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カナダ遠征つづき

9月から10月にかけて約1ヶ月間行っていた海外遠征の記録の続きです。
前編はコチラをどうぞ。

題名をエストニア・カナダ遠征②にしようと思ったんですが、②にエストニア要素がなかったので変えました。


さて、前回ベスト4で終了し、まだここまで優勝のないシーズンを過ごしている私たちは、勝ち続けることの難しさを痛感しているのでありました。実際、どの大会でも必ず1敗はしていますし、ずっと好調というのはやはり難しい。そして少し感じていたのが、去年対戦している相手には、ちょっと研究されているな?とも思いました。


アルバータ州のカルガリーからブリティッシュコロンビア州のバーノンに移動してきました。
近年山火事が増えていて大変な様子もありましたが、「カナダ人がリタイア後に住みたい街ランキング1位」(ソースはわかりませんが、結構よく聞きます)のオカナガンエリアに位置するバーノンはとても美しい街でした。

湖をバックに


Mixed Doubles Super Series Vernon🇨🇦

以前コーチだったギャリーや、ジムがこの街に住んでいたため、ここに来るのは3回目でした。

バーノンのリンクには、みんなのアイドルワンコがいます。アイスメーカーであるデイブ・マクリンガー氏の愛犬です。

ツーショット撮ろうと思ったら逃げられた

この週末は大会が土曜日スタートだったため(なぜなら月曜日が祝日だから!トラップ!)、カルガリーでの大会からは中5日ありました。
ゆとりスケジュールだったので、練習したり、トレーニングしたり、オフを作ったりして過ごしていました。

私たちのようなインターナショナルチームは帰るところがないため、大体カルガリーからそのままバーノンに入って練習していました。

大会結果

予選は4勝1敗で通過、準々決勝で松村/谷田に勝利し、準決勝でギル/ヒューイット🇦🇺に負けました。ちょっとビックリするスーパーショット?で負けてしまったので(気になる方はYouTubeで観てみてください)、呆気ない幕切れではありましたが、チャレンジした結果だったのでまあしょうがないなと。

試合後、湖畔で反省してる図
そんなに落ち込んでなかったですけどね

2週連続でベスト4と、ちょっと物足りなさも感じつつ、予選通過できて安心しつつ。

昨年よりもオリンピックが近づいてきて、各国のチームもギアが1段上がっているという感じはありました。世界選手権の枠がランキング関係ある国もあれば、選手権で勝てばという国もありますが、やはりオリンピックの前シーズンということもあって、準備はしてきているのかなと思いました。

さてここまでは私たちを含め海外チームが多かった大会でした。最終週はまた様子が変わります。

Aly Jenkins Mixed Doubles Memorial🇨🇦

バーノンからサスカチュワン州のマーテンズビルにやってきました。マーテンズビルはサスカトゥーンから車で15分ほど北の街です。私たちはより宿舎や食料品店などが多いサスカトゥーンに滞在して、マーテンズビルまで車で通っていました。

毎日アンパンマン歌いながら通っていました。

前回大会からここまで中3日と、少しタイトな日程だったため、この週は少し運動量のボリュームを落として臨みました。

マーテンズビルは昨年も来ています。初めてツアー大会に参加したのもこのリンクの大会でした。昨年は優勝し、相性良いアイスかな?なんて思っていたら、大会の数週間前にアイスメーカーからメールで案内が。

「今年新しい石買ったから、お楽しみに!(超意訳)」

なんと。石変わったと。相性がいいかはわかりませんが、新しい石が楽しみなのは事実。

というのも、ツアー大会は各クラブの備品である石を使って試合をします。そのためリンクによって使用年数や劣化度合いも違います。

それで何が違うかというと、まず石の動く大きさが違います。新しい方がよく動きます。石の側面のストライキングバンドの摩擦が小さいためです。摩擦が小さいため、ヒットロールなどは思っているより厚く当てないと狙った位置に止まりません。

もう1つは当てる位置です。真っ直ぐ飛ばそうとした時に、回転が与える影響が、古い石と新しい石では違います。新しい方が大きいです。なんでだろう?

主にこの2つが違うため、新しい石でプレーする機会は結構大事です。

よく「アリーナアイスでの経験が」という選手のコメント聞きますよね。選手権は仮に新しくなくても、使用頻度が少ない石を使うため、よく動く石であることが多いです。なのであれにはアリーナアイスでの経験と、石の動き方と、両方が含まれているんだろうな、と私は勝手に解釈しています。

つまり、
「新しい石を使って試合する≒選手権の練習になる」
んじゃないかと私は思っていますので、とても楽しみであり、有意義な大会にしたいと思っていました。

さて長すぎる前置きはこのあたりにして、そろそろ大会のことを。(だから書き終わらないんだ)

大会結果

今回はカナダのチームが多めでした。ちなみにドイツのペアとは4週連続で一緒でした。

予選は3勝1敗で通過し、準々決勝はカナダの強豪ウィーグル/エッピングと。この試合は自分たちに有利なペースで進め、早く終わりました。しっかりお昼ご飯食べて、準決勝は今合宿2回目の松村/谷田と。延長戦に行く大接戦を制して、決勝進出しました。(しんどかった)

決勝は予選リーグで負けていたマーティン/レイコック。昨季から確か4~5回目の対戦でした。(うろ覚え)結構試合している相手です。たぶんマツタニの次によくやってます。
決勝はもう何処に投げても、何を投げても決まる気がしていたので、そういう時は勝ちますよね。できれば狙ってそういう風にしたいですが、決勝で出来たのは良かったところです。

というわけで今季初優勝!

やったね


この大会は、Aly Jenkinsというカーラーが、2019年に出産時の合併症で亡くなったことを追悼する大会です。前はNutana curling clubで行っていたそうです。今回決勝で対戦したナンシー・マーティン選手も、その当時チームメイトでした。

大会自体は普通のツアーイベントで、エントリー費必要で賞金も出ますし、ポイントも付きます。なのでそこまで意識しなかったら普通の大会です。

少し違うのは、大会名がスポンサーや地名ではなく「Aly Jenkins Mixed Doubles Memorial」であること、リンクにたくさんの彼女の記事が貼ってあったこと、あとは彼女のご家族からフルーツなどの補食の差し入れがあったこと、くらいです。

彼女のご家族が、今も彼女が愛したカーリングコミュニティと関わりを持ってくれていることに感謝です。

というわけで長くなりましたが、マーテンズビルのことはこのあたりで終わりです。大きい大会が開催されないため、私たちは一旦帰国しました。


アイスの良し悪しとは

私たちは様々な対戦相手や環境を求めて、転戦します。強化の方針や、より良いポジション、権利獲得のために大会に出場している側面もありますが、どうして色々な大会に出ることがその権利獲得に繋がるかというと、強化の方針が海外遠征での強化で、つまり様々な環境で戦ってきなさいということになるからです。

そしてその遠征先のアイスがどんなアイスか、またどんな変化をするか、これはやってみないとわかりません。行ったことがあれば予想もしやすいですが、季節が違ったり、アイスメーカーが変わっていたり、石が変わっていたり、予想はあくまで予想です。

とこで皆さん、どんなアイスが良いアイスだと思いますか?よく滑って曲がるアイス?変化の少ないアイス?条件が時間ごとに変わらないアイス?

上記の環境が良いアイスであるならば、実は日本のアイスはかなり良いアイスです。もちろん差はありますが、1番は変化の少ないアイスであることが特徴的です。
比較的新しいリンクが多く、湿度や温度管理がしやすいためと思われます。

ではぶっちゃけ海外に行く必要ないのでは?と思うかもしれませんが、これがまた日本の中だけで練習していては試合では勝てないのです。

それは「カーリングが観るスポーツ」であるためです。競技スポーツとしてカーリングをやっている人たちが目指しているのはオリンピックや世界選手権。その舞台はほぼ必ずと言っていいほど、アイスアリーナです。それは観客席数が関係あります。
カーリングリンクは観客席はそれほど多くありません。そのため大きい大会を開催する際は、より大きい施設で仮設のカーリングリンクを作るのです。

アイスアリーナは変化が大きい環境下にあります。箱も大きい、収容人数も大きい、そもそもカーリングリンクを想定して作っている建物ではない、など。

そして変化が大きい環境でプレーするには、様々なスキルが必要です。重いアイス、速いアイス、曲がるアイス、曲がらないアイス、スイープが効果的なアイス、効かないアイス、など、いろんな条件がありますが、どれだけ自分がその環境に対してできるアプローチを持っているかは非常に重要です。

そして引き出しを増やすこと自体は、アイスアリーナで試合をする前でも養うことはできます。

ゆえに経験が大事、と語られるわけです。

だから4人制日本選手権の「横浜BUNTAI」なんですね。みんなでアイスアリーナ経験しちゃおうよという発想。

今年は横浜で日本選手権が開催されます。こちらは男子、女子の部ですので、残念ながらミックスダブルスは違います。(ミックスダブルスにもこの熱量欲しいですネ)


そして冒頭に戻ります。良いアイスとは?
つまりどのアイスも、自分たちがこれから挑むであろう未来の大会に向けて、経験を積める場になります。
(もちろん段差がある、明らかに片側使えないなど、厳しい条件のアイスもありますが…)

そして海外のアイスは、実に様々なアイスで、アイスメーカーの熱量も違ったりしますし(大会の重要度や大きさで準備が違ったり)、別にカナダやヨーロッパだから良いアイスってわけでもなく、普通に2フィートしか曲がらない大会とかもありますし、最後まで5フィートくらい曲がるアイスもあります。 
曲げすぎるとクラブ会員のリーグ戦カーラーから大ブーイングだったりもするらしいです。でもあまりに曲がらなかったりすると、次からチームがその大会を選ばなくなったりします。バランス難しいですよね。

そういった様々な経験を積みに、海外まで修行に行くわけですね。

というわけで、私たちもまた来週から経験積みに行ってきます。


おまけ

ジムにもらったブライヤーベア
早くもカーリングファン風

おまけ②

帰国してジジに会ってとても喜んでいた娘
会ってそんなに喜んでくれる人、もう孫しかいないですね

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