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家出密着28時間

タイトルに家出って書いたけど、そんな物騒なものではない。弾丸旅行のこと。語感がいいから家出。

9/5(木)の午前中は大学に居た。
午後から暇だと思った。バイトは週末からだし、明日もなんにもない。


そうだ島根に行こう。そう決めてすぐに準備した。
元々青春18きっぷがあと2回分残っていて消費しなくてはと考えていたのだ。

14時ごろに家に帰って、最低限必要なものをリュックサックに詰め込む。宿も何も決めていないけど、とにかく行く!

16時くらいの電車に乗った。今回は在来線だけではなく、高速バスも使って移動する。電車を降りてバス乗り場を探す。迷った、出発まであと10分。これを逃せば今日中に島根に行けない。何とか見つけて乗り込んだ。結構人がいる。

バスは自由席であり、想像よりも多くの人が乗っていた。何個か停留所を過ぎたあたりで私の隣にも旅行帰りっぽい女性が来た。
こういう時少し安心する。隣に座っても大丈夫そうな服装・人相・雰囲気でいると思えるから。

バスの中で前回の日記を書いた。バスの中ではスマホの充電ができなかったので、日記を書いたあとなるべく触らないようにした。本を持ってきてよかった。この間、隣の女性が右に90度に曲がって寝ていた。通路側ってもたれかかる場所がなくて大変だよねと思った。それでも窓側は譲らないけれど。


浜田駅

島根県の浜田駅に到着。ここから出雲市駅まで電車で移動する。山陰線は本数が少なめだ。私は出雲市駅に向かう19:50分発の電車に乗った。これが目的地に向かう便の終電。

海岸線沿いに線路があるので海が見れるかと思ったが、夜なので真っ暗。窓に映る私と目が合う。「殺す眼」をしている、匿名ラジオに送ってやろうか。

移動中にたびたび電波が繋がらなくなる。トンネルも多かったからだろうか。
折角だから持ってきた本、「麦本三歩の好きなもの」を読む。ネタバレはないよ。



いまいち主人公を好きになれない。なんか、本の方から「こういう女の子、好きでしょ?」みたいな圧を感じる。
いや、確かに好きなんだけど、なんかこうさ、好意を自覚しないまま読み終えたいというか、ねえ。迫られてくると引いてしまう。
でも、三歩を好きな人の方がいいよなって思う。人間的にも、人生の予後的にも。


浜田駅から出雲市駅までは2時間ちょっと。もうカラオケオールする覚悟できていたけれど一応宿も調べてみる。宿はさすがになかったが、駅前にネカフェがあった。そこに宿泊決定。

途中で車内放送があった。何本か前を走っていた車両がイノシンとぶつかったらしく、20分ほど遅延している。イノシシ~。
確かに線路脇は暗くてよく見えないが、林が広がっている。電車に激突する野生動物の1匹くらいいるか。

22時過ぎに出雲市駅に到着。まだ夜はこれから、といった時間帯であると思っていたが駅構内にも、駅前にもあまり人がいない。体感としては24時過ぎの人のまばら感。これが山陰線沿いなのかと思った。

ネカフェに入った。カラオケで歌って、そこらへんのドラッグストアで買った魚肉ソーセージを食べてから寝た。


9/6(金)、5時起床。始発で第一目的地である出雲大社へと向かう。電鉄出雲市駅からは乗り換えありで30分程度で到着する。始発は6:09発であり、誰も乗っていないと思っていたが、ちらほらと人がいる。

朝日に照らされる電鉄出雲市駅。

眩しい。朝は空気が澄んでいて、光が滲んでいないように感じる。電車は住宅街を通り過ぎてから、段々と田んぼの中を割って進んでいく。
田んぼには収穫間近の稲穂が頭を垂れている。稲穂の上に寝転がってみたいけれど、泥だらけになるか。

2枚とも出雲大社前駅の写真。なんとなく門司港駅と似た雰囲気を感じる。

これは早起き旅行ライフハックなのだが、神社や寺などの施設は朝早くからでも訪れて良い場合が多いので、最初に向かうのがよい。
これの悪い点は、観光の目玉である参道前の商店街がだいたい営業していないことである。


朝早いのにそこそこ人がいる。境内を一周回ってみる。
神社の看板に書いてある説明を読むのが好きだ。いつもだったら知らないことが書いてあるが、今回は出雲大社なので超メジャーな伝承ばかり書いてあって面白い、「因幡の白兎」とか。

出雲大社は縁結びの神社だ。11月に行けば神有月だから神有祭が開催されるらしい。
私はおみくじを引いて、初めて御朱印をもらった。
集めるのハマりそう、精神がセブンイレブンのポケモンスタンプラリーをしていた頃から変わっていない。

うさぎがハートを持っている、かわいいね。

この近くに稲佐の浜があるらしく、そこまで歩いて行った。どういう場所なのかは知らない。

奥に見えるのは弁天島。

稲佐の浜に一際目立つ丸い島があります。
地元では「べんてんさん」と呼ばれて親しまれている島で、かつては稲佐湾のはるか沖にあったため、沖ノ御前、沖ノ島と呼ばれていました。

昭和60年前後までは、島の前まで波が打ち寄せていましたが、近年急に砂浜が広がり、現在では島の後まで歩いて行けるようになりました。
(一部抜粋)

https://izumo-kankou.gr.jp/213

沖ノ島って名前の島は他にもあるよね?って思ったら福岡県宗像市にあった。名前って被りがち。

なんの知識もなかったため、見た瞬間「確認!」となってしまい、目的が達成された気がした。
事前にどういう場所か調べて行った方がもっと楽しい。少し散策してこの場所をあとにした。遊びたい気はあったが、実はこの後も浜に行く。

帰りも参道に続く商店街を通ったが、まだ営業時間前のようでどこにも人がいない。喫茶店だけやっていたが、特にお腹も減っていないのでスルー。


今度は2つ目の目的地である「仁摩サンドミュージアム」に行く。
とりあえず、電鉄出雲市駅へと向かう。

電車内にしまねっこがいた。
おいしそう。

9時頃に着いたとき、出雲市駅に併設されてある商業施設がオープンしていた。お土産がいろいろ売られている。出雲そばだけ買った。

時間もないので電車に乗り込む。電車は1時間に一本程度であり、逃したら時間ロスである。
乗り込んだ電車は一両編成であり、座席は人で埋まっていた。ここから仁万駅まではおよそ1時間。

しばらく進むと海が見えてきた。

昨日の真っ暗な景色はこんなに素晴らしかったのか。林を切り開いていくように電車は進む。単線がどこまでも伸びる。
マインクラフトで無限に鉄道を通していたことを思い出した。現実のレールを敷く作業はTNT爆弾でむやみに山を崩せないだろうから大変だ。

乗ってきた一両編成。

仁万駅に着いた。私の他に降りる人はいなかった。ここから仁摩サンドミュージアムは歩いて10分らしい。

日差しが強い、日傘をさして歩く。人が誰もいない。時々車が通り過ぎるくらい。家の窓は空いていたり、洗濯物が干してあるから多分存在はしているんだけど。今日は外を歩いては行けない日なのかな、と思ったりしながら歩く。

仁摩サンドミュージアムに着いた。ピラミッドみたい。入場料は800円。受付で砂絵の台紙とチケットを貰って中へと入る。

早速砂時計が展示してある。順路は地下に向かって矢印が伸びている。階段を降りる。

落書き。

砂絵を描けるコーナーがある。
私の他にも親子連れやカップル、おばあちゃん達のお客さんがいた。平日にしては多い気がする。

砂絵をもくもくと描いた。台紙のモチーフはジャック・オ・ランタンだった。少し気が早くないか?あと2ヶ月後の行事だからね、ハロウィン。

このフロアにはお勉強コーナーといった感じで顕微鏡などが置かれており砂の粒を観察できるようになっている。

自作枯山水。

これは自作枯山水。作るの難しい。砂の跡が水の模様というか、みみずが這った後のようになっている。これで食って行くのは難しそうだ。

一通り遊んだ後、エレベーターで元のフロアまで上がる。ここから砂時計コーナーだ。

十日計砂時計。

十日間分測れるらしい。圧力などで落ちる砂を調整しているらしい。意外と機械的だ。

漫画「砂時計」コーナー。

ここにきた1番の理由である。芦原妃名子先生の「砂時計」の最初に仁摩サンドミュージアムが出てくる。ここは物語の重要な場所なのである。
小学生の頃に気付いたら漫画が家に置いてあった。多分母が買った。

砂時計は本筋というより、本編が終わった後の番外編エピソードが印象に残っている。主人公の母達の学生時代のエピソードや恩師の話。
地元というか田舎に対して、疑いを持つようになったのもここからかもしれない。

ありがちな少女漫画だとは思う。しかしちゃおしか読んだことない私には新鮮な、少し大人の少女漫画だった。

色々思い出しながら展示を見て回る。最後の部屋、タイムホールにこのミュージアムの目玉の展示品がある。

1年計砂時計「砂暦」

逆光で少し見にくいが、これが1年分の砂時計。デカい〜。
砂が流れて行く様子などは全然分からなかったが、どデカい装置が頭上にあるというのは結構面白いんだなと思った。

仁摩町には、全国有数の鳴り砂の浜「琴ヶ浜」があります。その「鳴り砂」の保全と環境保護を願って「一年計砂時計」を設置。
この大砂時計は、「砂暦(すなごよみ)」と名付けられ、1tの砂を一年かけて落とす世界最大の砂時計です。全長5.2m、直径1mというジャンボ容器を使い、1tもの砂がわずか直径0.84mmのノズルから刻々と落ちています。
砂は山形県西置賜郡飯豊町遅谷の鳴り砂を選定。1秒間に0.032g、1時間に114g、1日で2,740gの砂が、コンピューター制御により、悠久に流れ、常に時を刻んでいます。
砂暦は、同志社大学名誉教授であった、故三輪茂雄氏が監修、3年かけて完成。費用は1億円、ふるさと創生事業によるものです。

https://www.sandmuseum.jp/facility/23

ホームページに書いてあった。数字で説明してもらっても全然実感湧かないな。
壮大な計画の出力結果なのはよく分かった。

登って近くでみたいなとも思うが、そういうイベントもないようなので満足するまで眺めて、最後の目的地へと向かう。


最後の目的地、琴ヶ浜である。

この浜は「鳴き砂」で有名である。

鳴き砂は鳴り砂ともいいますが、ちょっと動かせば音が出る砂のことで、その昔、日本列島には至るところに真っ白な砂浜があり、足跡一つない砂の上を歩けば「クックッ」と鳴きましたが、現在では限られた浜しか鳴くことはありません。

https://nakisuna.jp/nakisuna/

綺麗な砂浜でないと鳴らないらしい。詳しい原理は自分で調べてください。

砂浜で遊ぶ前にご飯を食べたい。朝から昨日買ったギョニソしか食べていないのだ。もう動けない。近くにお店があったのでそこで食べることにした。

チーナカ豆というカフェで、カレーとかき氷を食べた。

いちごのかき氷。

美味しかった〜!おしゃれな味がした。
このカフェは海の家を再利用して作ったらしい。だから海がすぐ目の前に広がっている。

遠くを見ながらゆっくり食べる。
途中で店員さんから「昨日はイルカが来ていたよ」と教えてもらった。見たかったなー。
よくよく話を聞くと、近くに来る訳ではなくて遠くに少しだけ見られるらしい。それでもちょっと見たい。

お腹いっぱい食べて体力回復!砂浜で遊ぶ。
砂を鳴かすには少しコツがいるらしい、最初はぼすぼすとしか鳴らなかった砂も次第にキュッと聴こえるようになってきた。

ね!キュッキュッと聴こえるでしょ!
楽しくなって変な歩き方で10分歩いた。シーグラスを探したり、海に手をつけてみたりして気が済むまで遊んだ。

電車の時間が来たので駅へと向かう。

待合室にいても遠くに波の音が聴こえる。ここにずっといたいと思った。


電車に乗った、今度は座れた。
昨日は全然眠れなかったので、電車の中でうつらうつら。

居眠りの途中でビクッとなり、窓に頭を打ちつける。鈍い音が車内に響く、隣の女子高生がこちらをみた気がする。恥ずかしい、またすぐに眠る。

あっという間に浜田駅に着いた。
1日とちょっとだけだったけど楽しかったな。帰りのバスも爆睡。


今回の日記、約5000字あるんだけど。ちょっとしたレポートだ。簡潔にまとめる能力が欲しい。

島根はいいところなので皆さんも行ってください。

それでは、さようなら。

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