見える風景を変える
仕事にしても何にしても、毎日を過ごすということは、生きることに他ならない訳です。
仕事とプライベート、あるいは、オンとオフ、などと別々のもののように語られたり、考えられたりすることが多いですが、人生という括りの中ではどちらも同じ時間の中にあります。
どちらもが貴重な時間を消費して行われる行為であり、どちらが重要かどうかという議論は不毛ですし、どちらか一方を犠牲にするべきでもありません。もちろん、すべてを完璧にすることはできません。時には何かを犠牲にすることを迫られることもあるかも知れません。ただ、それでも全体としては、人生にとって最良の選択を模索していくことが常に正義だと思います。
では何が最良なのでしょうか。
これはとても難しいことです。答えは人の数だけあると言えます。なので、あくまでも僕の考えを書きます。正解というものではありませんが、ひとつの指針というか、ヒントになれば幸いです。
それは、面白さを追求する、ということ。
面白さ、とは何でしょうか。
広辞苑には面白みを「おもしろいこと。興味。おもむき。」とあります。面白みは人それぞれ異なると思いますが、これらを追求することは、きっとその人にとって楽しいことのはずです。趣味に置き換えれば、それは容易に想像できると思います。ただ、趣味に限定する必要はありません。
仕事だとしても、あるいは、必ずしも趣味ではないプライベートの何かであったとしても、面白みは追求できます。仕事を趣味にする、ということではありません。そもそも趣味という極めてパーソナルで範囲の狭い話でしか(広い趣味の人もたまに居ますが)、面白みを感じられないのではなかなか生きづらい世の中ではないでしょうか。
仕事の中であっても、何であっても、それらを分解していくことで、仕事という属性から離れ、バラバラの要素になります。例えば世の中の動きを調べてレポートにまとめる、という仕事であれば、対象を決める、基準を決める、調査をする、整理する、考える、まとめる、清書する、説明する、などに分解されます。
分解することで要素が小さくなり、得意なこと、苦手なこと、好きなこと、嫌いなこと、いろいろ出てくると思います。そういった分解された要素の中から面白みを見つけて行きます。
プライベートでも一緒で、例えば美術館に行く、ということに対して、特に美術そのものに興味はなかったとしても、休みの日、天気が良い、外出する、街に出る、人と会う、食事をする、建物が面白い、静かな場所、文化に触れる、など要素はいろいろ分解できます。
あくまで例なので全く興味がなければ別の分解をすればよいのです。いずれにしても、自分の主義主張や感性と対話をして、面白みを追求することこそ、日常を有意義で幸せに過ごすことだと思います。
ハレとケ、という考え方がありますが、人生の大半はケです。ハレだけが楽しみだとすれば、大半は楽しくないということになります。
そうではなく、ケである日常を如何にして楽しむか。とはいえ日常です。ものすごく準備が大変なことをするのではなく、ちょっとしたことから面白みを見出す。これにはちょっとした才能とあとは工夫だけです。すごく難しいことではありません。そして、実はいちばん難しいのが、面白みを見出したあとに行動すること。頭で考えるだけでもダメではありませんが、行動することで体験になり、面白みが際立ちます。仮に思ったほどではなかったとしても、考えたことが実際になることでまた思いつくものがあります。それが次の面白みの種になるはず。
面白がる、ということをネガティブに受け取る人もあるかも知れませんが、面白くなくて何のための人生なのでしょうか。思うに、ネガティブに感じるのは、面白い=無駄なこと、という思い込みがあるからではないでしょうか。むしろ逆で、面白いと感じるから人間は動くし、笑うし、泣くし、感動するのです。先の広辞苑にも「おもしろいこと。興味。おもむき。」とありました。おもむきとは「心の動きや味わい」です。感情の生き物である人間が感じる基本的なものだと思います。もっと面白みを大切に考えて、追求していくことで、日常はもっと色鮮やかになるのではないかと思います。
つまらないこともあるでしょうし、つらいこともあると思います。それは時には仕方がない。でも、全体としての面白みの追求を忘れないことで、もっと生きやすく過ごしやすくなるはずです。そして、正しいことも大切ですが、それよりも信じることを追い求めていく。人生は一度きり、自分のためのものです。こう書くとすごく自分勝手なことかも知れません。でも最後はみんな自分勝手です。というか自分しか責任は取れないし、究極的には自分しか幸せには出来ません(間接的には出来るけど最後は自分が自分を幸せと思う覚悟が必要)。惰性にならず、そのための選択と行動を刷新していく。言い換えると、発見する努力を怠らないこと。それさえ出来れば、きっと見える風景は変わってくる。その風景がこの考えの価値だと信じています。
本稿とは概ね無関係ですが、いちばん実用的なテキストはこちら(笑)。
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