永久保存版 はじめてのコンパクトエフェクターの買い方

 こんにちは。実家に戻ってTwitterも不調で、機材の話をする相手もなく、虚空に向かって「いやJan Rayのローがね……」と話しかけるようになってしまったので、一旦noteを書いておきます。
 今回の話題は、昨日の夜ベッドの上で虚空に向かって講義を行った、「ギター初心者がコンパクトエフェクターを買う際のベストな順番」についてです。絶対にこれ!というわけでは決してないのですが、自分なりに答えを出したので共有しておきます。


対象

主に以下に当てはまる人を想定しています。
・エフェクターを持っていない
・マルチエフェクターしか持っていないが、コンパクトエフェクターに興味がある
・エフェクターについての知識が乏しい
・エフェクターに対してあまりこだわりがない
・メタラーでない

前提

以下の条件を想定して話を進めます。
・ギター、シールド、チューナーなど、演奏に必要なものはすべて揃っているものとする
・使用するアンプはRoland JC-120 または Marshallのスタックアンプ(JCM2000, DSL100H, JVM410H等)
・ポップス、ロック、パンクなどを演奏する
・メタルはやらない

はじめてのコンパクトエフェクターの買い方

 買うべき順番ごとに説明していきます。

1. 歪み①

 まずは何より歪みエフェクターを買いましょう。現代のロックバンドの曲をやる上で歪みは必要不可欠と言ってよいでしょう。スタジオやライブハウスでは、備え付けのアンプを借りることになると思いますが、仮にアンプで歪ませてしまうと、クリーンを出せなくなってしまいます。そもそもJC-120だった場合クリーンしか出ません。なので、アンプはクリーンにして、歪みエフェクターでドライブサウンドを作るという方法が、最も現実的かつあらゆる状況に対応できるものとなります。
 クリーンのアンプにかけて単体でメインの歪みを作るので、しっかり歪み、EQの調整の幅が広いディストーションがよいです。おすすめは、BOSS  ST-2、BOSS  DS-1、ProCo  RAT2、MXR  Super Badass Distortion などです。

2. 歪み②

 2台目のエフェクターはその人の思想やスタイルによって大きく変わってくるものですが、私は2台目の歪みエフェクターをおすすめします。歪みエフェクターが2台あると、できることの幅が一気に広がります。
 その中でも一番のおすすめは、歪みが少なめの(ローゲイン)オーバードライブをブースターとして使う方法です。1台目にしっかり歪むディストーションを買ったので、例えば2台目を後段に置いてギターソロ時のボリュームブースターにしたり、前段に置いてゲインブースターにしたり、もしくは2つの歪みを重ねて1つのドライブサウンドを作ったり。また、2台目の歪みを常時オンにして浅いクランチを作る、プリアンプ的な使い方も可能です。おすすめは、Ibanez  TS9、BOSS  SD-1をはじめとした中域をブーストするTS系、MXR  Timmy Overdrive、Electro-Harmonix  Crayonをはじめとしたレンジの広いトランスペアレント系などです。
 ローゲイン?オレはでかい音を出したいんだよ!!!という方は、2台目にハイゲインディストーションやファズを買ってもいいと思います。おすすめは、BOSS  MT-2、Leqtique  9/9、Electro-Harmonix  Big Muff Pi、Behringer  SF300 Super Fuzzなどです。

3. ペダルチューナー

 エフェクターじゃないですやん!うるせえ口だな 私はペダルチューナー主義者なので3台目にはチューナーをおすすめします。ペダルチューナーはシールドからの信号を拾うため、クリップチューナーに比べて精度が高く、反応速度も速く、信頼性が高いです。また、足元に置けてかつ大画面の製品も多く、視認性も高いです。
 また、ペダルチューナーには良質なバッファーを搭載した機種が多くあります。エフェクターをたくさん直列で繋げると、回路の抵抗により信号が劣化して、所謂「音痩せ」してしまいます。音痩せを防ぐためにはできるだけギターに近いところでバッファーを通して強力な信号にすればよいのですが、先頭に置かれることの多いチューナーにはその機能を兼ねたものが多いというわけです。バッファー搭載のペダルチューナーのおすすめは、KORG  Pitchblack X、TC Electronic  Polytune 3、BOSS  TU-3Wなどです。

4. エフェクターボード

 エフェクターちゃうやんけ!おれとやる気か? エフェクターが3台以上になったらボードを組みましょう。大きさはKC  EC60(W495mm x D250mm x H85mm)程度あると安心だと思います。100均で板やすのこを買ってマジックテープで貼ったり、金網を買って結束バンドで固定してもいいと思います。ボードはなんでもいいです。大事なのはあらかじめ筐体を固定して必要なケーブルを繋げておくことで、セッティングの時間を短縮することです。

5. パワーサプライ

 うるせえな 文句言うな ボードを組んだらパワーサプライも設置しましょう。歪み2個ならACアダプタとか分岐ケーブルとか電池とかで誤魔化せますが、3台目4台目と増えていくとキツくなります。3から5は同時に導入するのがベストです。
 パワーサプライを購入する際にチェックした方がいいのは、
・口の数
・12V/18V出力の有無
・最大供給電流
・アイソレート
などです。口の数は余裕をもったほうがいいです。18Vなどの9Vより高い電圧は一部の歪みエフェクターにのみ対応しています。最大供給電流の値は、消費電流の値が大きいデジタルエフェクターの使用可否の基準になります。アイソレートとは、簡単に言うと、各口が回路的に独立しているようなものを言い、こちらの方が通常よりもノイズに強いです。おすすめは、Vital Audio  VA-08 MkⅡ、Custom Audio Japan  DC/DC Station Ⅱ、Providence  Provolt9などです。

6. ディレイ

 ディレイはシンプルゆえに初心者のうちは扱いが難しく思われるエフェクターですが、使いこなせば最強のエフェクターです。個人的には全ロックギタリストにとってディレイは必須であり、使い方も全員知っておくべきと考えています。ディレイはマルチエフェクターにその役割を任せている人も多いと思いますが、臨機応変な調整が必要なため、1台はコンパクトで持っておくことを勧めます。
 特におすすめなのは様々なモードを搭載した多機能デジタルディレイです。デジタルディレイだけでなく、アナログ、テープエコー、リバース、ルーパーなど多彩なモデリングがあり、様々な場面に対応することができます。おすすめは、BOSS  DD-8、TC Electronic  Flashback 2、Electro-Harmonix  Canyon、Digitech  Digidelayなどです。
 アナログディレイやテープエコーなど単機能のディレイは対応できる場面が狭まるので、はじめてのディレイにはあまりおすすめしません。ただし、Effects Bakery  French Bread Delayなど安価なものはアリです。

あとは自由にどうぞ

 すべてのギタリストが共通して必要なエフェクターはここまでと考えています。これさえあれば7割くらいの曲には最低限対応できると思います。あとは各々必要なエフェクターを足してください。
 ハードロックやファンクをやる人はワウペダル、オルタナをやる人はコーラス、9mm Parabellum Bulletのコピーをしたい人はオクターバー、またディレイを増やしてもいいし、歪みは3個目が欲しくなるでしょう。ここからはあなたの個性がボードを作ります。

マルチエフェクターについて

 マルチエフェクターについては言及を避けましたが、もし最初にエフェクターを1つも持っていない場合は、歪み①を買った後に、マルチエフェクターを購入してもよいと思います。現在所持していないエフェクターをマルチエフェクターで補う感じで、補助的に使えばいいと思います。ただしその場合でも、上記の1から6までは後から購入することを勧めます。マルチエフェクターのおすすめは、ZOOM  G1X Four、BOSS  GT-1などです。エクスプレッションペダル付のものを買うと、ボリュームペダル、ワウ、ワーミーを使えるようになるので便利です。
 ZOOMのマルチストンプに関しては、コンパクトエフェクターが8割揃った状態で真価を発揮するものだと考えているので、初めてにはあまりおすすめしません。また、BOSS  GT-1000やLine6  Helixなどの高級マルチについても、最初に買うにはハードルが高いためあまりおすすめしません。もし奮発するなら、BOSS  GX-100やLine6  POD Goなどがおすすめです。

メタラーの貴様らへ

 今回はメタルギタリストを想定から排除しました。メタラーはエフェクターにおいても我が道をいくので除け者にされます。惨めだね。
 まず概ね80年代以前のHR/HMなどを好むクラシックなメタラーは、アン直主義なのでエフェクターは要りません。要るのはソロ用のブースターとワウペダルです。クリーンは弾かないもしくはギター本体のボリュームを操作するのでアンプは歪みっぱなしでいいです。そもそもこいつらはアンプヘッドを持ち込んで2スタックアンプで演奏したがります。考える余地がないです。
 次に90年代以降のデスメタルギタリスト。こいつらはイカれてるのでアンプで歪ませてさらにディストーションをかけます。他のギタリストがTS系で必死に中域をブーストしてる中、こいつらは中域を削ることしか考えてません。もちろんクリーンはいらないです。
 最後にモダンメタルコアギタリスト。一部の人間はDjentlemanという奇妙な名前を自称しています。こいつらはFractal Audio Systems  Axe-Fx ⅢとかKemper Profiling Amplifier  Kemper Profiling Power Headとかいうバチクソ高いマルチエフェクトプロセッサーを買います。なのでエフェクターは要りません。
 メタルは基本的にエフェクターを使わないので、マルチエフェクトプロセッサーやアンプヘッドを買う方が合理的です。メタラーと機材厨は両立しないです。両立してるやつは影で「ユダ」ってあだ名付けられてます。
 ただしニューメタルなどメタル外のジャンルから強く影響を受けているジャンルではエフェクターが必要です。ニューメタルのコピーでコーラスやフェイザーを使わない裏切者は村八分にされます。

結び

 はじめてのコンパクトエフェクターの購入の順番について説明しました。思想が出てる部分はありますが、是非参考にしてみてください。

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