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【原神】魔神任務5章4幕感想 観測ではなく、体験させるということ【ネタバレ】

こんにちは。
久しぶりの感想文です。
魔神任務5章4幕を終えました。

単純な評価としては大満足の出来でした。

以下がっつりネタバレあり

※体験を損なってほしくないのでゲーム未プレイの方は読まないことをオススメします。





オロルンの覚醒、夜神との交流、燃素と元素、隊長との協力、マーヴィカについて、偽りの空、最終決戦…などなど上げたらキリがないほどの情報量の多さだったんですが自分が一番心に残ったのは
プレイヤーにトリアージを体験させるシーンでした…。

選択肢によって死者数が増減する

最初に「評価としては大満足の出来」と言ったのですが
正直話云々に関しての評価というよりゲーム体験そのものに対する評価
と言った方がいいかもしれません。
原神というゲームシステムや媒体に対して非常にかみ合った出来だったので
プレイヤーとして満足できた、という意味です。

というものこの原神というゲーム、
オープンワールドのソーシャルゲームであるという都合から今までセーブしたり過去に遡ってやり直す等のシステムがないので
デートイベント以外は基本的に一度しか体験ができない。
現代ゲームに慣れ親しんだユーザーからしてみれば不便としか言いようがないシステムではあるんですが、これが今回は非常に活きた。

最初はいつものようになんとかなる、
任務に従って魔物を倒して人を助けていけばいいのだろうと
傍観者の気持ちで進めていっていたのだが
どの拠点に向かうか、
メインストーリーには関係しない任意の選択を用いたりして
とにかくプレイヤーに選択をさせる。
一度しか選択できないゲーム選択で自らが選択し、動かし、その結果どうなるのかというのをプレイヤーに見せていく。
その結果

伝達使が犠牲になっていることを暗に知らせる情報
一度助けたのに壊滅状態になっている懸木の民付近の拠点
1度助けたおかげで生存しているNPC(アチヤク)
後回しにしてしまったため全滅してしまう小隊
自分が助けに来ていたら助かっていたNPCの親子(イヨーバ)

どの拠点を助けに行くか、助けに行かなかった結果どうなったのかを
時間経過と共に生々しく見せてくる。
助けに行ったところも少し目を離したら犠牲者を大量に出し、
少し前まで会話してたはずの人が死んでいる。
戦況が悪化し、自分がどれだけ加勢しても犠牲ばかりが増えていく絶望感。

気球の上から壊滅状態の集落を見て絶望するシーン

このあたりでようやく自分が命の選別をしていたことに気づくことになる。
自分の場合は集落近くにある拠点や
人の多そうなところを優先して助けに行っていたので人の少なそうなところはほぼ壊滅してしまっていた。
そのうえでパイモンの「これが戦争なのか?」と震える声で尋ねられるシーンは
思わず胸が揺さぶられた。
この時点でもう自分はただの「傍観者」ではなくプレイヤーとして
このナタでの戦争を「体験」していたのである。

自分がこの魔神任務を「体験」だと思ったことはもう一つあって
それは自分が介入した結果どうなったのかを
自分の目でわざわざ確かめないとわからない点です。

最初の拠点で話しかけるかどうか任意の選択が出る
テポズの母親マヤウェル
選択肢によって生存が変わると考えられるNPCの親子

メタ的な視点になってしまうのだが、
死によって視聴者やキャラクターに衝撃を与えたい場合は
ある程度慣れ親しんでおきながら退場しても特に物語に影響が
なさそうなキャラクターが選ばれるため
正直クイクに関しては初登場時からNPC顔なのにやたらセリフが多く
死亡フラグが立っていたので悲しい以前に
(やはり…)という気持ちの方が勝ってしまっていた。
(ドニアザードのように復活する可能性もあるかなと思っていたが
チャスカがそれで覚醒してしまったのでクイクが復活するとチャスカの覚醒がちゃっちいものになってしまうので復活しないと思われる)

クイクはあくまで旅人として自らの選択で絡んだわけではなく、
物語上成り行きで絡むことになったキャラクターであったがために
彼女に対してはどこか傍観者的な視点になってしまっていたのだと思う。

しかし、テポズとマヤウェルに関しては
間違いなく生きてても死んでいてもストーリーには一切影響を及ぼさない。
クイクと違って今さっき出会った、言い方を選ばずに言うなら「どうでもいいモブ」なのだ。
一時的な会話をしただけで今後のことなんか描かれているかどうかすらわからない。
だからこそ、自分で絡みにいった2人の生存と親子の再会を見届けられた時は純粋に嬉しかったのを覚えている。
助かったのかどうかを自分で「確認」しに行ったからからこそ
結果を目の当たりにすることができるのだ。
これはもはや傍観ではなく「体験」なのである。
おそらくNPCの生死どころかキャラ名すら覚えてない、どうでもいいといったプレイヤーの方が多いと思うのだが、
一部のプレイヤーのためにアフターケアがきちんとなされていることに毎回舌を巻く。
プレイヤーが体験できるように運営側がそう製作している、
これだけの選択肢がある中で異なる分岐を用意することがどれほど
大変でめんどくさいことなのかを
大人になった自分はくみ取ることができるので
その作り込みに毎回驚かされ、やられた!と思うのだ。

それだけじゃない。
ゲーム体験として補足的にまたやられた、と思ったのは
現代ではSNSやYoutubeなどのプレイ動画で
たくさんのプレイヤーが発信できる環境にあることを利用しているのも
上手いと思った点である。

今回の魔神任務、1度きりの選択しかできないわけだが
SNSやYoutubeでは自分が選ばなかった選択肢を体験したプレイヤーが
たくさん発信してくれるので自分が選んでいない選択肢の
死亡してしまったNPCの生存した場合の会話を見ることができる。
つまり、自分が魔神任務を体験し終わった後も
他人の魔神任務を見ることであったかもしれない世界を体験することができるのだ。
自分が見捨てたNPCにもまた別の人生があったということをまざまざと
見せつけられてしまう。
一度しかできない選択の重みを突きつけられることになるのだ。


今回の魔神任務、非常に情報量が多く4幕のラストの展開のお話も
とても面白かったのですが
特にこのゲーム体験が非常に原神と噛み合っていて
ゲームという媒体ならではの楽しみ方ができたので非常に満足できました。
インターバルがなく、マップに閉じ込められるのもユーザーにとっては
絶対に不便なはずなんですがそうまでしても
このナタでの「戦争」をプレイヤーに「体験」してもらいたい、
そういった運営の気合を感じ取ることができました。
ただストーリーを読んだり、プレイ動画等で知った気になるのではなく、
自分の意志で選択し、キャラクターを動かすことによって意味が生まれ、
体験できるストーリーは非常に良かったですね…。
あまりにも良すぎて勢いでこんな記事を書いてしまう程度には
良かったんです。


魔神任務5章5幕も楽しみですね…。
いい体験をありがとうございました。

おしまい。




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