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資本市場と投資家の対話が生む社会価値のループ

こんにちは、Figurout 代表の中村です。

昨今、金融庁や東証は上場企業に対して「投資家との対話」を充実させるように訴えかけています。
また、企業側でも政策保有株の解消やアクティビストや買収提案への対応の変化など、「株主」へのスタンスの変化が起きつつあることが感じられます。

なぜ、「企業と投資家との対話」が"資本主義社会にとって" 重要なのか。
当たり前と感じる人もいれば、いまいちピンとこない人もいるかもしれません。

当社Figurout は、創業当初から、より良い資本主義のための「企業と投資家とのエンゲージメントを高めるためのプラットフォーム」を一貫して目指してきました。
自社の目指すパーパスの解像度を高めるためにも、一度整理しておきたいと思い、「投資家とのエンゲージメント/対話」が資本主義社会においてなぜ重要なのか、ジェフベゾスがナプキンの裏に描いたというループ図的に表現するとどうなるだろう?と思い、描いてみました!

企業と投資家のエンゲージメント/対話が社会価値創出にもたらすループ図

企業と投資家の「エンゲージメント」が生む社会価値創出のループ図

この図の主人公は「社会価値」です。

  • 株主にとって良い企業

  • 従業員にとって良い企業

  • 顧客にとって良い企業

  • 経営者にとって良い企業

  • 政府にとって良い企業

想像してみると、それぞれ異なりますよね。
上記のような複数の立場の人々の目線を総合して「社会価値」とし、社会価値を高めることへの寄与度が高い企業を「良い企業」、社会価値創出に対して寄与度の高い投資家を「良い投資家」としています。

業績が良く、高い時価総額だったとしても、環境を毀損したり顧客や従業員をだまして作っている会社の社会価値は低いですし、システムのギャップをつき実現した投資家利益もまた、社会価値は低いです。
(法的な扱いや倫理的な善悪はおいておいて、社会としてそれが拡大することが望ましくない、という意味において)

※ファイナンス理論においては、「市場原理によって値付けがされる企業価値は社会価値と一致する」という前提かもしれませんが、現実にはそのような"理想の市場"が無い中で、つけられた時価総額を元に計算された値が"企業価値" とよばれているので、この文章の中では区別して「社会価値」と呼んでいます。

細かくは図に書いた通りですが、
「良いIRが、良い投資判断を生み、良い投資家を育てる」
「良い投資家フィードバックが、経営者を企業価値向上へ真摯に向き合わせ、より良い情報開示を実現し、良い企業を育てる」

というのが基本2つのサイクルとして回っています。

フィードバックの重要性

人々のかかわり方を「システム」として見たとき、系として維持され、発展するためには正しいフィードバックが行われる構造が重要です。

顧客からのフィードバックがなければ、良いサービスは作れませんし、良いサービスが口コミで広まり、悪いサービスは口コミで評判が下がる構造は、系全体の発展を後押しします。
フィードバックがはたらかない市場においては、参加者はそのサイクルからどんどん離脱していき、市場は縮小します。

顧客市場だけにとどまらず、人材市場、政治、自然界、、
いろいろなところで、フィードバック構造はそのシステムを育てたり衰退させたりしています。

株式市場については、「株価」という指標のフィードバックの性質が強力だからこそ、質的なフィードバックが蔑ろにされてきた側面がありそうです。
企業は、なぜ株価が下がったのかわからないし、どうすれば上がるかもわからない。
投資家から、「これだから買えなくて、こうなったら買えるかも」という声が経営に届けば、それを企業経営に取り入れることで企業価値につながります。
企業からの情報開示がお粗末であれば、投資家は適切な投資判断ができません。期待値の決まったギャンブルではなく、良い事業への投資は社会に対してよいリターンを生むからこそ、社会として価値のある事業にはどんどんお金を回して推進し、社会として発展することが、投資が社会に対してもたらす価値です。

株主との関係性におけるフィードバックの3つの形

企業と株主の関係性において、フィードバックには3つの形があります。

1つは、投資家との定性的なコミュニケーション。「投資家との対話」では、このコミュニケーションで言われた内容を経営にフィードバックし、応えていくことにフォーカスが当たっています。
面談や株主総会でのQ&A、IRへの問い合わせなどもそうですし、アンケートなどで積極的に獲得しに行った内容も含まれます。

2つ目は、株主からの議決権行使や株主提案などといった、株主からの主体的なアウトプット。アクティビズムもこの形の1つと言えます。
ハゲタカファンドなどで悪目立ちした「アクティビスト」という言葉ですが、本来「株主」は株主価値向上のために経営に向き合い、要求事項を突き付けることは健全な資本主義のエコシステムのために不可欠なものです。

3つ目は、投資家の行動データ。
出来高、株価だったり、株主判明調査による投資家の保有状況の増減などは、投資家が実際とった行動の「ファクト」として、もっとも重要な投資家フィードバックの1つです。

マーケティングがDXする過程においても、それまでのモニタやインタビュー調査といった定性的なフィードバックしかなかった世界から、クリック率やコンバージョン率といった、各種データの可視化、効果検証とPDCAの高速化が進み、顧客体験の向上がなされました。

当社の提供するHooolders Analytics は、そんな「投資家の定量的な行動データのフィードバック」を把握し、企業価値向上に活かすためのツールです。


まとめ

企業と投資家のエンゲージメントは、単なる業績向上や株価上昇を目指すものではなく、社会全体の持続可能な成長を目指すための大切なプロセスです。

また、この図とこの文章は上場企業とその投資家をイメージして書いていますが、実はこうした健全な投資家と企業の関係は、非上場企業における企業と株主の関係の方が、より健全に築かれているケースが多いかもしれません。
それも、企業と株主の関係ができているからこそ。上場企業だと投資家が選別できず不特定多数なるためイメージしにくいかもしれませんが、理想の株主コミュニケーションの姿としてイメージしてみてもよいかもしれません。

これからも、私たちFiguroutは、企業と投資家の対話を深め、より良い社会価値を創出するためのサポートを続けていきます。この記事が皆様の視点を広げ、新たな気づきを得る一助となれば幸いです。

Figurout 代表 中村


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