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【佐渡島レポ】二ツ亀自然歩道を通り大野亀へ行く
佐渡の最北端。
ここには二ツ亀・大野亀という景勝地がある。
中心街からは程遠いのだが、それでも二ツ亀は海水浴場ということもあり人は比較的多い。
近くにはキャンプ場、ホテルなどもある。
こちらのキャンプ場はロケーションが素晴らしく、公共交通機関利用のキャンパーには少々厳しい。何より近くにスーパーやコンビニといったものが一切ないのがネックである。
因みに両津港からは車で50分ほど。オートキャンプはおそらくできないかと思われるが、本土からはるばる車でキャンプに来た方やレンタカーをしてる方にはオススメのキャンプ場だ。
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亀が2匹うずくまっているように見えることから二ツ亀。ここの海水浴場は佐渡屈指の透明度を誇り、海水浴場としては『日本の快水浴場100選』に登録されており、さらには後ほど紹介する大野亀とともに『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』にも掲載されている。
しかし私は海水浴にいかんせん興味がなく、水着もはなから持ってきていなかったため到着後早々に左折。
実は二ツ亀海水浴場の左奥には二ツ亀自然歩道という遊歩道が続いている。願(ねがい)という集落まで伸びており、その距離は2.1km。道中には賽の河原霊場がある。
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入り口付近は比較的緑が生い茂っている。
砂の道がくっきりとわかり道に迷うこともなく、足元もかなり安定している。というのも、途中から道とは言えなくなってくるからだ。それについては後述しよう。
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画面左端、おそらくクロマツなのだが、どうしてここに一本だけ生えているのか。クロマツは比較的乾燥に強く、塩害にもめっぽう強いため防風林として使われガチなのは確かだ。松原とかも全国各地にある。しかしそれでも、一般的に砂地に勝手に生えることはないだろう。ちゃんと植林しなければな気がするが、はてさて…。
因みに画面右端にも岩が突出しているように、ここら一帯は奇岩が多くて面白い。
奥に見える山のようなものが大野亀。山のように見えるが実はこれも一枚岩。ここについても後述する。
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明らかに岩を削って道を開いている。
かつては生活道路として使われていたらしい。どこかで調べた情報だが、確か明治期ごろまでだったような。。
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舗装された道はここで終わり。だがかろうじて何となくの道は見えている。一応の整地はされていそうだ。
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しばらくするともう道などはなく岩場。まぁ海岸に沿って歩いていれば迷うことはないだろうが、それでも心配になってくる。
くれぐれも海水浴場に行ったついででサンダルのまま来ない方が無難である。因みに私はしっかりサンダルで来て後悔している。
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上り坂を過ぎると、岩陰に少し開けた場所が見えてくる。ここが賽の河原霊場だ。
ここまでおよそ1.3km。時間にして約15分ほど。
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賽の河原に関しては言わずもがなであろうが、簡単に説明すると親に先立って亡くなった子どもが行き着く冥土の地である。ここで父母供養のため石を積み上げて塔を作ろうとするのだが、仏教では親に先立つことは親不孝であると考えられているため、夕方になると鬼が現れ壊されてしまう。そこへ地蔵菩薩が「冥土の父母は我なるぞ」と救済しに来るという説話だ。
写真中央にいらっしゃるのが地蔵菩薩。
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この地は古くから冥土の堺(謂わば三途の川)と考えられており、そのため子供の霊が集まってくると言われていた。そこで海食洞穴に地蔵菩薩を安置し、信仰の対象としたのだ。
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ちなみにここら一帯、フナムシがウジャウジャいる。一歩踏み出すたびに足元の石の隙間から湧いて出てくるため、ガチで嫌だった。
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一瞬行き止まりかと思ったが、岩場の陰に道が続いている様子。
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途中、このような切り通し区間もあって結構おもしろい。ただ両壁にはフナムシがぎっしりと。。
つまずいて壁にでも寄りかかってしまったらたまったもんじゃない。
足元に注意しつつ小走りで突破する。
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賽の河原霊場からさらに0.8km、時間にして約10分。願集落に到着した。
ここにて二ツ亀自然遊歩道は終わり。賽の河原霊場にて5分ほど滞在したため合計の所要時間は約30分だった。
The・漁港といったような集落だ。街の雰囲気も穏やかで、ゆっくりとした時間が流れている。手元のデータによると総人口は41名、世帯数は16件ほど。
小さな集落のため、変に奥へ入っても怪しまれてしまうだろうと思い素通りしかけたところ、漁師のおじちゃんに「二ツ亀から来たんか?」と声をかけられた。
「ようあの道を通って来たなぁ。疲れたろうこっちおいで」と案内されるがままたどり着いたのは湧き水の水汲み場。冷たいから飲んでごらんと促され、手に掬って飲んでみると、これがガチで冷たい!
キンッキンに冷えている。冷蔵庫から湧き出ているのかと思うほど。
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ちょうどペットボトルが空になっていたため、これはちょうどいいと満杯に詰める。
その間もおじちゃんは本来湧き水はこんなに冷たいもんじゃないだの云々と教えてくれた。ただ冷たさに結構感動していたため詳しくはあまり覚えていない。
村や集落といったところは他所者にも割と気安く声をかけてくれる人が多い。恐る恐る入っていく身としてはこれに意外と救われるものだ。
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本数は少ないがバスも来る。願集落は、バスの路線(佐渡一周線)から枝分かれした謂わばどん突き(行き止まり)で、バスはわざわざ願集落へと続く道を降りてこのバス停まで迎えに来る。その後は旋回し、来た道を戻って元の路線へと合流する。佐渡一周線沿いの願集落の入り口に「願口」のようなバス停を設ければ手間が少ないような気がするが、願集落から佐渡一周線までは急勾配で結構キツい。つまり願集落に住む人々への配慮ということなのだろう。
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ちなみに“願”という変わった集落名は、磯へ小舟を漕ぎ出すという意味の“ねぶ”という言葉から取られているとのこと。
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昔は「願のもんは筆が立つ」と言われており、願集落の若者は勉強熱心で進学率も高かったらしい。そんな集落の分校跡。割りかし綺麗に管理されている。隣には草ヒロ。
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願集落をあとにし、坂を登る。前述した通りここはバスか車で登るべきだ。結構しんどい。
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佐渡一周線沿い、願集落の入り口まで出ることができた。
願旅館民宿組合の石柱がある。かつては民宿等でも栄えていた様子が窺えるが、今では2,3件ほどに減っている模様。
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時刻は12:30。結構ハードなウォーキングで飢えていたため昼食にする。
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景勝地・大野亀を間近で望めるということもあってか店内は割と混雑していた。ただ付近の飲食店がほぼここだけのため、飲食店目当ての人が集約されているという要因もあるだろう。
値段もまぁ市街に比べると少し張る感じかもしれない。
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海鮮のメニューなども豊富な中、何を血迷ってかカツカレーを注文。運動後でどうしても肉が食べたい気分だった。とても美味しかった。
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体力が回復したのでいざ大野亀へ。大野亀は標高167mの大きな一枚岩の岩山で、トビシマカンゾウという黄色い花の群生地でもある。見頃の5,6月には辺り一面黄色いらしい。
訪れたのは8月のため論外。
どうやら上まで登れるようなので登ってみる。
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鳥居をくぐると大野亀へ向けて一本の獣道がすっと伸びている。絶えず人が訪れていることの象徴だろう。
サンダルで進む。
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最初こそ勾配が比較的緩やかだったものの、上へ行くにつれて徐々に急になってくる。また左右の低木も段々と主張が激しくなってきて、顔に刺さるほど伸び放題に。道も段々と曖昧になっていき、ここまで人があまり登ってこないことを暗に示していた。
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いつの間にか右側は崖のような急斜面。落ちたらひとたまりもない。目を遠くに向けるとどこまでも開けた日本海。
滑落したら日本海の藻屑となるのだろう。。
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流石に限界を感じ、頂上まであと少しのところで諦めた。
戻ろうと思い振り返ると、そこには絶景が。
ここまで登ってきた甲斐があった。
しかし降りるのは登りの比ではないほど怖い。何せ足元が滑る。サンダルだから底が平らでグリップ力が一切ない。歩くというより滑るだった。変に歩こうとするよか上手く滑った方が安全という判断をしたためだ。
なんとか降りてこられたが、あそこは絶対に運動靴、頂上を目指すなら登山靴で行った方がいいだろう。
頂上には善寶寺の宝塔があるらしい。
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ちなみに大野亀にはおといれがある。なんとも可愛らしい表記だ。
奥に見える「右方屈曲あり」の標識とカーブミラーは大野亀坂のもの。佐渡一周線はとてつもないV字カーブが多々あり、ここもそのうちの1箇所だ。
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