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どんな局面でも形にする「何とかする力」って?

これは何?

働きだしてからずっと、プロジェクトマネジメントに取り組んできました。

その中では、役割(メンバー~プロジェクトオーナー)、立ち位置(委託、受託、アドバイザーなど)、規模(企業の一部門~国)も様々に経験してきましたが、一番多かったのは炎上プロジェクトや難しいプロジェクトを「何とかする」ことだったように思います。

プロジェクトに限らず、例えば、スタートアップやムズカシイ局面にいる組織などでも、その状態を「何とかしてくれる人」を求めることはあると思います。

でも、この「何とかする」というのはどういうもので、それはどうすれば比較的再現性をもって取り組めるんだろうか?
というのを考えたのがこの記事です。

主にはじまりと終わりがあるプロジェクトについて考えています。また、自分の経験バランスによりますが、IT関係のプロジェクトが多いです。

なので、自分の限られた経験の中で得たことを書いていますが、他の猛者の皆さんの経験も聞いてみたいなあと思っており(世の中ほんととんでもない人たちたくさんいる)、そのきっかけにもなればと思っています笑

「何とかする」ってどういうこと?

これはもう文字通り、としか言いようがない部分がありますが、個人的な定義は以下です。

特に評価する人たちから見て、現状から「何とかなった」(成果が出た)と一定の評価ができる状態へ到達させること。

これはなぜかというと、印象と実態のギャップというのは常にあり、実質的な価値をどれだけ出していても、印象の部分で期待を超えられていなければ成果として認められないということを前提にしておいた方が良いと思うからです。

もちろん、自分もそういうところがあるのですが、「何とかする」人たちは結構その立場、過程が好きというヤバい人が多い気がするので、必ずしも評価されたくてやっているわけでもないかもしれません。
ただ、プロジェクトにより目指していたそもそもの目的を達成するという点でも、周囲からの評価・見られ方への意識は持っておいたほうが良いと思っています。

「何とかなった」を分解する

上述の前提を踏まえて、自分が関わることで「何とかなった」というのを分解すると次の4パターンがあるのでは、と考えています。

①所与の制約条件の中で、自身の介入により、そのままだと達成が難しいとみなされていた成果を達成した(戦闘力を発揮した)。

②自らの関与により制約条件自体を再設定し、再設定された条件の下で成果を出した(ゲームのルールを変えた)。

③目的を再設定し、違う評価軸をつくり、成果を出した(ゲーム自体を変えた)。

④描いたゴールには到達していないが、そこに至れるという印象を持てるようなプロセス成果を達成した(関わる人の期待値をアップデートした)。

これはいろいろな取り組みを見ていて思うのですが、①のパターンで何とかしないといけないと思い込んでいる人が多い気がしますし、スキルや体力・精神力に依存して解決されることも多いので、分かりやすく身につけるものがイメージしやすいというのはあると思います。

また、かの偉大なるスヌーピー先生も、「配られたカードで勝負するしかないのさ」とおっしゃっています。ただ、ここで考えてほしいのは、「配られたカード」はどうやって決まるのか?ということです。

配られたカードは、自分の現状認識が決める

これはあくまで個人的な経験上ですが、何とかしなくてはいけない現場・状況の多くは、「なんとなく」所与の制約条件が決まってしまっていることが多く、目的が曖昧なことも多いです。

見聞きしていてよくあるのは、「xxまでにやらなきゃいけないと言われたから」「xx人しか人はつけられないと言われたから」「xxさん(上司とか評価者)はこうしてほしいと考えてそうだ」というように、なんとなく慮って制約条件をセットしているということです。

そして、その自分で決めた制約条件をもとに組み立て、報告を行って関係者の期待値を調整すると、その制約条件が合意形成された前提となって自分に降りかかってくる、、というように、実は自分が苦しくなる構造を自分でつくっていたということは意外とよく起きます。

現場で頑張っている中では、「自分は理不尽なことを言われながらやってるんだ!」と思うこともあるかもしれません。
ただ、上記のように、「自分の勝手な現状認識で自分を苦しめている」かもと考え、現状認識をアップデートできないかトライすること(②~④のパターンを考えること)が重要だと思います。

この現状認識をアップデートするために必要なのは、
・目的を確認、または、必要に応じて再設定すること。
・今想定される制約条件が、本当に決まっている動かせないものなのか確認すること。
・制約条件のうち、交渉・調整により動かしうるものはあるのか、何は動かせないのかを確認すること。
かなと思います。

具体的に現場に入ったとき、どうすんのさ?

自分も全てうまくいったということではなく、たくさん失敗してきました。
ここには書けないですが、相当大規模で複雑な要素が絡み合い、大変なプロジェクトもありました。

そういう場面に、最初から取り組んでいたわけではなく、「ぽん!」と投げ込まれることもあると思います。では、そんなとき実際にどうするか。

やはり、ここまで書いてきたように、適切な現状認識を持てるかどうかがかなり勝敗を左右するように思います。
その上で、自分が持った現状認識を、周囲の関係者と共有し、合意形成することが重要だと思います。

他の人の現状認識を把握し、自分の現状認識をもつ

・上位のレイヤーにいる、評価者との目線すり合わせ。
・今まで既にその取り組みを行ってきた人たちとの目線すり合わせ。
・外部の関係者からみた目線すり合わせ。
をヒアリングや問いかけを通じて把握したいです。

・これってそもそも何を目指している取り組みなんでしょう?
・どんなことが達成できたら、成果を感じられると思いますか?
・この条件があるとのことですが、それは何によって決まったものでしょうか?もしそれを変えられるとしたらどうしますか? など..

ちなみに、外部から「ぽん!」と入った時に気を付けたほうが良いのは、これまでやってきたことを否定しないことです。
どんな混乱した現場でも、その中では一定の合理性が働いています。それを無視するとうまくいきません。

あとは、現状認識をする際に、伝聞で把握するのはやめたほうが良いと思います。例えば、実際に現場で動いているAさんの現状認識を、その上司やチームのメンバーであるBさんから聞く、とかです。

総合的な評価をして見極めたい場合はそれも一つの手法かもしれませんが、重要な関係者の情報を把握するときは、自分でちゃんと聞いたほうが良いですし、そういう取り組みで関係性も構築していく、という感覚が重要なように思います。


自分の現状認識を、周囲の関係者と共有し、合意形成する

ここまでいろいろな人の話を聴いて状況を把握し、関係構築もしてきました。そして、自分なりに「何とかする」ために必要な現状認識が持ててきました。

その上で大事なのが、その現状認識を周囲の関係者、特に、その取り組みを評価する人と共有し、合意形成してゲームのルールを再設定することです。

先ほど書いた②のパターンは、ロジカルな整理や事実に基づいてある程度調整しやすいように思います。

ただ、③のパターン、目的の再設定は、感情的な側面もある点に注意が必要です。
意思決定者(評価者)が最初に設定した(あるいは、自身の中で持っていた)目的を再設定するというのは、その人の考えてきたことを否定することでもあります。
思考がアップデートされたり、自分の中で言語化できていなかったことを言語化できたりすると、非常に喜ばれるケースは多いと思います(そうなんだよ!xxさんに来てもらってよかった!じゃあ、頑張ってね!)。

ただ、ここに感情的な部分が多分に入っており、それを否定するような捉えられ方や、実際否定することになると、厳しい状況になると思います。

悲しいことなのですが、こういう現状認識をうまく整理してまとめられる人ほど、「正しさ」に気をとられてそこの部分に無頓着になってしまうことがあります。その点に注意しつつ、相手の受け止め力やタイミングなども見ながらコミュニケーションを取ったほうがよいでしょう。


まとめ

いろいろごにょごにょと書いてきましたが、「何とかする」ために必要だなと感じるマインド?を最後にまとめます。

・現状認識をアップデートすること。制約条件や目的についても可変な場合がある、ということを意識しておくこと。
・現場に既に存在している合理性を無視しないこと。関わる人の感情的な側面に注意を払うこと。
・成果は数字として具体的に表れてくればよいが、すぐそうならない場合は印象によって左右される曖昧な場合もある、ということを意識しておくこと。
・他人のせいにしないこと。他人が悪い場合も(たぶん)たくさんあるが、成果に目を向けるなら、自分の現状認識によって変えられる部分はたくさんある。大変だと思うけど、がんばって!



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