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さよならセニョーラ。【後編】自分の胃袋は自分で幸せにする

4月から新生活を始めた私の今回の引っ越しの経緯と学び。

散らかし大魔王の女子大生の出現で、大暴れしだしたスーパー綺麗好きの同居人セニョーラとの暮らしに限界を感じた私は引っ越すことを決意した。

なぜか、バスルームに出現したゴーグル。
女子大生よ、何に使ったのか。


一秒でも早く帰りたくなる新居探し

「家に帰りたくないサラリーマンのおじさんの気持ちが分かる病」にかかってしまった私は、一刻も早く、新しい家を見つけたかった。

いろんな手法を駆使し、全力で引っ越し先候補を見つけては見学に。

「そんなに人と住むのが苦なら、なぜわざわざシェアハウスをするのかい?」と思ったあなた。

私が住んでいる、メキシコシティは家賃がべらぼうに高くて、日本のように一人暮らし用のワンルームなんてほとんどないのです。

加えて、このカオスの国メキシコで暮らそうと思うと、かなりの高頻度で、どうしようもないトラブルに見舞われる。急にガスが止められるとか、ちょっと雨が降っただけで停電するとか、、。そんな時にスペイン語もつたない外国人が一人で戦うのは、かなりの苦行。そういう観点でもメキシコ人と一緒に住んでおいたほうがなにかしらと安心安全なのです。

もちろん、今回の家探しの基準は、一秒でも早く帰りたいと思えるお家。

綺麗でおしゃれな家に越したことはないけど、セニョーラハウスの経験から、綺麗すぎる人様の家で暮らすのはしんどい、ということに気づいてしまった。

今回のセニョーラとのあれやこれやで慎重になっていたこともあって、なかなか、ここ!と思える家が見つからなった。

もう少しこのまま、家に帰りたくないサラリーマンのおじさん生活を続けるしかないのか、、、

そう諦めかけた時、セニョーラハウスとは良い意味で正反対の素晴しくファンキーな新たな家とルームメイトに出会ってしまった。

普段ならきっとこんな家を選んでなかったけど、そのファンキーさが魅力的に見えて仕方なかった。反動って怖い。

※今のところは、この新たな家で楽しく暮らしてるのだけど、このファンキーな新たな家についてはまた改めて。ネタの宝庫なのです。

いざ、別れを告げる時


秘密裏に引っ越し先は決定した。日程や段取りなどの準備も進める。

ここで重要な問題は、セニョーラにどうやって伝えるか。
セニョーラはまさか私がこの家から出ていこうとしているとは夢にも思っていない。

別れを告げるって、とてもしんどい。(しつこいですが、男女間の話ではない。)

どうやったらセニョーラにこれまでの感謝の気持ちを伝えつつ、できるだけ傷つけず、穏やかに、しれっとこのお家を出て行けるか。


うだうだ考えたけど、もう、どうしようもない。
出ていくもんは、出ていくの!私には新しい俗世での暮らしが待っている!

そうやって自分を奮い立たせてもポンコツな私は、直接伝える勇気がなくて男女関係のセオリーでは、ダメとされるけど、家にいないときにメッセージで、

「この家を出て4月から新しい家に引っ越すことに決めた。」と伝えた。

分かっていたけど、もちろん

「なぜ????」と聞かれた。

こうなったら言いたいことは言うしかない。

「そろそろ新しい環境で暮らしたい。そして、今のこの生活は居心地が良くない。」

えーい、もう私は出ていくんじゃ

「正直、botのように小言を言われ続けるのがしんどい、、、。汚したことを注意されるのが嫌だらか、最近は家で料理もまったくしてない。(←これは実際、私が怠けてるだけ。人のせいにしてごめん。)」

出ていくことを止められたり言い返されたりするかな、と思って構えていたのに

セニョーラったら

「あなた達に言い過ぎているのは分かってたの。嫌な気持ちにしていたのならごめんなさい。あなたが新しい場所を見つけたのなら、出ていくのは自由よ。」


。。。むしろ心が痛い、、ごめん。

そしてメッセージの最後に

「あなたのこと、好きよ。」

そんな、、、。

嬉しいけど、、これは、、、まさに、、、
DV男の手法!!!!!!!!

別れ際まで、とんでもない攻防をしかけてくるセニョーラ。

一瞬、心と胃袋がセニョーラに持っていかれかけたけど、、、、

私はもうこれ以上騙されない!(セニョーラはまったく騙そうとしているわけではない、今思うとただただ優しかっただけ。)

既に私はここでの生活にお別れをして、新しい生活を始めると心に固く決めていた。

もう、私達はとっくに終わっているの。

さよなら、セニョーラと綺麗なお家

でも結局、最後までセニョーラは優しかった。
小言botは止まらなかったけど、出ていくと決めた私にも、散らかし続ける女子大生にも惜しみなくケーキを作り続けてくれた。

そして。4月のはじめ。
私はセニョーラの家を出た。荷物を片付けて、空っぽになった自分の部屋といつも通りすごくすごく綺麗に掃除されたキッチンを見てちょっと切ない気持ちになった。

人と暮らすって難しい。

もっと思っていることを言えばよかったのか。

セニョーラの良い部分にもう少し目を向けられればよかったか。

私もセニョーラにひどい態度を取っていなかったか。

色々思うことはあるけど、もう終わったことなので、前に進むしかない。

新しい家では、もっと自分も快適に暮らせるように。

そして将来一緒に長く暮らしたいと思う人ができた時には、相手も自分も早く帰りたいと思うような家にできるように。胃袋も、もちろん掴みたいけど、それだけじゃだめ。

学びが深い。

寂しい私の胃袋の行方

新しい家に引っ越してから、もうセニョーラの美味しいケーキは食べらないのか、、、とちょっと寂しくなっていたけど、さっそく新しい家から徒歩3分のところに素敵なカフェを見つけて、美味しいケーキにありつけた。我ながら薄情な胃袋。自分の胃袋は自分で幸せにできる。


そしてセニョーラとは、引っ越したあとも、なんやかんや連絡を取っている。

ケーキ焼いたら、いつでも食べに来てねと言われていて、未だに胃袋を掴み続けられている、恐ろしい。(本当はとっても嬉しい。)

私を見て日本人は綺麗好きな人種だと思ったらしく、日本人で部屋を探している人がいたら紹介してね、とお願いされた。

うん、、、超潔癖の人がいたらね。

ちなみに散らかし大魔王の女子大生は、今もセニョーラハウスに住んでいて、たまに一緒にお菓子作りとかしているらしい。

結局、仲いいんかい。

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