偽の大文字焼き・ロシアのこと
先日、井上章一『京都ぎらい』を読んだ。その中に京都の五山の送り火は意外と俗っぽいという話があった。明治24年(1891年)にロシア皇太子が来日した際に歓迎の意図で五山を点灯したり、祇園祭の山鉾を出したりしたという。歴史に明るい人であれば分かるだろうが、これは大津事件の数日前のことである。滋賀県で警官がロシア皇太子に刀で切りつけたアレだ。
五山の送り火といえばお盆に死者の霊をあの世に送り届けるために、五つの山に「大」「妙」などの文字や意匠を灯すイベントである。
近年では「大文字