2017年トランプ氏が米国大統領に就任して変わった世界の潮流
(はじめに)
2017年1月20日、アメリカにトランプ大統領が就任しました。世界中の人々が、彼の唱えるアメリア第一主義に大きな懸念を抱いています。トランプ大統領は、アメリカは超大国でありながら、これからは世界全体のことを考えずに、中小国と同じレベルで自国アメリカの利益のみを最優先すると宣言しています。
アメリカファーストの方針は
「まず、環太平洋貿易協定TPPを廃棄する。アメリカーメキシコ国境に、メキシコのお金で万里の長城を作る。アメリカが貿易赤字になっている相手国には高い関税をかけてアメリカの利益を守る。イスラム教徒は入国拒否する。」
これでは、第2次世界大戦後、民主主義と資本主義を世界に広めて、世界をリードしてきたアメリカはどこへ行ってしまったのかと感じざるを得ません。トランプ大統領の主張はあまりにも近視眼的です。アメリカ国内に貧富の格差が広がり、大多数の中間層の低所得化や劣化とともに、一部の大富豪のますますの富の集中とが、国民の怒りを買っているのは事実ですが、これは、ここ2,30年のアメリカにおけるグローバル化戦略と資本主義の結果であり、何も他国に非があるわけではないでしょう。自らが提唱して推進してきたグローバル化戦略や資本主義の弊害は、自らより良い方向に修正すればいいのであって、他国を攻撃して、外に敵を作ることはないでしょう。他国との貿易や流入する他宗教の人を攻撃して、繁栄した国はありません。
今までアメリカを動かしてきた政治家や高級官僚の超エリートたちが、世界中に広めた法律や制度が、第2次世界大戦後のグローバルな平和と繁栄をもたらしてきましたが、もしもこれらが崩壊したときは、すべての国が自国の利益のみを追求することになり、世界的に武力がものをいう戦乱の時代が再び来るのではないかと、世界中の人々が危惧しています。トランプ大統領が2017年に就任してから世界の潮流が、明らかに変わったと思います。
この変化は日本の平安時代から鎌倉時代に相当するのでは
私はこの変化は、日本の平安時代が終わり、鎌倉時代が始まったことに相当するのではないかと感じています。日本は奈良時代と平安時代に、中国から世界標準の法律や政治制度を受け入れ、中国から帰国した多くの日本人留学僧が、高級な政治家やエリート官僚として、国をリードして極めて高度な国家を形成しました。また、国家が安定したその頃の日本文学は、源氏物語をはじめ今でも国宝級の価値があります。しかし、平安末期に中国が衰え、日本からの留学を取りやめた後は、中国へ留学する人はなくなり、中国語のできない愚かな僧の話が鎌倉時代の初めになると、沙石集に載っています。鎌倉時代には、学問をしてエリート官僚となるよりも、武力がものを言い、荘園が蔓延して、国の根幹であった公地公民の制度は、崩壊していきます。エリート官僚の貴族よりも武力を有する武家のほうが世の中の中心となり、日本は朝廷を中心にした統一帝国からから、群雄割拠の戦国時代へと変化していきます。鎌倉時代・室町時代は、文明は衰え、文学も平安時代に比べて極めて低調となります。これは、平安時代の初めには超エリートだった政治家や高級官僚が、平安末期には志が劣化して、超エリートが国民を見下し、国民大衆の貧困や格差に目を向けなかったからではないかと思われます。そんな時代になると、有力者は排他的な荘園を作り、その中に逃げ込んでくる人々だけの利益を、武力で守る武士が台頭してきます。国家全体の利益より、荘園の利益を優先する時代となるのです。そして、日本全体が戦国時代になっていきます。
(おわりに)
このように、平安末期に律令政治から武家政治に変化していった時代は、現在の世界情勢と似ているのではないかと、私は思うのです。これから、法律よりも武力がものをいう、世界は戦乱の時代になるかもしれないですね。皆さんはどう思われますか。
2017年1月22日随筆
2022年10月29日加筆
*なお、冒頭の写真は、下記のウィッキペディアから引用させていただきました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97
最終更新 2022年10月27日 (木) 20:17
そして、このトランプ氏の写真は、「Gage Skidmore from Peoria, AZ, United States of America - Donald Trump, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52646996による」ものです。
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