サンウルブズはなぜ勝てなかったか|ラグビーIMHO
スーパーラグビーは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなどを中心に運営されている国際ラグビーリーグで、そのレベルの高さから「世界最高峰のリーグ」とも言われている。
そのスーパーラグビーに、2016年シーズンより日本として1チームを編成して参戦している。これがサンウルブズである。2015年W杯イングランド大会で日本代表が大躍進を遂げたことを契機に、当時のエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)の尽力もあり、参加できたのだ。
そして昨年まで4シーズンを戦ってきた訳だが、成績は芳しくない。
2016年 1勝 13敗 1引分け
2017年 2勝 13敗
2018年 3勝 13敗
2019年 2勝 14敗
このような成績低迷の結果、主催団体は2020年シーズンを最後にサンウルブズをリーグから除外すると発表。今年が最終シーズンになるが、コロナ禍の影響でリーグは中断。1勝5敗という中途半端な形でわずか5年の歴史を閉じることとなった。
新規参入とは言え、サンウルブズはなぜこうも勝てなかったのか。
ひと言でいえば、日本代表強化の「手段」に過ぎなかったからだと思う。
逆に言えば、日本代表強化の手段として、サンウルブズは非常に大きな役割を果たしたと言える。特に2018年シーズンなどは、ジェイミー・ジョセフ日本代表HCがサンウルブズのHCも兼任し、メンバーもほぼ日本代表。相手も代表クラスが揃うプロチームに対し、様々な戦術オプションを試した。こうした試合を年間15~16試合も戦えたことが、貴重な経験となったのは間違いない。
しかしそれはあくまで「手段」に過ぎなかった。それが端的に表れたのは、2019年シーズン。W杯を秋に控え、日本代表合宿に力を入れるため、サンウルブズは日本代表メンバーを全て外した。そして「ウルフパック」という別働チームを編成し、スーパーラグビーの控えチームなどとのコンディショニング的な試合を行っていた。
W杯必勝という目的を果たすため、止むを得ないと言うより、明らかに意図して「手段」と割り切っていたと思う。
図式で書くと、
日本代表 > トップリーグ > サンウルブズ
という位置づけだった。
結果としてW杯日本大会では大きな果実を得た。しかしサンウルブズは失うこととなった。
ワールドクラスの選手のさらなるレベルアップのために、国際的なプロリーグでの経験が必須なことは、サッカーなどと同様、明らかだ。国内新プロリーグの話もあるが、それだけでは不充分だと思う。
日本代表がW杯で堂々と勝てる実力をつけてきた今だからこそ、枠組みを大きく見直すべきときに来ているのではないかと思う。