光が差し込み、気付けば夜明けだった
転職サイトでは面接にすら進めず、エージェントには戦力外と見なされたコウタロウですが、それでも諦めていませんでした。
いつものように転職サイトで広報パトロールをしていると、見たことのある社名が。当時は広報や広告のセミナーやら飲み会やらに参加しまくっており、そこで知り合った方の会社が広報を募集していたのです。早速連絡すると上司の方(Oさん)に繋いでくれました。しめた、Oさんとも面識がある。そうこうしているうちに「一週間後に会社の行事があるから、見学においでよ」。これは、ひょっとするとひょっとするかも??
暑い日でしたが、自分に一番自信を持てる秋冬もののスーツを来て臨みました。その時のメモ帳には「まずは時間を割いてくれたことへの感謝。そして、“勉強していること”をアピールするより“一緒に働きたい”と思われるアプローチをしよう」。おいコウタロウ、良いこと言うじゃねーか! 見学では、仕事で間接的に関わった業界であり、興味もあったので知りたいことがどんどん出てくる。たくさん質問しましたね。お昼にはOさんの上司の方(役員クラス)とお食事をご一緒し、最後に「待ってますよ」とのお言葉をいただきました。午後も色々な施設を見学し、帰り際にOさんと軽く条件面の話に。市場価値ゼロの男コウタロウは後先考えず、新入社員に毛の生えた程度の金額を提示(妻と子ども二人がいるのにね!)したところ、あまりの安さにOさんが驚いた始末でした。
後日専務との面接をセッティングしていただき、やっぱり秋冬もののスーツで参りました。人事の方が「広報業務未経験ながら、自腹で講座など受けてらっしゃるんですね。ウチは“挑戦する人”を応援する会社なんです」。他の会社には相手にされなかった要因である“未経験”が、この会社では評価される要因になっていた。これはパラダイムシフトと言えるのでは??「じゃあ、9月から宜しくね!」という専務の最後の言葉は今でも覚えています。
ついに広報ができるようになったのに大はしゃぎすることも無かったのは、同時に「会社を辞める」という初めての経験が迫ってきたからでしょうか。
つづくよ。