3月10日は特別な日

プロフィールにも少し書いているが、1994年のこの日、私は生死を彷徨う大怪我を負った。

大学の研究室のみなさんと、先生や先輩達と志賀高原にスキーに行き初日に私は事故を起こした。私は小さい頃からスキーはやっていて、その腕前には自信もあった。だが、初日の夕方、最後の一本で立木に激突して大怪我を負った。

救急搬送の間は意識晴明で受け答えもしっかりしていたそうだが、事故そのもの含めて記憶がない。欠落している。
受傷後は脳がどんどん腫れて頭蓋内圧が高くなるため、それによって脳幹を圧迫して死亡というのがこの手の怪我には多い。よって医師はこの頭蓋内圧を下げることに注力するが、私は意識が無く、人工呼吸器も装着されて5日間を過ごした。

私が意識を取り戻した時、前述の通り記憶が無い為自分の状況を把握するのは難しかったが、家族と筆談するうちにだんだん理解が進んだ。

この怪我の影響で左眼の視力と左耳の聴力を喪ってしまったが、他に麻痺や高次脳障害もなく奇跡的に助かることが出来た。

これによって私の人生は大きく変わったかもしれない。だが人生は一度きり、たらればはない。ということはこれが私の人生、宿命、運命なのだ。

退院後頭部外傷を原因とする外傷性てんかんに悩まされたり、慣れない片眼、片耳の生活にくさる時期もあった。
片眼なので遠近感がうまく掴めずポットのお茶を注ぐ時にこぼしてしまったり、片耳なので声を掛けられても気づかない時があったり。

時間が経つと共にそれらも「慣れ」てくるようになり、障がいも自分の個性として受容れるようになることも多くなった。

同じような怪我で入院している患者さんで亡くなっている人も多かったが、私は助かった。そこにある種の使命感、メッセージ性を感じることもあり、それを支えに27年間を過ごしてきた。

そして、思いもよらぬ方からのお見舞いの言葉を貰うことも多く、自分がいかに多くの人々に支えられているかを思い知らされる機会でもあった。

生きているって素晴らしい。来年もまたこの日を迎えることが出来ますように。

感謝。

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