インフラエンジニアの生成AI活用術

インフラエンジニアの皆さん、生成AIの波が押し寄せる中、こんな悩みを抱えていませんか?

  • 普段の業務で生成AIを使う機会がほとんどない

  • クライアント先ではパブリックな生成AIの使用が制限されている

  • そもそも生成AIの有効な使い方がわからない

確かに、インフラエンジニアの業務において、一般的な生成AIツールの活用は難しい面があります。セキュリティ上の制約や、専門的な知識が必要な場面が多いためです。

しかし、適切な方法を知れば、生成AIはインフラエンジニアの強力な味方になります。本記事では、これらの課題を克服し、生成AIを効果的に活用して業務効率を大幅に向上させる方法をご紹介します。

想定する利用環境

  1. クライアント先でも使用可能な社給デバイスを活用(スマホ or テザリングした自社PC)

  2. 特定の目的に即したRAG(Retrieval-Augmented Generation)システムの構築

  3. クライアント情報を含まない技術的情報の効率的な確認と調査

具体的な活用シーン

  • 要件定義、基本設計、詳細設計

  • トラブルシューティング

  • 提案書作成のための情報収集

これらの場面で、クライアント情報を入力する必要なく、装置などの知識の補完や技術的な情報の裏付けを取ることができます。
また、RAG(NotebookLM)はリンクの共有が可能なので、チーム間でのナレッジ共有や、経験の浅い1~2年目社員の外付けの知識として活用することも可能です。

実践方法

Step 1: 情報源の特定

まず、Perplexityを使用して、対象となる装置や技術に関する信頼性の高い情報源を特定します。使い方はこちらのブログがわかりやすいです。
Perplexity AI基本操作:無料でココまで使える!初めての使い方ガイド

1. Perplexityにアクセス

まず、ウェブブラウザでhttps://www.perplexity.aiにアクセスします。スマートフォンの場合は、App StoreまたはGoogle Play StoreからPerplexityアプリをダウンロードすることもできます。

2. 質問を入力

ホーム画面の中央にある検索バーに質問を入力します。日本語でも英語でも質問できます。

収集する情報の種類

  • 装置の技術仕様書

  • コマンドリファレンス

  • 利用手順書

  • ユースケース事例

  • トラブルシューティングガイド

3. 回答を確認

質問を入力して送信すると、Perplexity AIが複数のソースから情報を収集し、回答を生成します。回答には参照元のウェブサイトへのリンクが付いているので、情報の信頼性を確認できます。

情報源の検証

  • 公式ドキュメント

  • 業界で信頼されているブログや技術サイト

  • 学術論文や技術書籍

  • ベンダーが提供するナレッジベース

4. 関連質問を活用

回答の下部に表示される関連質問をクリックすると、さらに詳しい情報を得ることができます。

5. サインイン(オプション)

サインインすると、無料版でも履歴の閲覧と保存や、PDFや画像などのファイルをアップロードして、それに対して質問をすることができます。

Step 2: RAGシステムの構築

NotebookLMを使用して、Step 1で収集した情報源をナレッジベースとして登録し、RAG(Retrieval-Augmented Generation)システムを構築します。

こちらでわかりやすく要点を整理してくれています。
もはやRAG不用? Google NotebookLMの利用方法とユースケース

NotebookLMのRAG構築手順

1. NotebookLMにアクセス

まず、ウェブブラウザでhttps://notebooklm.googleにアクセスします。Googleアカウントでログインしてください。

2. 新しいノートブックを作成

画面上部の「New Notebook」をクリックし、プロジェクトの名前を入力します。これがあなたのRAGシステムの基盤となります。

3. ソース(情報源)の追加

Step 1で確認・精査した情報をRAGのソースとして与えます。

  1. 画面左側の「Add Source」ボタンをクリックします。

  2. 以下のオプションから情報源を選択します:

    • Google Docs

    • PDF

    • テキスト(コピー&ペースト)

    • ウェブページ(URL)

  3. 選択した形式に応じて、ファイルをアップロードするか、テキストを貼り付けます。

4. 複数のソースを追加

RAGシステムの性能を高めるために、関連する複数のソースを追加します。これにより、AIがより広範な情報にアクセスできるようになります。

5. AIとの対話

  1. 画面右側のチャットインターフェースを使用して、AIに質問します。

  2. 例えば、「このドキュメントの要約を教えて」や「〇〇について詳しく説明して」などと入力します。

  3. AIは追加したソースを基に回答を生成します。

6. 回答の検証

AIの回答には、使用したソースへの参照が含まれています。これらの参照をクリックして、情報の正確性を確認できます。

7. メモの作成

重要な情報やインサイトは、画面中央の「Notes」セクションにメモとして保存できます。これにより、後で簡単に参照できるようになります。

8. 継続的な学習と改善

新しい情報や文書が利用可能になったら、随時ソースを追加します。
AIとの対話とソースの追加を重ねることで、システムの理解度と回答の質が向上していきます。

注意点

  • アップロードする文書には著作権や機密情報に注意してください。

  • 現時点でNotebookLMは無料で利用できますが、将来的に料金が発生する可能性があります。

Step 3: RAGシステムの活用

構築したRAGシステムを日々の業務で活用し、効率的に技術情報を取得します。

活用シーン

  • トラブルシューティング時の迅速な原因特定

  • 新規設計時の最適な構成検討

  • クライアントへの提案資料作成

セキュリティ対策

  • クライアント先ネットワークには接続せず、テザリングを使用

  • VPNを活用し、セキュアな接続を確保

  • 機密情報の取り扱いに注意する

具体的な活用例

  1. ネットワーク機器のコンフィグ生成

    • RAGシステムに「Cisco IOSルーターでVLAN間ルーティングを設定するコンフィグ例」と質問

    • 得られた回答を基に、実際の環境に合わせてカスタマイズ

  2. セキュリティインシデント対応

    • 「Fortigateで発生した異常トラフィックの調査手順」をRAGシステムに問い合わせ

    • 推奨される調査ステップに従って効率的に原因を特定

  3. クラウド移行計画の立案

    • 「オンプレミスからAWSへの段階的移行戦略」について、RAGシステムから最新のベストプラクティスを取得

    • クライアントの要件に合わせて、移行計画を具体化

まとめ

生成AIを活用したRAGシステムは、インフラエンジニアの強力な武器となります。信頼性の高い情報源を基に構築されたシステムを適切に活用することで、業務効率の向上と品質の改善が期待できます。常に最新の技術動向をキャッチアップし、RAGシステムを進化させ続けることが、競争力維持の鍵となるでしょう。

インフラエンジニアの皆さん、ぜひこの方法を試してみてください。きっと業務効率の向上を実感できるはずです!

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