練とかじゃなく、別れても友達だと思ってたし、単純に好きだった人がそうなってしまったことが本当に悲しい。」

友人は旦那の前で泣いてしまったそうだ。
そこに未練だとか恋愛だとかそーゆうのが無い事はよくわかる。

ただ悲しいんだ。見知らぬ誰かのニュースでも悲しいのに、身近に関わっていた人がこうなってしまったんだ。とにかく悲しいんだ。

自分がどんだけ無意味な人間であろうと感じたとしても、悲しむ人がたくさんいると言うことは自分もこの話を聞いて深く考えさせられた。

いてもたってもいられなくなって、この話を私の母に聞いてもらった。ひと通り話を聞いた後の母の意見は。

妙にポジティブだなと思ったのと、少し他人事すぎないか？とも思ったけど。

私がこの文章を書いている時、ZOCの
「tiffany tiffany」を思い出した。

私が死んだら　泣いてしまう人なんて大嫌い
大嫌い　大嫌い
そりゃそうだよねって笑ってよ

彼はきっと、彼自身でその選択をしたんだ。
悲しいとか自身の感情ではなく、母の意見は彼を尊重した一言だったんだろう。

私は、生きる。