人に頼れる人は、AIも使いこなす:7箇条から紐解く未来の仕事術
私は普段、「Notion Freak」というコミュニティに参加しています。先日、Notionアンバサダーのモーリーさんが、あるXの投稿を共有してくださいました。私も以前から、人に仕事を頼むのがどうも苦手で、いつも自分で抱え込んでしまうタイプでした。しかし、その投稿を見て、「これだ!」と目から鱗が落ちる思いだったのです。
「人に仕事を頼むときは絶対守れ」と言われた7つの掟 pic.twitter.com/I8Qti7cGTz
— もとやま📚著書『投資としての読書』 (@ysk_motoyama) October 30, 2024
今回は、その投稿で紹介されている「人に仕事を頼むときの7箇条」を手がかりに、これからのAIとの関わり方について考察してみたいと思います。AIが進化する中で、私たちの仕事の仕方はどう変わるのでしょうか?
人に仕事を頼むときの7箇条
1. 頼み事を軽く扱わない
仕事を頼む相手に対して、心の奥底からリスペクトを示すことが重要です。相手は自分の時間を割いて、協力してくれるのです。間違っても、次のような表現は避けましょう。
タスクを「投げる」
パートナー企業を「業者」や「下請け」と呼ぶ
人を「使う」「切る」と平気で言う
このような言葉遣いは、相手への敬意を欠くだけでなく、信頼関係を損なう原因にもなります。
2. 依頼の目的・背景を伝える
なぜその仕事が必要なのか、目的や背景を明確に伝えましょう。単なる作業指示だけでは、相手は「言われたことをやるだけ」の機械になってしまいます。
目的や背景を共有することで、相手は仕事の全体像を理解し、より良い提案をしてくれる可能性も高まります。
3. 納期を確実に伝える
納期を伝えないのは、「いつまでにやればいいですか?」という無駄なやりとりを生むだけでなく、仕事の優先順位を相手に丸投げしているのと同じです。
納期を設定することで、お互いにスケジュールを意識し、効率的に仕事を進めることができます。
4. 読んで「すぐ手」が動くレベルで具体的に
依頼内容は、誰が読んでもすぐに理解し、行動に移せるレベルまで具体的に書きましょう。
「で、何をやればいいの?」と相手を悩ませるような曖昧な指示では、仕事はスムーズに進みません。メールやチャットを送る前に、「これで相手は迷わずに動けるか?」 を最低3回は確認しましょう。
5. 「なぜあなたに頼むのか」を伝える
人は、自分がその仕事に適任であると認められたときに、モチベーションが上がります。
「誰でもできる仕事だけど、よろしく」と言われるよりも、「あなただからお願いしたい」と言われた方が、やる気が出るのは当然です。相手のスキルや経験を理解した上で、なぜあなたに頼むのかを明確に伝えましょう。
6. 相手の進捗を把握してリマインド
仕事を頼んだら、それで終わりではありません。納期通りに、期待通りの品質で仕上げてもらうまでが、あなたの仕事です。
定期的に進捗を確認し、必要に応じてリマインドしましょう。目安としては、期限の30%前くらいに一度、進捗確認するのがおすすめです。
7. お礼と成果をきちんと伝える
仕事が完了したら、必ずお礼を伝えましょう。さらに、「あなたの仕事のおかげで、こんな成果が得られました」と、具体的な成果を共有することで、相手の達成感や貢献意欲を高めることができます。
「また一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるような関係性を築くことが、今後の仕事にも必ずプラスになります。
「人に頼む」スキルは、AI時代を生き抜く力
これらの7箇条に共通するのは、相手の立場や状況を想像し、相手が動きやすいように配慮するということです。これは、人に仕事を頼む上で非常に重要なポイントですが、実はAIを使いこなす上でも本質的には同じことが言えるのではないでしょうか。
AIに「仕事を頼む」ということ
AIに何かを依頼する(質問する)ことは、人に仕事を頼むことと非常に似ています。先述した「人に仕事を頼むときの7箇条」を、AIに置き換えて考えてみましょう。
敬意を示す:
AIに「敬意」というと違和感があるかもしれません。しかし、AIを「道具」と見下すと、伝え方も雑になりがちです。AIを対等のパートナーと考え、丁寧な伝え方を心がけるとそれが最適なプロンプトにつながります。目的と背景を共有:
AIは、質問の背景や意図を理解することで、より適切な回答を返してくれます。「なぜその情報が必要なのか」「最終的に何を実現したいのか」を明確に伝える(プロンプトに含める)ことが重要です。例: 「新商品のキャッチコピーを考えて」とだけ依頼するのではなく、「若年層をターゲットにした新商品のキャッチコピーを考えて。商品の特徴は〇〇で、ベネフィットは△△です。競合商品との差別化ポイントは□□です」と、詳細な情報を与える。
納期を明確に:
ここはAIがエージェントとして進化した(そう遠くない)後の話かもしれませんが、複数の依頼をする場合は、それぞれの納期を明示したり、優先順位を伝えたりすることは人に頼むときと変わらないと考えます。すぐ動けるレベルで具体的に:
AIに対する曖昧な指示はハルシネーション(AIが質問の行間を想像で補完することでの逸脱)につながります。具体的であればあるほど、期待通りの回答を得られます。「良い感じに」ではなく、「〇〇文字以内で」「箇条書きで3つ」など、数値や形式を指定しましょう。例: 「良い感じのキャッチコピー」ではなく「新商品のキャッチコピーを20字以内で3つ。ターゲットは20代女性。親しみやすく、かつインパクトのある表現で」と具体的に指示する。
「なぜあなたなのか」を伝える:
これはAIに直接伝えるというより、「なぜこのAIツールを使うのか」を自分自身が理解しておくということです。それぞれのAIツールの特性を理解し、目的に合ったツールを選ぶことが重要です。例: 画像生成なら「Midjourney」、文章要約なら「ChatGPT」、特定分野の専門知識が必要なら、その分野に特化したAIツールを選ぶなど。
進捗確認とリマインド:
AIは人間のように、途中で質問してきたり、相談してきたりすることはありません。(エージェントの進化後はありえそうですが。。)そのため、定期的に出力をチェックし、必要に応じて修正や追加の指示(プロンプトの調整)を行うことが重要です。「進捗どう?」と聞く代わりに、「ここまではOK。次は〇〇について詳しく教えて」など、具体的な指示を出しましょう。お礼と成果を共有:
AIにお礼を言う必要はありませんが、得られた結果を評価し、何が良くて何が改善点だったのかを自分なりに分析しAIに共有することが重要です。フィードバックは、次回答の精度を高めるための「学習」につながります。
人に上手に仕事を頼める人は、AIにも上手に「仕事を頼む」ことができるのです。
AI時代の「人間力」
人に上手に仕事を頼める人は、AIにも上手に「仕事を頼む」ことができます。それは、どちらも「相手の能力を理解し、引き出す力」が求められるからです。
AIの進化は、単純作業や定型的な業務を代替していくでしょう。しかし、それは人間が不要になるという意味ではありません。むしろ、人間にしかできない仕事、人間だからこそ価値を発揮できる仕事に、より多くの時間と労力を注げるようになるということです。
そして、そのような仕事には、「人に頼る力」「AIに頼る力」、そしてそれらを組み合わせることで、一人では成し遂げられないような大きな成果を生み出す力が不可欠です。
人に仕事を頼み、AIにも適切に指示を出し、そして自分自身の強みも活かしながら、より創造的で価値の高い仕事をしていく。
それこそが、AI時代の「人間力」と言えるのではないでしょうか。
まとめ
「人に仕事を頼む」という一見シンプルな行為も、突き詰めれば奥が深いものです。今回紹介した7箇条を意識するだけで、仕事の効率や質が向上するだけでなく、周囲との信頼関係も強化されるはずです。
そして、この「人に頼む力」は、AI時代を生き抜くための強力な武器となります。人とAIが協働する未来は、すぐそこまで来ています。7箇条を意識して「頼む力」を磨くことが、新しい時代を生き抜くための鍵となるでしょう。
私自身、この記事を書きながら、「頼む力」の重要性を再認識しました。今日から、7箇条を意識して、人にもAIにも上手に頼れるよう、実践していきたいと思います。
まずは、AIへの質問(プロンプト)を考える際に、7箇条を意識することから始めてみませんか?そして、その経験を、ぜひ「人に頼む」際にも活かしてみてください。人に頼り、AIに頼り、そして自分自身の強みを活かす。
その先に、きっと新しい未来が広がっているはずです。