ランチがなくなる
大阪・中津に馴染みの店がある。
魚をメインにした一軒家イタリアン。
お気に入りはマグロ頬肉のグリル、ウニのピッツァ。ワインも美味しい。
平日ランチに前菜がしっかり付くのも嬉しい。
知り合いに紹介されたのがきっかけで、会社からも近く、オーナーが元ラガーマンだったこともあって1年前から通うようになった。
ランチ営業が落ち着く頃合いを狙って、毎週木曜の13時過ぎに会社を出る。
「釜揚げしらすと青のりのオイルパスタ」これをつつきながらオーナーとのラグビー談議に浸るのが、僕の日課ならぬ週課だった。
いつもさりげなくコーヒーをツケてくれるのが嬉しくて、旅のお土産や自分が書いた雑誌を持っていった。
そんな憩いのランチを、この1月で辞めてしまうというのだ。
週の半ば、一人でスッと息つける大切な場所がなくなる。
オーナーは言った。
「戦争ですよ」
要はこういうことだ。
店がイタリアから輸入しているワインやオリーブオイルの「瓶」。こいつの生産地は主にロシア。
戦争で供給が間に合わず、モノはあるのに入れる容器がない。
現地では瓶が取り合いになっているらしい。
パスタの発送元はイタリアだが、小麦を頼っているのはウクライナ。
こちらも戦争の打撃で生産の余裕がない。
原材料がとんでもない幅で高騰する中、円安も追撃。
スタッフさんが退職することも重なって、とても今の価格では営業できないというのだ。
ロシアがウクライナに侵攻して2年が経とうとしている。ガザでの戦闘も激化の一途をたどる。
地球の向こう側、対岸の先を報じるニュースに、知らず知らずのうちに慣れてしまっていた。
身近なところにその波はきていた。
当然、戦争なんてやめてほしいに決まってる。けど、年始の地震も、事故も、一人ではどうしようもないし止められない。
ただ、改めて考えさせられた。
ニューヨークに住む旧友が、何気ない会話の中で発した言葉。
「ほんの一握りの相手への想像力を持つだけで世界は大きく変わると思う。たくさんの物事は解決に向かうと思う」
なにができるかな、そういう思考を小さく持っているだけでいい。
ほんのそれだけで、世界は変わるんじゃないかな。
最後に。特に関西在住の方々、一緒にランチいきましょう。(夜もまた美味いのです)
https://www.instagram.com/1110labarcaccia/
写真引用:
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27054558/dtlphotolst/smp2/