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確定申告の達人に!経費計上の意外な落とし穴5選

確定申告の時期になると、多くの事業者が経費計上の判断に悩まれることと思います。特に1年分の処理を溜め込み、まとめてやってしまうことが習慣となっている方にとっては、憂鬱な気分になってしまうかと思います。

今回は、経費計上時によく見られる5つの落とし穴と、その対策について解説します。

残高確認の重要性

経理処理の基本となるのが、現金や預金の残高確認です。日々の取引を正確に記帳していても、実際の残高と帳簿上の残高が一致しないことがよくあります。

特に現金については、定期的に実際の有高と帳簿残高を照合することが重要です。また、普通預金や定期預金などの通帳残高についても、毎月の残高確認が欠かせません。さらに、期末には適切な商品の棚卸しを行い、在庫などの棚卸資産を正確に計上する必要があります。

按分計算の正確な処理

事業とプライベートで共用している経費の按分計算は、特に注意が必要な分野です。自宅の一部を事務所として使用している場合の家賃や光熱費、携帯電話やスマホ・インターネットの通信費、車両や備品の使用状況など、適切な按分比率の設定が求められます。

重要なのは、この按分計算の根拠となる資料を保管しておくことです。税務調査の際に、計算根拠の説明を求められる可能性があります。事業使用割合を示す業務日誌や走行距離記録などの資料は、必ず保管しておきましょう。

計上時期の適切な判断

経費の計上時期も、しばしば誤りが生じやすい項目です。支払時期と役務提供時期が異なる場合、どちらの時点で経費計上すべきかの判断が必要となります。

また、前払費用を一括計上してしまうケースや、クレジットカード支払いの計上時期を誤るケースなども多く見られます。原則として、費用は役務の提供を受けた時点で計上し、前払いの場合は期間按分して計上する必要があります。

減価償却の適切な処理

固定資産の減価償却に関する処理も、注意が必要です。まず、事業用資産とプライベート用資産の区分を明確にする必要があります。また、10万円以上の耐用年数1年以上の資産については、原則として減価償却を行う必要があります。

少額減価償却資産(30万円未満)や一括償却資産(20万円未満)の選択も、事業の状況に応じて適切に判断する必要があります。これらの制度を効果的に活用することで、税負担の平準化を図ることができます。

証憑書類の適切な管理

経費計上の基礎となる証憑書類の管理も重要です。領収書に宛名がない、または但し書きの内容が具体的でないケースがよく見られます。また、領収書の保管期限(最長7年)を超過してしまうケースや、「電子帳簿保存法」に則った保存がなされていないケースも散見されます。

特に2024年1月からは電子取引データの保存が義務化されており、より厳格な証憑管理が求められています。

「電子帳簿保存法」について知りたい方は、以下の記事もご参照ください。


対策のポイント

これらの落とし穴を避けるために、以下の点に注意が必要です。

1. 日常的な管理の徹底
毎日の記帳と月次での残高確認を習慣化し、早期に誤りを発見できる体制を整えましょう。

2. 明確な区分管理
事業用とプライベート用の経費を明確に区分し、按分計算が必要な項目については根拠資料を整理しておきましょう。

3. 証憑書類の適切な保管
領収書などの証憑書類は、法定保存期間を考慮して適切に保管します。電子保存の要件も確認しておく必要があります。

最初は処理に手間どうでしょうが、日々の取引の多くはルーティーン化していることが多く、継続していくことで慣れていくでしょう。

まとめ

経費計上の誤りを防ぐためには、日々のこまめな処理と定期的なチェックが重要です。不明な点がある場合は、早めに税務署や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

確定申告は事業者の重要な義務であり、適切な経費計上は適正な課税の基礎となります。本記事で紹介した落とし穴に注意しながら、正確な経理処理を心がけていただければと思います。

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