緑の黒髪と緑酒の関係
(はじめに)
このお正月、郷里の同級生の友人からFacebookに、「この3ヶ日『いっぱい』美酒を飲んでいる。ちょっと家族に遠慮しながら…」っていう投稿があって笑いました。
いやいや、3ヶ日くらい遠慮せず好きなだけ飲みなよ。そして「酒は飲むべし、百薬の長!」という、大学寮歌の前口上を思い出しました。
さらに、酒にまつわる有名な旧制一高寮歌の歌詞「ああ玉杯に花受けて 緑酒に月の影宿し・・・」も思い出しました。
ところで、緑酒って何?
よく意味が解らずに今まで聞いていたなぁと気づきました。
皆さん、緑酒ってどういう意味か分かりますか?
1. 緑の黒髪
また、これに関連して思い出したのは、私がとっても好きな若菜集の「高楼(たかどの)」のなかに、
君がさやけき目のいろも
君紅(くれない)の唇も
君が緑の黒髪も
またいつか見ん この別れ
というのが出てきます。
この緑の黒髪って何?
これはいくらなんでも、黒髪って言っているのに緑というのはおかしいだろうって思い、大昔の若いころに調べました。
そしたら、「緑」は【新鮮だ】【若々しい】という意味を持ち、「緑児(みどりご)」「緑の黒髪」は、今生まれたての子、若々しい少女の生えたばかりの黒髪となるのだそうでした。それは、草木に新芽が生えたところを連想すると書いてありました。そこで、春にうちの庭木の新芽を見たら、大体新芽のつぼみは薄赤い衣に包まれていて緑色をしていなかったので結構違和感がありました。また、生まれたばかりの新生児は、赤ちゃんというくらいだから、赤くて、緑色には見えません。
何だか、充分納得がいかないまま何十年も過ごしておりました。
2. 緑酒
今回、友人の「美酒に3ヶ日酔う」というFacebookの記事が発端で、緑酒は何で緑酒というのか、とことん調べてみました。
下記のURL
https://lab.saketaku.com/entry/2018/10/11/000000
によると、緑色の原因は、新酒に含まれる、フラビン[1]が光に当たって反射されることで緑色に見えるからだそうです。したがって、新酒ほど、緑色に見えるとの事。したがって、
緑酒 = 緑色の日本酒 = 今できたての日本酒と訴えたいときに使う。
成程、これで、緑児も、緑の黒髪も、今生まれたての子供、今生えたての髪、というのは、この緑酒から来ているんだと、私は、大いに納得しました。
今までの新芽からの連想という説明より、こっちの方が、私はずっと納得がいきました。
3. 日本酒の瓶は、緑色か茶色
そういえば、日本酒の瓶は、大方、緑色か茶色ですよね。なんでか?
そこで、これもネットで調べてみたら、
日本酒に紫外線があたると日本酒が劣化してしまうので、紫外線を通さない茶色か緑色にしている。茶色はサングラスのイメージからすぐ理解できますね。茶色に続いて紫外線を防ぐ効果が高いのが緑色の瓶ということです。
じゃあみんな茶色でいいのになぜ、緑色の瓶もあんなに多いのか?という疑問がわきますよね。でもそのあたりの理由は、ネットのどこを探しても、見つかりませんでした。
でも、きっと、緑色をしているのは、中身も緑酒で新酒だとアッピールしたいからだろうと、私は思いました。
(おわりに)
以上の考察より、緑の黒髪は緑酒からの連想から来ているというのが、私の結論です。皆さんはどう思われますか?
令和7年(2025年)1月3日 随筆
註
[1] 日本酒の着色や劣化の原因となるフラビンは、現在では、活性炭により吸着除去されているそうです。
https://lab.saketaku.com/entry/2019/05/21/000000