元交際相手について

前の日記に恥ずかしいから好きな人のことは書かないと言ったがあれは嘘だ。日記という自分語り専用スペースは今の私が絶対ルールなので、昔の私が言ったことなんて適用されない。


ずっと好きだった人がいた。最後の方は執着していたから、純粋な好意だけであったのかはよく分からない。

兄であり弟であり親友であり恋人だった。すごく気が合うし面白い。

K君は小学校の頃に転校生として隣のクラスに来た。その頃は特に何とも思っていなかったが、複数人の友達を交えてたまに遊んでいた。あまり詳しくは覚えていないが、誰かの家の庭でK君が持ってきた「僕だけがいない街」全巻を読破した覚えがある。

中学生になって彼は陸上部に所属した。2年生になって私たちは生徒会に入った。彼は生徒会長だった。

K君はとにかく人当たりが良くて、先生にも好かれるタイプの人間だった。
私が大嫌いだった体育教師が担当するクラスに3年連続いて、「お気に入りだから引き抜かれてんだろうな」と思っていた。

悪く言えば八方美人なんだろうけれど、私にはすごく大人びて見えた。その頃の私は典型的なカスのオタクムーブを繰り出し、内輪で固まっていることが多かった。
私にはできないことをごく当たり前にしているのを見て段々と好きになった。

3年に進級するタイミングで、塾に通うようになった。そこにはK君もいた。
その塾の方針が「志望校が決まっていなければ、一旦公立の1番頭のいいところを目指す」というものだったので、自動的に志望校が同じになった。

暫定の志望校が同じというだけなんだけれど、すごく嬉しかった。

しかし彼は志望校を変えた。4人兄弟の長男で私立には行けないプレッシャーもあったのだろう、確実に受かると言われた公立高校に受験した。

私はそのことを聞いても志望校を変えなかった。誰かに影響されて進路を選ぶ訳にはいかないし、プライドが激高だったので絶対に「あの高校を諦めたんだね」と言われたくなかった。私はまだ幼く、親に迷惑かけるの上等の精神だったからできたことかもしれない。

志望校が離れると自動的にクラスも離れるのであまり接点がなくなった。好きだと勘付かれるのが本当に嫌だったため、こっちから話しかけることもなかった。

私も普通に合否のボーダーラインにいたから、ひたすら過去問だけを解かせられる部屋に入れられたり、腕試しと称されて行く気もない私立高校に受験させられたりした。大学受験の時よりも勉強していた気がする。

私も彼もそれぞれの高校に合格して、会うことはなくなった。通学方法も違うので本当に会う瞬間がなかった。

私は吹っ切れるために彼に好きだと伝えようと思った。学校も離れて会うこともないし、振られても気まずくならないからいいタイミングだった。
自意識がデカかったので「私のようなランクの人間が彼氏などと抜かしていたら笑われる」と思って中学時代は何もできなかったから、終わらせたかった。

高校1年の7月の自然教室の夜にラインで告白した。そしたら付き合おうという旨の返信がきて、本当にひっくり返った。絶対に騙されていると思った。誰かに勝手に操作されていると思った。

後日指定した場所に向かうと本当にK君がいて「マジやんけ」となった。色々整理がついていなかったので上手く脳が働かなかった。働かないなりに考えたことが、

・半年以上もまともに話していないし、会ってもいないのに好きでいるのはおかしい。これはK君本人ではなく私の脳内で作られたK君が好きであるに違いない。

・K君が私と交際しようという魂胆が分からない。分からないことが怖い。私を好きだというならセンスが悪い。

完全にバッド状態に入ってしまった。計画と違う。
「ぼくの考えた最強の計画」はK君に振られて、吹っ切れて、高校で好きな人を作るぞ!という少女漫画もびっくりの王道展開だった。

このバッド状態から抜け出すのに半年かかってしまった。その間にも遊びに行ったり、一緒に勉強したり楽しく過ごしていた。

ただ、付き合っていることは周りに言わないでほしいと念押ししていた。これもすごく自分勝手な理由なんだけれど、自分がK君と交際しているというのを誰かに知られるのが嫌だった。

浮かれていると思われるのも嫌だし、中学の同級生のことをまだ引きずっていると思われるのも嫌だし、「私」という人間に恋人がいるという状態が嫌だった。自分自身に対して解釈違いを感じていた。

改めて書き起こすと本当に自分のことしか考えていない。「〜と思われる」というのも視点が他者にあるようで嫌だ。私の軸はブレブレだ。

それでもK君とは大きな喧嘩もすることはなく仲良くやっていたと思う。

高校3年の6月。私は夏にコンクールが控えていたのでガッツリ部活をしていたが、K君は部長も務めた陸上部の最後の大会が終わり本格的に受験勉強を始めていた。

その頃に私は振られた。まあ最近は電話の頻度も減っていたし仕方ないかと思った。一応何が原因か聞いたが、彼は「自分が悪い」の一点張りで私は関係ないと言っていた。結局最後まで本心は分からなかった。

泣いたり怒ったりはしなかったが、未練はタラタラだった。

彼は本当にSNSをしない人で、インスタは全く動いていなかった。本人にラインしない限り現状は分からない。振られた後にどういう生活をしていたかは知る術がなかった。

私は「大学の同窓会で再会して〜のパターンを狙うか〜」など、キモいことを考えながら部活を引退して、受験勉強をしていた。

本当に彼のことが好きだった。執着も見下しも好意も性欲も尊敬も全部がない混ぜになった、マーブル模様の好きだった。

高校を卒業し、大学の合格発表があった。K君がどうなっていたか全く分からなかった。
久しぶりに連絡を取り、九州南部の国立大学に進学するということを聞いた。交際していた頃が夢だったみたいに普通の友達として話した。

一旦終わり。今は頭がおかしいのでこの日記を公開するが正気に戻り次第消す。ただ聞いてほしかっただけなんですよ

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