薄氷軽音部+追加パック を 振り返ろう
あの日起こった その全てを 今、話そう
先日11/3,4 に東北大学F研 秋の定期演奏会がございました。私としては3月の卒定ぶりに顔を出させていただきまして、ライブ自体も約7ヶ月ぶりでした。非常に刺激的でした。打ち上げで同胞の鹿野くんから風邪を貰い二週間咳を引きずってます。とりあえずゆっくりできるようになったので振り返ってみます。こう文字に起こして顧みる作業は意外と大事です。
ライブをしたかった
まずなんでF研秋定に出ようと思ったのかと言いますと、抗鬱薬を飲みギターが弾けるようになったので、DTMを再開しました。それが9月頃。DTMで薄氷の「八月」をずっと試行錯誤しながら作っていました。それが9月末。9月末に何があったかというと、秋Eですね。僕は行けなかったんですけど、写真や動画を見て、「うわ、ライブしてぇ~」と思いました。正直軽く嫉妬してました。そこで学祭に時雨企画をFFでエントリーすることに決めたんですが、抽選に落ちてしまい。それでも俺は何かバンドをやりたかったので、いけそうなメンバーに声をかけ、薄氷軽音部復活ということでF研の方にエントリーさせて頂きました。
薄氷軽音部とは、なんなのか
そもそも薄氷軽音部(うすらいけいおんぶ)ですけど、薄氷(うすらい)とは全く関係がございません。なんか打ち上げで後輩に「薄氷よかったです!!」と言われましたが、あなたは間違えてます。「そば」と「そばにいるね feat. SoulJa」くらい違います。ちゃんとメシ食ってるか?
説明すると、そこに鳴るというバンドがYouTubeでバンドカバーを投稿する「そこに鳴る軽音部」という企画があります。元々はそこに鳴る軽音部のカバー、つまりカバーのカバーをするバンドで、さらに真剣にふざけることを目的とした、FF卒定限定のバンドでした。
それが今回再結成したのですが、おれが天ノ弱と時雨(Sergio Echigo)をやりたかったのと、どうせなら薄氷の曲もやりたかったので、なんだか曲目はカッコいいセレクトになってしまいました。前回は『DANZEN!ふたりはプリキュア Ver.Max Heart』だの、『気分上々↑↑』だのやりましたから。そもそもコピバンなのに俺の曲やっちゃった。まあいいでしょう。
セットリスト
ここからはセットリストを振り返っていきましょう。本当によく考えました。たぶんコント芸人ってこんな感じなんだろうと思います。
1. ガツガツ!!(独唱)
まずこれですけど、今回はソルファだったのでほとんどSEをかける人がいませんでした。その中でSEを流し、かつSEを1分30秒歌い切るという裏切りですよね。サウンドチェックでは至って真面目にdaydream(薄氷)を合わせ、『The / eight』でDIをチェックしてからの、ガツガツ!!カラオケ。
これ、ただふざけてるようにしか見えないかもしれませんが、結構危ない橋を渡っていて、これの一番のオモシロポイントは「ギターが上手くてきれいのクリーンで歌っていた(音合わせの時に)男が、急にギター置いて激熱アニソンを歌う、しかも上手い」です。つまり、ギターも歌も上手くないと面白くならないわけです。これヤバいプレッシャーです。幸いおれは『ガツガツ!!』をめちゃくちゃ上手く歌えるので助かりました。
このあとハァハァ言ってるのは、マジで疲れてるのと、間の美学です。間が一番面白いです。ハァハァ言いながらギター背負って鳴らす音がBOMBERなのも意表を突いていて良いアイディアでした。
ちなみに、「Wow wo!! 釘パンチ~」のあたりでななみちゃんがこっちを向くシーンがあるんですが、めちゃくちゃ笑いを堪えてて最高です。
2. 天ノ弱
いやこれよかったね!!客観的に見てもめっちゃ上手いと思う。おれは結構練習してきたし、中学生の頃から10年以上聴いてる曲なので念願でもありました。楽しかった~。
おれはこの時薄氷のセッティングを基本にしていて、EP BoosterとCrayonでクリーンを作って、Maestosoがメイン歪みです。薄氷ではフロントシングルですが、この曲ではEQをそのままにリアハムで弾きました。すると、高域が落ちて、TS系の中域に寄ったナローなサウンドになります。動画を見てもわかりますが、これはこれでめっちゃいいです。スクリーモの音ですよね。
ギターフレーズはほぼ完コピです。2番Bメロとアウトロの後半くらいですねアレンジは。3ピースの余白を埋めるため、音価には気を遣いました。ナチュラルハーモニクスと各所に入るグリッサンドにはおれの工夫が込められてます。よく聴いてみてください。最後のソロは中西リスペクト、だけど前半は半音上がったリフが気持ちいいのでそちらを、後半は上昇フレーズからのボーカルラインを弾くやつ。ここ、速弾きが上手そうな人に見えます。すげえ!!ちなみに最後はテンション上がりすぎて2フレット高いとこに着地してます。反省。
水野は安定ですね。原曲は妙なテンポチェンジとビートの聞こえにくさが相まって妙に合わせにくかったのですが、水野のドラムは非常に合わせやすかったです。とにかくブレないですね。
ななみちゃん。すごすぎる。普通にAメロスラップしながら歌えててウケました。ベースは文句なし。音デカかったらしい。歌詞もまあ不問としましょう。
それより声!本人は7月頃からガサガサなんですよ~~って言っててあら~~~~と思ってたんですが、いざ本番やってみたらこれはこれでよくないですか?新境地。以前は張り上げ系のパワフルな印象でしたが、今回は服装も相まって透明感高めでよかったです。切なくて好きですねぇ~~~~
3. 奇 跡 体 験
奇 跡 体 験
一応解説すると水野の発案で、最初はおれが普通にハンドパワー(物理)で曲げる予定でしたが、紆余曲折を経てこうなりました。水野普通にスプーン曲げ上手くてワロタ。あとななみちゃんが物理で曲げたとこ歓声上がりすぎでしょ。このあとBGMに沿って再度ポーズをとるわけですが……
なんとこの音源、自分で編集してます。原曲はThe Art of NoiseというグループのLegsという曲。Remixがたくさんあるのですが、その中から最もシンプルで最適な尺のものを選び、ビートの長さとコントの長さを合わせました。一度絶望してるおれがBGMでハンドパワーのポーズをとるのが美しい展開です。
ちなみに、Legsの前にフェイントで流れていたのは僕が作った『八月(short ver.)』のイントロ部分です。ここが最もハイコンテクストだったかもしれません。一応グループで宣伝はしていたのでみんな聴いていてくれたら嬉しいです。冒頭ガツガツ!!でふざけたので、2回目はないだろうと、「あ、この曲やるんだな」と思わせておいて 奇 跡 体 験 。
ちなみにこの冒頭部分は2020年FF冬定、薄氷の公式初ライブでの1曲目の八月のイントロの録音をそのまま採用しています。そしてカセットテープを外し、再度入れ替えて閉じるFXが流れます。これのおかげで何にでも繋げれる最強の演出です。だってカセット入れ替えてんだもん。ここがわかるとめっちゃおもろいポイントです。
4. Sergio Echigo
凛として時雨の曲。ななみちゃんとおれで話し合って決めました。滅茶苦茶な曲です。クリーンで始まり、ささやくAメロ、繋ぎのBメロ、サビで爆発、ここまではいいんですが。クリーンに戻り付点のフレーズのあと、転調。GマイナーからGメジャーへの同主調転調。アルペジオでボルテージが上がってきたら、3拍子になってGマイナーに戻る。しばらくずっとアルペジオ。途中で進行が変わりフェイザー。ほんで最初の4拍子クリーンに戻る。ここでやっと歌う。サビ。急に激しい。なんなん?そのあとカッコいいリフで終わるかと思ったら急にテンポチェンジ。Gメジャーに転調して小室進行。345ボーカル「行方知れず青木華絵」どういう意味?最後は最高潮に達し、ギターソロ。何弾いてるかわかんない。でも魂だ。最後は爆音で終了。
最高だ。ST突入みてえな曲だ。キタキタキタキタが3か所もある。ヤバすぎる。あと歌がパワーすぎる。のくせにアルペジオが繊細だ。ソロは荒いのに。コード進行も歌もこれでいいんだよ。
総合するとギターはよくできました。細かいミスやエフェクターの踏み変え事故はあったものの、全体を通して大きなミスはなかったと思います。ギターソロもアドリブ(まあ朝のスタジオ練習で練ったけど)だけどかなりよくできたと思う。展開もよく、リズムの意表もつけて楽しいソロが弾けたと思います。
あと歌。Aメロは声が出にくくてピッチが安定しなくて反省。謎のロシア人にファルセットが足りないってコメつけられた。うるせえよ。わかってんだよ。サビは概ねよかったです。声量も出てたし、TKっぽいシャウトもできてたと思います。Trasty looseのニュアンスを近づけれて非常に満足です。
ななみちゃんはちゃんとコピーしてきたなと思いました。普通にベース上手かったです。最後の歌もよかったね。
水野は適当だったと言ってたけどまあまあ8割くらいですかね。ビートは基本間違ってなかったので及第点です。ただカッチリしてたね、やっぱ。これはピエール中野が揺らしすぎなのが悪いんですが、フレーズごとのテンポの揺れやダイナミクスは薄かったです。あとマイキングやらチューニングやらでちょっとイメージは違かったかなと思います。でも練習1回のあんま知らん自分のキャラじゃないバンドのコピーにしては上出来だったと思います。
この曲マジで好きなのでできてよかったです。ただ説明なしに始めたし時雨をちゃんと聴いてないと知らない曲なので、聴いている最中は(薄氷の曲か?)と思った方も多いと思います。めんご。
余談:MC
MCですね~。ここでようやくマトモに口を開きます。おれのことを知らない人に向けてサイコパスクイズ出して説明を終了したのにウケてるの、もしかしておれだけ?
精神科行って薬飲んで回復に向かってるのはTwitterのフォロワーのみんなには知れてることなので、わざわざ言うことじゃなかったんですが。あれはほぼ鹿野脩太1人に向けたMCでした。まあ事情を知っている人間にとっても、ちゃんと言葉にするのは大切ですのでね。
「人生どうにかなる」ってのも言いたかったことなので言いました。これはすべて上手くいくとかではなくて、一度絶望して生きる気力を無くしても、生きていて、友達と喋って、自分から動くことをやめなければ、そんなに人生悪くないよ、という意味です。立ち止まってもいいので。周りに置いて行かれてもいいので。孤立や自死を選択するな。これはエゴかもしれないが。人と関わり続けることが、生きることだと思います。
5. daydream
いい曲っすよね。でも久しぶりなので毎秒思い出しながらやってたらちょっと間違えました。いやそういうアレンジだから。おれが作った曲だから。
冒頭から間違えてないから。D#m7がBadd9/D#になってないから。
まあおれは普通でした。音域が高くないので声がデカくなりがちで、少しPAに負担をかけたかなと思います。あとピッチが微妙でした。ギターはクリーンがデカくてよかったけど爆音がちょっと大人しかったかな?
ななみちゃんも普通でした。天ノ弱同様、声に透明感があって新鮮でしたね。音はデカかったらしい。
水野のドラムですけど。いやー初めて自分が作った曲を、サポートドラマーに入って貰って演奏しましたけど。マジで別の曲になりましたね。別の曲だと思ってるのは世界で俺一人だと思いますけど。良し悪しでなく、ドラマーのキャラが如実に反映されて面白かったです。
薄氷のドラマー新井怜は割と "生きた" ドラムを叩く人間で。たぶんDTM上で打ち込むとなるとBPMが小節単位で変化する感じです。ビートのアクセントやスネア、ハイハットのフィルインも特徴的です。
一方水野は割とカッチリしてます。縦もジャストでベロシティも平坦めですね。フィルインというよりビート、ミドルテンポよりハイテンポのドラマーって感じですね。Itomaとかボカロとかテンポ速めですしね。
daydreamも本人は適当と言ってましたが客観的に見て9割は叩けていたと思います。俺から見たら5割くらいでした。まあ合わせ1回だから。元のドラムがかなり緻密だし。しゃーないしゃーない。サビでちょっと遅くならないので若干やりにくかったです。テンポ一定だとこうなるんですね。俺も大変勉強になりました。薄氷は割と3人ともが「寄り添う」タイプのプレイヤーなので、新鮮でしたね。
ハイコンテクストなライブだったのか
齋に終わったあと「ハイコンテクストだった」と言われました。確かに俺のことをよく知っていないと意味のわからないライブだったかもしれない。それはおれの信条に反する。おれの理想はなかやまきんに君だから。
とはいえ「SEでカラオケする」「カラオケしたやつがギターを弾く」「天丼するためだけに音源編集してコントする」「ガチのMCをする」「ガチの演奏をする」あたりは前情報なしでも楽しめる部分だったので、全体的に良い構成だったと思います。
ライブはもっと自由にやっていい。コピーでも本気でやれば響く。もちろんオリジナルも。でもそれには入念な計画が必要で。オモシロは高い技術の上に成り立つ。なかやまきんに君がおもろいのはめっちゃムキムキだから。
みんなの既成観念をぶち壊せていたら幸いです。
おわりに
今回ライブをして、というか、DTMをずっとやっていて、こうして仙台へ行ってバンドをしてみて一番思ったことが。おれはバンドをやりたいんだということです。家でギター弾いてるより、曲作ってるより、バンドで合わせてる時が一番楽しい。もっと言うと、コピーより自作曲でフレーズを考えたり、それを合わせるスタジオ練習なんかが楽しいんだと気付きました。少なくとも、今はそういうフェーズです。
だから、これからも音楽を、バンドをやっていこうと思いました。薄氷やALiYBの他にも、音楽を続けていこうと思うので、その時はぜひ聴いていただけると嬉しいです。とりあえず今はDTMで作った曲をYouTubeで発信したり、曲のストックを溜めたり、できることをやっていこうと思います。一歩ずつ。今立ち止まっても進めていればいいのさ。
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