#19 免許取得 最初の試練
-19-
若いね~
これは5年前か。
センター二人は、もちろん俺とうちのボーカルわたる やね。
この写真は深夜二時。小倉駅。
高校二年生で深夜徘徊ってほんとうちは自由な家庭だな。
ゆうて俺以外もみんな一個上だから全員高校生じゃねえか。
なぜ高校生がこんな深夜に小倉で写真を撮ってんのか。
今日ものんびり話してこう。
タイトルの通り、これは免許を取得したものが最初に行う試練だ。
と言っても、この試練はこの日に決まった。
しかも運転手自ら言い出した。
運転手は、たかさん。
この人の音楽に対する向き合い方は本当に尊敬する。
音楽の知識もすごいし、いろんな楽器もできて、ジャンル問わず聴いている。
作曲提供の仕事を少しずつ始めていた。
今は知らんがたぶん何かしら音楽をしている。
元ドラマーのギターボーカル。
Kから始まる、高校生バンド界隈をぶん回していたバンドのリーダーだった。
当時、高校生バンド界隈で知らない人はいないくらいだった。
余談だが、わたるもそうだった。
わたるはそのたかさんのバンドに所属したり抜けたりしていた。
わたるはあくまでも作曲者だった。
たかのつくる曲かっこいいし面白いけど、やりたい音楽ではないと当時から言っていた。
だから、もう一つのメロコアバンドを掛け持ちしていたわたるは、そっちがメインだった。
その後、やっぱり俺はギターロックがやりたいと言い、俺とMy Peaceを組むことにした。
My Peaceを組む前はゴリゴリの英詩をツービートに載せて歌っていた。
あんまイメージわかんやろがい。
話を戻して。
もう一人いるやつは、川上。
こいつは高校生バンド時代の俺の相棒だった。
そう、同じバンドのベーシストで、リズム隊としても、人としても気が合う大好きな奴だ。
こいつはぶっ飛んでいる。基本的に。
いやもうこの4人自体全員ぶっ飛んでいた。
だからこんな試練が生まれたんだ。
そもそも行こうってなったのも急だった。
たかさんとわたる。
こいつらは当時一個下の俺を、良くも悪くもタメのように見ていた。
二人は仲がいい。今でもだ。
しかも当時は同じバンドだったから、尚さらずっと一緒にいる。
年上なら年上らしく、後輩の俺にかっこいい姿見せてくれよ。って思ってた。それも仕方ない。
当時の高校生バンド界隈ほぼわたるの代しかいなかった挙句、俺の代は俺一人だった。
だから、一個上の人たちはみんな俺を
「お前はもうタメやろ!」
って言ってくれてた。
それが結構嬉しかったんだよな。
迎えてくれてるみたいで。
こうして、盃を交わして兄弟となったサボ(たか)とエース(わた)から
夜頻繁に電話がかかってくるようになった。
内容は
「遊ぼうぜ。」
だった。
まあ、いつものことだろうと思っていたら、
「迎えに行くわ。住所教えて。」
だった。
当時高校2年生だぜ。
学校の5年の先輩から遊びに連れてってもらえる感覚とはまた違った。
何というか、
ーーーもう自分たちで好きなところに行けるぞ。ーーー
って感じだったな。
その日に納車をしたというたかさん。
真っ白な新車だった。
迎えに来るなり、行き先を伝えられた。
「今から ”下道で” 小倉に行きます。」
数時間前の夕方まで、チャリを漕いでいた俺たち。
時刻は夜22時。
行き先は県外。しかも下道。
降りようとしたが、チャイルドロックがかかっていた。
こいつらは本当に俺の行動を読んでやがる。
出られないので覚悟を決める。
「もう一人乗れるけど、誰がいい?」
この質問に対して俺は即答だった。
この時間に暇で道連れにしたい奴なんかこの世にたった一人だった。
俺は人の住所をペッラペラと喋った。
2人目の被害者宅に着き、電話で呼ぶ。
「この時間に遊ぶのはいいんやけどどこ行くんおてか新車やんかっけえいいなぁおしギタボ2人にベードラおるけんこのまま県外にツアーいくか。」
となめるようにスラスラとテキトーなことをいう彼に行き先を伝える。
さっきまでの笑顔が、彼から突然消えた。
こうして、免許を取った初日にたかさん号は小倉へと走り出した。
(生きて帰れますように)
道中何を話したかは全く覚えていない。
が、着いてからの記憶はある。
深夜2時半。無事小倉駅、現着。
トイレに行きたい!トイレに行きたい!
と叫びまくる。年上三人。
性格の悪い俺はこいつらをすぐにトイレに行かせるのはもったいないと思い、
「せっかくやけん写真撮っとこうぜ!」
と言い、なんか変な手摺かなんかに携帯をセットした。
写真を撮るのにあえてグダグダしていると我慢できなくなった男たちが次々跪いていくが、
無理やり立たせ撮った一枚が今回のノートの表紙というわけだ。
そして、無事トイレでミッションをクリアした男たちが戻ってきた。
ここからはノープランの高校生たち。
腹が減ったため開いている飯屋を探したどり着いたのは、大分にもある一蘭だった。
ここで大分でも同じものが飲める濃厚なスープを口にし、胃を満たした高校生御一行はすぐ大分に帰り始めた。
帰りの車で、
「次免許取ったやつ今度運転な!」
と自分がやりだした最低な試練を俺たちに押し付けてきた。
そして、俺が免許取る頃、もう大分にいなかった川上が来れなかったため、
仕方なくMy Peaceを餌食にした。
結局みんなツアーごっこみたいで楽しんでた。
同じ下道で、同じ小倉の、同じ一蘭だけ食べて
大分に帰ってきた。
帰りの道ではもう運転なんか片手でも余裕だってくらい上達したので、
皆さんも免許取ったら深夜、下道で、小倉の一蘭を食べに行ってみてください。
おススメです。
一蘭 小倉店
〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町1丁目3−23
住所貼っときますね。
くれぐれもお気をつけて。
このメンツのお話はまだ何個かあるので、いつかまた。
それを書きたくなる時までノート飽きてなかったらね。
今日もありがとう~また~!