「タイの平均月収は10万円?タイで事業成り立つの?」と思う人へ
「タイ人の平均年収が日本の約3分の1なら、高価格帯の商品は売れないのでは?」
「日本と同じサービスを展開しても採算が合わないのでは?」
タイと日本では、経済規模や平均給与といった数字が大きく異なります。ネット上で目にする情報だけを見ると、タイ市場の可能性を過小評価してしまうかもしれません。
タイ市場の実態は統計データだけでは語り尽くせません。現地を訪れ、自分の目で見て体感することで初めて得られる気付きがあります。
今回は「タイ人とお金」について、実際の体験や事例を交えながらお伝えします。
たしかに、タイ人の平均月給は日本人と比べて低い
タイ人はたしかに日本人と比べて平均月給は低いですし、日本ほどの経済大国ではありません。
ネットで調べると、タイ人の平均年収は約120万円、日本人の平均給与は461万円だそうです。この数字だけを見ると、「3~4倍も給与が違うじゃないか」と思われるかもしれません。
またタイで事業を展開しようとする人からすれば、
「3000円~4000円の抹茶キットが売れるのか?」
「客単価3000-4000円の焼肉店が流行るのか?」
そう思うかもしれません。しかし、ネットにある平均月給データの比較のみではタイ人の生活や行動の実態を正確に把握できません。
日本も昨今、貧富の格差が話題になっていますが、タイと比べれば日本国内の格差は比較的小さく、日本は依然として中間所得層が厚い国だと思います。
例えば、大阪で働く人と東京で働く人の所得が倍ほど違うことはありませんし、滋賀で働く人と東京で働く人の間でも、極端な給与差があるわけではありません。
一方、タイでは農村部と都市部の所得格差がかなり大きく、職種や住む地域などによって大きくばらつきがあり、国全体の平均給与という数字だけでは、実態を掴みづらい状況にあります。
「タイの部長の給与は日本人の部長よりも高い」と話題に
タイの代表的な求人サイトを覗いてみると、「特定の業界・職種で5年ほどある営業部長クラス」で、月給65,000~80,000バーツ(1バーツ=4.6円換算)の求人が散見されます。
これを年収に換算すると、おおよそ440万円程度。日本の給与の中央値が396万円であることを考えると、一部のタイ人マネージャーは日本人の平均以上の給与を得ていることが分かります。
実際、以前ネット上で、タイ人部長の給与の方が日本人部長よりも高いというニュースが報じられ、注目を集めました。
もちろん、全てのタイ企業がこのような給与水準というわけではありません。しかし、マネジメント層を中心に、日本の同等ポジションと比較しても遜色のない、あるいはそれ以上の給与を得ているタイ人が一定数存在しているのです。
私のお店の前に駐車する2000万円超えの高級車
バンコクに住んでいると、「平均年収120万円」のような統計データからは見えない光景に度々出会います。
実際にバンコクで生活していると、ベンツやBMWといった高級外車を頻繁に目にします。日本でもただでさえ高い外車に、タイでは高額な関税が課され、同じ車種でも日本の数倍もの価格で販売されています。にもかかわらず、街中で多くの外車が日夜走っているのです。
さらに興味深いのは、日本でも人気のアルファード。タイでは400万バーツ、日本円にして1840万円ほどという驚くべき価格にもかかわらず、こちらも街中でよく見かけます。
彼らがどのような仕事に従事し、どれほどの収入を得ているのかまでは定かではありませんが、一般的に想像される以上に、タイには相当な富裕層が存在していることが窺えます。このような実態は単純な平均所得の統計だけでは見えてこないでしょう。
タイ人のお金の使い方
お店を運営していると、タイ人がお金を使うタイミングやその傾向が少しずつ見えてきます。特に月末から月初にかけて売上が伸びる一方で、月の半ば以降は落ち着く、というパターンが多いです。
これを見る限り、タイ人の多くは貯金よりも、手元にお金があるタイミングで使うことを優先しているように感じます。
実際、給与日のタイミングである月末のショッピングモールはまさにお祭り騒ぎ。活気にあふれ、多くの人が買い物や外食を楽しんでいます。
私が駐在員としてタイのオフィスで働いていた頃、金曜日の夜に同僚たちが4000円するしゃぶしゃぶを喜んで食べに行くことも印象的でした。
「自分(日本人)の給与の方が高く4000円の出費でも結構渋るのに、日本人よりも気前よくお金を使うのか」と驚いたのを覚えています。
また、土日の抹茶カフェは常に大行列です。抹茶ラテ1杯500〜700円と決して安くはないのに、多くのタイ人が喜んでお金を払います。
先述の通り、全体で見て日本人と比較して給与水準は低いはずなのに、体感としてタイ人の方が「お金を使うこと」に積極的な印象を受けます。
タイ人の妻と一緒に生活していても、「貯金よりも今この瞬間に何が欲しいか」「何を食べたいか」が重視していることがよく分かります。
例えば、「先週たくさん外食したから今週は控えよう」といった発想はあまり見られません。その代わりに、どうやって収入を増やすかと考えるようです。
そのような背景があるからか、日本のテレビで連日報道されているような「〇〇離れ」をあまり聞きません。
タイの景気が良いと思いきや、どうやら今タイ経済は景気が悪いみたいです。笑
説明の通り、タイ人の金銭感覚は、日本人の「計画的に貯金をする」という文化とは大きく異なります。もちろんどちらが良い悪いというわけではありませんが、「今を楽しむ」という姿勢には学ぶべきものがあるように思います。
参考:バンコク世論調査、タイ国民の4割「貯金できない」
http://thai.news-agency.jp/articles/article/14574
ネットの情報だけで市場を判断しない方が良い
市場規模や消費者の年収など、ネットに出ている情報だけでタイのビジネスの判断をするのは避けた方が良いでしょう。
そうしたデータは参考にはなるものの、実態を正確に反映しているとは限りません。実際に現地を訪れ、自分の目で確かめることで初めて分かることが多いのです。
(タイ国内で実施している調査も本当に正確なのか怪しいですし...)
やはりサービスを出してみるまでわからないのがタイビジネスで、新たな可能性が隠されているという意味でも面白い市場なのです。
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