膚―膚が焼けると黒くなるものですから、木の幹は黒くなるものですから―
「それは誰のものだい?」
コンクリートの地面に囲まれた小さな隙間から顔を出している大きな銀杏の木が
葉を震わせて聞いた
その銀杏の木によじ登り、小さなカマキリをくわえた猫が、一つ呟く
「たいそうご機嫌な銀杏じゃないか、この私に質問しやうなんて、檜かしら?それとも、自分のことをブナとでも思ってるのかしらねー?」
「私は、、い、、ちょ、、う、だ!」
「この薄汚い猫野郎が!まるで銀杏が檜やブナより、下みたいな言い方をしおって!許さないぞ!世界中の銀杏に謝れ!」
「ニャン」
「ニャン、ニャン」
「ニャ、ニャン」
「よーし、許してやろう、、」
そうして銀杏に許された猫は今日も銀杏の木の枝に登って遊ぶことを許されたのでした。
爪を研ぐことも
その為に銀杏の枝は今日も柔らかく、しなやかに揺れているのでした。
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