Nikon
Nikon F50 PANORAMA
1994年4月販売。ボディのみ¥68,000-、AiAF Nikkor 35-80/4-5.6D付き¥91,000-
ようやく整理し始めた父の持ち物。私の記憶の中では11年前,生まれて半年の息子を連れて帰省した時に,父が久しぶりに取り出して撮ってくれたのがこのカメラだった。その当時,まだまだ父への反発心を拭いきれなかった私は,今時フィルムカメラなんて,と思っていたのだけれど,現像したその写真に驚いた。
今まで写真にもカメラにも興味がなかった私だが,現像された写真は,スマホやデジカメの写真とは全く違うものだった。奥行きがあり,深みのある写真。それがこのカメラのせいなのか,フィルムカメラだからなのかはわからないけれど,何ともいえない味があるように思えた。
その8年後,今から3年前に父の遺影にと選んだのが,私の家の前で,このカメラを首から下げた父の写真だった。結婚後,初めて両親を新居に招待した時のものだった。結婚したのが93年。招待したのは94年だったのかもしれない。父は,買ったばかりのこのカメラを持って来たのだった。そして,父が遊びにきたのは,この時と,息子が産まれた時の2回だけだった。
決して仲の良い関係とはいえなかったが,普通の親子のような思い出を残せたことは,せめてもの親孝行だったのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?