流行は上から下へ流れる
これはゲオルグ・ジンメルが「社会学の根本問題」という本で語ったこと。
モードに詳しい人なら、パリコレで発表された尖った流行が、マイルドになって伊勢丹などデパートを経由し、ユニクロやイオンを通過、ファッションセンターしまむらにまん丸になって逢着するのは、もうよく知っているでしょう。
ジンメルは、もっと広い視野で語っていて、社会の文化そのものが上から下へ流れるのだという。
「上から下へ」とは、都会から地方へ、先進国から後進国へ、金持ちから貧乏人へ、貴族から庶民へ。
ということ。
ファッションに限らず、例えば「エヴァンゲリオン」。これ私が大学生の頃に東京にいるサブカル好きな若者から火が付きました。私の同級生にも「エヴァすげえよ」と騒いでいた、流行に敏感な友人がいました。
そして10年くらいして気が付くと、いつの間にか田舎のパチンコ屋に「エヴァンゲリオン」ののぼりが立っているではないですか。
え!?パチンコ屋にエヴァンゲリオン?初めは意味が分からなかったです。客層が被るとは到底思えなかったんですよね。エヴァファンとパチンコユーザー。
エヴァンゲリオンの作品やそれを熱心に営業した人たちの努力もすごいんでしょうけど、やっぱり流行は上から下へ流れるんだなと、ジンメルテーゼを確認した気になりました。
あとは、明治維新ですね。武士、公家しか名乗れなかった苗字を庶民が名乗ったり、武家を真似て墓石を作るようになったり、女児に○子などという武家風の名前を付けたり。
ヒップホップなんか見ててもそう思いますね。都会のNYから米国全土へ。
日本では大都会の、流行に敏感な金持ちのおしゃれな小僧っこ(メジャーフォースとかクラッシュポッセ)とかが素早く飛びつき、庶民にも地方にも展開していった。上から下ですよね。
最近だとヴェルヴェット・アンダーグラウンドがまた盛り上がりそうですね。まだまだ消費され尽くされていないのでしょう。こういうのも中心から周辺へというルール通りですね。
皇族のファッションとかも下々に段々浸透してきます。テニスなんかもそうですよね。
イギリス王室のファッションやミシェル・オバマなんかも注目されて、庶民に取り入れられますね。
マクロビとかベーガンとかデカフェとか、そういうアメリカや欧州のアッパーミドルな価値観も我々に徐々に広がっています。
男性の眼鏡なんかもそうですね。あなた、眼鏡なんて必要とする職業してないでしょ?って人でも、眼鏡を愛用している人がいますね。
それってホワイトカラー文化の模倣で、そっちのほうが受けがいいからですよね。
まぁそもそも日本人やアフリカ人がスーツ着ていることが証拠ですよね。なんでイギリスとかイタリアの伝統衣装を我々が着てんのかなっていう。
欧米諸国という上から、後進国という下へのファッションの流れですよね。
もちろん、細かく見ると逆転現象もあるんです。例えばグランジファッションとか。でも、総体として長い目で見ると、やはりファッションや文化は上から下へ流れると思って間違いないと思います。
「言われてみれば、確かにそう」という腑に落ち感。
社会科学でも素晴らしい理論は、こういった単純でなんとなくモヤモヤに思っていたけれど、誰も上手く声に出せなかった…そういうのを代弁してくれますね。
今日は眠いんで、適当に切り上げさせてくださいまし。
おやすみなさい。