【不動産登記】住居表示実施の証明書を取るには?

相続の登記、または住所移転の登記で必要になる「住居表示実施の証明書」ですが、一般の方にはなじみが薄いようで、「なにそれ?」「どこで取れるの?」「なんでそんなものがあるの?」なんて質問がよくされます。
法務局職員としては「管轄の市町村役場に問い合わせてください」としか言えないのですが、全国的な取り扱いもほぼ統一されているようですし、簡単にまとめておきます。

Q:まず「住居表示」って何?
A:「○番○号」のことです。
土地についている名称は、原則的には法務局が管轄する地番で表記します。これらは「○番地○」という表記がされます。
しかし、郵便上の都合から「○番○号」という住所を割り当てられている地域も多くあります。この、「○番○号」を住居表示といい、「○番○号」を新たに付与することを「住居表示の実施」と言います。住居表示の実施は管轄の市町村で行われます。

Q:住居表示実施については住民票に載っているの?
A:多くの場合、載っていません。
住居表示実施の旨は、一部の市町村では住民票に記載が見られます。しかし、多くの市町村では住民票システムにより自動的に行われてしまい、住民票上で住居表示実施の旨が確認できないことが多くあります。
登記では住所の繋がりが重要とされますので、住居表示実施が住民票で確認できない場合には、住居表示実施の証明書を追加で添付することを求めることになります。請求先は管轄の市町村役場の、通常は「住民課」「市民課」といった、住民票を取り扱う部署で行われているようです。

Q:住居表示実施の証明書を請求するには、何を書けばいいの?
A:①「証明される人の氏名」②「住居表示実施前の住所」③「住居表示実施後の住所」④「住居表示実施日」を分かる範囲で記載し、本人確認をされた上で発行されるようです。
例えばXさんの住所が平成2年3月4日に「1234番地の5」から「6番7号」に変わったとすると、
①「証明される人の氏名」:X
②「住居表示実施前の住所」:○市○町1234番地の5
③「住居表示実施後の住所」:○市○町6番7号
④「住居表示実施日」:平成2年3月4日
と記載し、証明を得ることになります。多くの場合は②と④をご存知ないようですので、①と③を記載して②と④を役場の人に記載してもらう形を取るか、電話で事前に尋ねた上で記載する形をとると思います。

Q:本人以外が請求しても取れるの?
A:登記等の理由があれば誰でも取れるところが多いようです。
個人情報の兼ね合いもあり、全国統一で大丈夫だとは断言できませんが、調べた限りの市町村では誰でも請求が可能だと書いてあります。

Q:費用は?
A:通常は無料です。

Q:勝手に住所を変えておいて、請求を受けてから証明を行うという消極的態度はいかがなものか
A:私もそう思います。ただ、一部の市町村では住居表示実施時に、対象の世帯に何通か証明書を送付するという積極的対応をとったと聞いております。田舎であればあるほど、親切の度合いが大きいように思います。
なお、クレームは法務局ではなく、管轄の市町村役場にお願いします。

Q:(多くの市町村では)誰でも取れるのは、問題があるのでは?
A:大した問題は無いのだと思いますよ。
住居表示実施時には、前住所たる地番と、新住所たる住居表示の対照表が作られます。証明書はこの対照表の記載をもとに作成されるようです。特定の個人が「住居表示実施時にそこに住んでいた」ことは分かりますが、現在の住所を明らかにする住民票とは異なり、過去の情報を公開しているだけですから、問題にはならないのかなと思います。そもそも、住居表示実施の証明書の請求書を書けるのはある程度の個人情報を入手済みの人に限られるわけですし。


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