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ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」

1 はじめに

(1)シナリオ前提
 このシナリオはソロセッションを除けば初めてニンジャスレイヤーのセッションを行うプレイヤーを想定している。
 プレイヤーのニンジャの強さは初期作成~ソロセッション経験1、2回を想定している。
 また、想定プレイヤー人数は3人から4人である。2人でもプレイ可能だが、その場合マスターは適切に敵戦力を減らすこと。

 このシナリオはニンジャスレイヤー第一部の同名のエピソードを元にしており、地の文も多くが同エピソードから取ってきている。マスターは世界観等を掴む参考として事前に読んでおくとスムーズにマスタリングできるだろう。

(2)本シナリオの使い方
 ・ニンジャスレイヤーTRPGを初めて遊ぶ際のセッション
 ・キャンペイグンの1話目(その場合はヤクザの事務所を2話目に使うといいだろう)

(3)コンセプト
 本シナリオは初心者PLに、サンプルシナリオ1「ヤクザの事務所」よりも更にミニマルに、ニンジャスレイヤーTRPGの面白さを凝縮して楽しんでもらうことを目的としている。
 本シナリオを作るにあたっての目標を以下に箇条書きにした。

・初めてニンジャスレイヤーTRPGをセッションするプレイヤーでも楽しくプレイ可能
・原作を元にすることで慣れてないNMでもマスタリングしやすいシナリオ
・テキストセッションでも3~4時間程度で終わるミニマルさ
・ネオサイタマのメガロ感やニンジャとしての万能感等、ニンジャTRPGの楽しさを重点。
・プレイヤーの行動によってある程度エンディングが変わる(一本道ではない)
・原作キャラが登場し、原作知識があればニヤリとできる。
・ニンジャスレイヤーが登場する。(インガオホーはネオサイタマの絶対の掟だ)

2 シナリオ

(1)ダンゴウ「ソニックブームからの指令」
【トコロザワピラー・会議室】

地の文:
 血も涙もないソウカイ・シンジケートのニュービーニンジャである君たちは、トコロザワ・ピラーの会議室に集められ、アイサツを行うことになった。おそらく今日、君たちにはシンジケートから何らかのヤクザクエストが与えられるのだろう。
 この場には、既に面識のある者もいれば、初対面の者もいる。アイサツの中でフレンドリーに振る舞う者もいれば、必要以上に馴れ合おうとしない者もいる。
 明日のローン返済のためならばどんな事でもしようと考えるサンシタもいれば、いずれはラオモト・カンですら倒しネオサイタマの王として君臨しようという野心に溢れた命知らずもいるかもしれない。
 ……では君たちは順番にアイサツすること

PC達同士のアイサツ。NMはPC同士で会話がある程度成立するように誘導すること。(リーダー決めや、互いに面識はあるのか聞いてみる、PC同士の共通点に触れる等)

地の文:一通り会話をしていると、南のフスマを開けて、ソウカイ・シックスゲイツの一人、ソニックブーム(※NMが好きなシックスゲイツにしてよい)が現れた。

ソニックブーム「よう、集まってるな、能無しども? 今日はニュービーのテメェらにミッションを持ってきてやった。ありがたく思えよ、エエッ? ガキのお使い程度のクソみてえに簡単な仕事だがなァ……」

ソニックブームは以下のようなブリーフィング内容を説明する。PLの慣れ具合次第ではあるが、基本的にはすべての情報を与えること。

①ソウカイヤ傘下のチンケなジアゲ・ファンド経営者であるタメジマから、地上げを助けて欲しいと依頼が入った。ターゲットはライブハウス『ヨタモノ』、地上げに抵抗するライブハウスオーナーを脅して、契約書にハンコを押させろ。ハンコさえあれば殺しても構わん。

②『ヨタモノ』には屈強なヨージンボが複数名いるらしいが所詮はモータル。血祭りに上げてやれば良い脅しになるだろう。

③現地はくだらねえことにライブの聖地とか言われてるらしい。ニンジャにもファンがいる始末だ。地上げ後にウダウダ言われないように、客にも恐怖を刻み込んでやれ。

④警察には既に話を通してある。多少の殺しは問題にならねえ。とはいえやり過ぎるなよ?やりすぎればもみ消すのも面倒事になる。脅す方法は何も殺すだけじゃねえ……殺した方が早いがな。

⑤どうも目的の土地は他のヤクザクランも狙ってるらしい。もし妨害があったらぶっ殺してソウカイヤの恐ろしさを骨の髄まで教えてやれ。

⑥あとはここからは独り言なんだが……。目的の土地はオムラの再開発計画予定地となっており将来的に地価の高騰が予想される。地上げを依頼してきているタメジマはチンケなヤクザだ。ハンコを手に入れた後にソイツが死ねば土地はソウカイヤの物……別におかしな話じゃねぇよな?

⑦ミッション成功報酬は一人10【万札】、ただお前らの「気の利き方」によってはもうちょっと増えるかもな? 現地のものは自由に略奪を行って良い。

この後、ソニックブームはPCからの質問を受け付ける。NMはPLのTRPGへの慣れ方等を踏まえ質問に答えること。全ての質問に答える必要は無い。

ソニックブーム「どうだ? アア? 理解したんだろうな? なら、こんな所にボサッと突っ立ってマヌケ面並べてんじゃねえぞコラー……。とっとと行って、ハンコを押させて来やがれ」


(2)ライブハウス『ヨタモノ』

地の文:
 今日もネオサイタマには陰鬱な重金属酸性雨が降り注いでいた。 君達はしとどに濡れながら、ライブハウス『ヨタモノ』に向かって色付きの風となって走る。サンシタニンジャである君達に、送迎のリムジンなどあろうはずもなし。
「アイエエエ!?」運悪く君達の姿を視認したサラリマンが悲鳴を上げた。

 『ヨタモノ』があるムコウミズ・ストリートの治安はあまりヨロシイとは言えない。
ゲイシャ・ディストリクトと接するこの路地は、怪しげなポンビキやチョンマゲクラブのスカウトマン、近隣のライブハウスを根城とするパンクスが行き来する。
 ……無論、ニンジャである君達にとってはその全てが獲物にすぎないのだが。

【マップ】(「どどんとふ」の場合タテ18マス×ヨコ21マス)
グーグルスプレッドシートへのリンク

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①ムコウミズ・ストリート『ヨタモノ』前

 マップ変更。PC達はマップ下、薄赤色の初期配置地点にキャラクターを配置する。
 NMは同じ場所に『タメジマ』を配置する。彼のステータスはクローンヤクザと同等である。

 地の文:
 やがて君達は『ヨタモノ』に辿り着いた。
 建物の前には依頼人である『タメジマ』と思しき眼鏡のヤクザが立っており、揉み手をしながら君達を出迎える。その表情にはニンジャである君達への怯えが混じっている。

タメジマ「ドーモ、タメジマです。 ソウカイヤのセンセイ方、お待ちしておりました。ここが、件のライブハウス『ヨタモノ』です」

 タメジマはヨタモノの入り口である地下への階段を指差す。

タメジマ「ここのオーナーがとにかく頑固で、ヨージンボも屈強……どうかセンセイ、オネガイシマス……!」

 地の文:タメジマは君達をヨタモノ中へと案内する。
 《……アンタイセーイ!》狭い階段を下るにつれ、奥からライブの音が煙草やアルコールの臭いと入り混じりながら漂ってくる。《スシを……食べ過ぎるな……!》

 PCとタメジマ達をヨタモノ内、「廊下」へと移動させる


②『ヨタモノ』廊下

チンピラを6人、PC達の前に配置する。ステータスはクローンヤクザと同じ。

地の文:
『ヨタモノ』に入ると左右に廊下が広がっていた。
左手にはライブハウス、右手には事務所、そして正面にはトイレがある。

タメジマ「オーナーがいる事務所は右手に……」

地の文:
タメジマが君達を案内しようとしたところ、廊下にたむろしていた5~6人のチンピラが君達の姿に気づいた。
「ナンダテメッコラー……」
「ア、テメェ地上げ野郎か!?」
「ヨタモノ地上げするつもりかコラ?」
「ひょろついたヨージンボ引き連れやがって、俺らがボコしてやる!」
「「「「アンタイセーイ!」」」」
地上げ屋として悪名高いタメジマ、そしてそのヨージンボである君達の姿を見咎めたチンピラ達は、拳を振り上げて君達に襲いかかってくる!

――その姿は、ニンジャである君達にとってはまるでスローモーションのようだ。

◆戦闘:チンピラ6人◆
この戦闘は戦闘チュートリアルを兼ねている。PC1人につき最低1回は行動することが望ましい。
PLがヨタモノを殺したくないと言った場合は、手加減し気絶に収めたとすることができる。(原則は殺害扱いであり、PLから提案があった時のみ気絶扱いになる。NMはソウカイヤクザとしてはかなり変わった行動であることを伝える)

――――――――――――――――――――――――――――――――
◆チンピラ(種別:モータル)
体力:1
精神力:1
脚力:2
カラテ:1
ニューロン:1
ワザマエ:3
近接攻撃ダイス:1
万札:1
能力まとめ:ただ殴ってくるだけ。モータルのため回避はできない。
――――――――――――――――――――――――――――――――

 チンピラ達はPC達の無慈悲なニンジャのカラテを見て悲鳴を上げ、失禁する。1ターン目が終了した時点で彼らは戦意喪失し、ドゲザし命乞いをする。
 戦闘続行して殺すかどうかは各PCに委ねられるが、2ターン目以降、ドゲザするチンピラを直接殺害したPCはDKKが+2される。
 また、この戦闘を含めてNMはチーム全体でこのセッション中に殺害したモータルの合計数をカウントしておくこと。(この『モータル殺害数』は後々使用する)

 戦闘終了後、タメジマは、失禁しながらドゲザするチンピラの頭を踏みつけながら(もしくは死体を蹴飛ばしながら)満足気にPC達を称賛する。
タメジマ「ハハハ!ザマアミロだ! センセイ達に逆らうからこうなるんだよ! 流石ですセンセイ達!」

 もしPC達がその行為を咎めた場合、タメジマは驚愕し怯え、卑屈にPC達に謝罪する。
 タメジマ(ソウカイヤクザは非道と聞いていたがどういうことだ……?)

 どちらにせよその後、タメジマは事務所の方へとPCを案内する。

◆オプション1:トイレの中ってどうなってるの?◆
 トイレの中にはなにもない。時短のためにここには時間をかけないこと。
 どうしても探索する、というプレイヤーがいた場合、ダイスを振らせてもよいが、「何もないことがわかった」とすること。
 (これはNMが「何もない」と言った時は本当に何もないのだというチュートリアルでもある)

◆オプション2:ライブハウスに先に行きたい!◆
もしPC達が先にライブハウスの方に行きたがったら、タメジマはそれに従う。その場合、「④ライブハウス」の方へと進めること。ただし進行がややこしくなるため、基本的には事務所の方に進むのが正規ルートである。

◆オプション3:みんな一緒に◆
プレイヤーがPCをライブハウスと事務所に分ける等、チームを分けて別行動をとりたいと言った場合はNMは原則としてこれを認めないこと。
チームが別行動すると単純にその間ヒマなプレイヤーが出てきてしまうし、それだけ処理に時間がかかるからだ。
もちろん君が熟達したNMならその限りではないが、相手が初心者PLならなおさらチームは常に一緒に行動する原則を伝えておいた方が良いだろう。

③事務所

 NMは部屋の奥にオーナー、その左右にヨージンボを4人配置する。
 さらにオーナーに向かい合うようにタメジマを配置し、その後ろにPCを配置すること。

地の文:
 ここはライブハウス『ヨタモノ』の事務所だ。
 部屋の中央にはオーナー用の大きな事務机があり、その手前に応接用の安っぽいバイオバッファロー革張りのソファがある。
 部屋の奥には楽屋、左側奥にはライブハウス、右側奥には外への非常階段へのドアがある。

 禿頭にサングラスをかけたオーナーはしかめ面をして事務机に座り、その左右にはシシマル・パンクスのヨージンボが4人。ヨージンボ達は皆屈強で、なんらかの格闘技の経験者であることは間違いない。
 タメジマは君達に後ろで立っているように目配せをすると、ヘラヘラと笑いながら応接用のソファに座る。

タメジマ「ヘヘ、ではこの土地の明け渡しの件、ハンコをもらいましょうか?」

オーナー「オマエは馬鹿か?繰り返し『ノー』突きつけられるためにまた来たのか? オマエのドンくさいバウンサーの代わりにまたシコタマ殴られる役を連れてきたってか?」

地の文:オーナーは常人なら震え上がるような眼光でタメジマと君達を睨みつけると、右手でキツネ・サインを作って威嚇した。「オトトイ・キヤッガレ!」これは日本古来から存在する明確な敵意表現だ!

タメジマ「ヘヘ……いやね、考え直しちゃくれませんかね?……もうね、アンタも私も、後戻りできないんです」
オーナー「お前……?」

地の文:
 タメジマのただならぬ様子に、オーナーは目を見開いた。
 タメジマは振り返り、目で君達に前に出るように促した。ヨージンボ達が慌ててオーナーを守るように前に出てカラテを構える。

PC達によるアイサツタイム

オーナー「こいつらタダもんじゃねえ!おい、お前ら気をつけろ!」

ヨージンボ達「「「「ザッケンナコラー!」」」」
地の文:ヨージンボ達はPC達のただならぬアトモスフィアに怯えながらも、果敢に挑みかかってきた!

◆戦闘:ヨージンボ4人◆
この戦闘はいわゆる中ボス戦である。2~3ターン、PCは無傷、もしくは1~2ダメージで終わることが望ましい。
PLがヨージンボを殺したくないと言った場合は、手加減し気絶に収めたとすることができる。(原則は殺害扱いであり、PLから提案があった時のみ気絶扱いになる。NMはソウカイヤクザとしてはかなり変わった行動であることを伝える)
戦闘中は、「素手なのになんて威力だ」「チャカ・ガンを避けた!?」等、モータルからニンジャを見た恐怖を描写し、戦闘アトモスフィアを盛り上げること。

――――――――――――――――――――――
◆ヨージンボ(種別:モータル)
体力:3
精神力:1
脚力:2
カラテ:3
ニューロン:1
ワザマエ:3
近接攻撃ダイス:3
万札:3
スキル:突撃(手番はじめに宣言。縦横斜め一直線にしか移動できなくなるが、移動力が2倍となり、そのターンの攻撃力が+1される)
装備:チャカ・ガン:遠隔武器、ダメージ1
――――――――――――――――――――――

地の文:戦闘終了。ニンジャのカラテにモータルが敵うはずもなし、ヨージンボ達は物言わぬ骸となり周囲に転がった。(※気絶のときは別表現を使うこと)

※以下、基本的にはPCに話を勧めてもらうこと。
 タメジマは必要最小限の話の進行役として使い、PCのセリフをとらないように。
(書いてあるタメジマのセリフは参考)

オーナー「オ、オオ……」

タメジマ「わかったでしょう?大人しくハンコを出して下さい」

オーナー「こ、断る! このライブサイトに客がくる限り、地上げには屈しない!」
地の文:オーナーは一瞬事務机の一番上の引き出しに目をやったが、要求をはねつけた。

タメジマ「頑固ですねえ……じゃあ……客が来ないようにしてやりましょうか」

タメジマは部屋の左側にあるライブハウスへ続く扉に目をやった。

オーナー「まさか、客に手を出すつもりじゃ……!」

タメジマ「なあに、ちょっと怖がってもらうだけですよ」

※オーナーを殺害していた場合
 タメジマ「ここはライブの聖地と言われていてねえ。地上げ後に反対運動が起こらないよう、ちょっとお客を怖がらせてもらえませんかね?」
 タメジマは部屋の左側にあるライブハウスへ続く扉に目をやった。

◆オプション1:
 ここでオーナーを殺して事務机の引き出しに手をかけた場合、PC達はハンコを手に入れることができる。殺したPCはDKK+2。
 以降、NMはPCがハンコを手に入れた時点で、いつ撤退してもミッションはとりあえず成功になることを伝える。
 また殺した後に、部屋の中を物色することができる。PCは全員はコモンランダム・トレジャー判定を振る。
 ◆コモンランダム・トレジャーの決定表◆
 出目1−3:【万札:1】、出目4−5:【万札:2】、出目6:トロ粉末※
 ※トロ粉末を既に持っていた場合、【万札:3】となる。セッション終了時に万札3で売却することも可能。


◆オプション2
 ハンコを手に入れた後は、いつであってもタメジマを殺すと任務の達成度が+1される。
 タメジマの体力は1であるため、カラテでもスリケンでも殺せる。
 裏切られたことを知ったタメジマはソウカイヤの恐ろしさに心底恐怖し、己の人生を後悔しながら死んでいく。殺したPCはDKK+2
 タメジマ「な、何故オレを殺すんだ!?俺は依頼人のはずじゃ……アバッ」


④ライブハウス

NMはライブハウス内に12人~20人程度の客を配置する。(配置が面倒であれば口頭で伝えても良い)また部屋の隅にNPC「ギンイチ」「イチジク」を配置すること。
PCをライブハウスの中央に配置する。

地の文:
 君達がライブハウスに入ると、目玉であるアベ一休のライブはもう終わった後のようだった。
 しかし興奮の余韻が会場全体を包んでおり、DJが鳴らす音楽に合わせ大量のライブ客がダンスを楽しんでいる。「アンタイセイ!」「アンタイセーイ!」誰かがアベ一休を象徴するチャントを叫ぶと、他の客も口々にそれに続いた。
 客の大半はパンクスであるが、ニボシめいた優等生や、小奇麗な女子高生も紛れていたり、多様性に富んでいる。
 流石ライブの聖地と呼ばれるだけのことはある。確かにこれは少し客にトラウマを刻んでやらねば地上げ後の反対運動がうるさそうだ。

パンクス「アン? なんだァテメェ……」
パンクスの一人が場違いな客である君達の存在を咎める。

 キミ達はこのネオサイタマの狩人だ。この無邪気にアンタイセイを叫ぶヒツジ共に、ネオサイタマの闇の秩序を刻み込んでやることができる。

オーナー「お、おい!何をする気だ!やめろ!」

◆ショータイムだ!◆
 PC達は戦闘と同様に客に攻撃をしかけることができる。すべての客は体力1でどんな攻撃でも即死する。カトンやカラテミサイルでまとめて焼き殺すこともできる。
 PCごとに殺害させるか気絶させるかさもなくば他の脅し方(ムテキ・アティチュードを使った斬新な脅迫方法を考えるPCがいるかもしれない)を自由にロールする。比較的正義感を持つPCがいた場合、そのPCは手を出す必要は無い。(その後のシナリオフックになるだろう)

 NMは客を殺害した場合は一人につきDKK+2を得てコモンランダム・トレジャー判定(判定表は先程と同様)を振ることができること、気絶や脅迫の場合はコモンランダム・トレジャー判定を振ることはできないことを伝えること。ただしロールプレイがあまりに見事だった場合はコモンランダムトレジャーを振る権利を与えても良い。

 このPC達がニンジャの暴威を振るうシーンはこのセッション中盤の盛り上がりどころである。NMはPCの行動に応じてモータルとしての反応を返して場を盛り上げること。
 もし殺しをしたがらない善良なPCがいたら、その影に隠れようとするモータルがいても良いかもしれない。(そのようにして善良なPCはその善良さを際立たせるようにしてあげること)
 またNMは余裕があったらギンイチとイチジクのロールをしても良い。

地の文:「「「アイエエエエエ!」」」君達がニンジャの暴虐を振るうと、客たちは血相を変えて逃げ惑う!
地震、雷、火事、ニンジャ。命知らずのパンクスが例外的に恐れるものを言い表したジョークである。裏を返せば、それほどまでに災害的なものでなければパンクスを恐れさせることはできない、という意味でもあった。だが、こうしてこの場を掌握しているのは、まさにそのニンジャなのだ!

オーナー「わ、わかった!ハンコを押す! だからもうやめてくれ……!!」

客を3人程度殺害もしくは気絶させたところで、オーナーは大人しくハンコを持ってきて、PC達にわたす。
NMはPC達に、さらに客を殺していくか、ここでやめるかを選択させること。ここでオーナーやタメジマを殺しても良い。

◆オプション1
 事務所に行く前にライブハウスに入った場合、客を3人程度(PC人数)殺害もしくは気絶させたところで、客を攻撃している最中にオーナーがヨージンボを伴って現れる。
 ヨージンボを全員倒すとオーナーは降伏し、事務所からハンコを持ってくる。
 タメジマは「まあ、もうちょっと生意気な客共に恐怖を与えてやってもいいかもしれませんねえ?」と言う。
PCが客の殺害を再開した場合、オーナーは「ヤメローヤメロー!」と叫び続ける。

◆オプション2
 事務所でオーナーを殺害しハンコを手に入れた状況でライブハウスに入った場合、3人程度殺害もしくは気絶したところでタメジマが「もう十分でしょう」と卑屈な笑顔で止めに入る。もちろん更に客へ攻撃を続けることも可能なことをPCには伝えること。
 タメジマすら死んでいた場合、PCを止めるものは誰もいない。

◆オプション3
 NPC「イチジク」もしくはNPC「ギンイチ」に攻撃をしかけた場合、それを防ぐためにもう一方が「アンタイセーイ!」とPC達に絶望的な反撃をしかける。
 それでもPCがこのNPCのどちらかを殺害しようとした場合、赤黒い炎をまとったスリケンが入り口から飛び来たり、それを阻止。そしてライブハウス入口にニンジャスレイヤーが出現する。
 NMはハンコを得ているか否かに関わらず即座にシーン⑥「逃走~ネオサイタマの死神~」に移行すること。


⑤ライブハウス ~Wasshoi判定~

 PC達が客への攻撃を止めた時点でNMはWasshoi判定を行う。2D6を振り、出目からここまでの【モータル殺害数÷3(端数切り捨て)】を差し引く。
 最終的な数値が、全PC中で最も高いDKKよりも低くなった場合、ニンジャスレイヤーがライブハウス入口に出現する。

 また、客殺害中にモータル殺害数が16人以上になった場合、もしくは客殺害数が8人になった場合、確定でニンジャスレイヤーが出現する。
ニンジャスレイヤーが出現した場合はシーン⑥「逃走~ネオサイタマの死神~」に、
Wasshoi判定でニンジャスレイヤーが出現しなかった場合シーン⑦「最後の刺客」に移行すること。

(参考)ここまでで殺害できるモータル
チンピラ:6人
ヨージンボ:4人
オーナー:1人
タメジマ:1人
客:12~20人

◆オプション:
 PCのロールプレイや、PLの希望によっては、NMはWasshoi判定を行わずにニンジャスレイヤーを出現させてもよい。また、ニンジャスレイヤーの代わりに「ナラク・ニンジャ」を出現させてもよい。


⑥逃走~ネオサイタマの死神~

 邪悪を尽くしたPC達の前にニンジャスレイヤーが現れる。インガオホーを受けぬためには全力で逃げる以外に道は無い。この逃走は一種のボス戦である。PC達のうち最もDKKが高いPCが死亡し、あと一人死ぬかどうか、くらいのバランスが望ましい。

地の文:
――その時である!

ニンジャスレイヤー「Wasshoi!!」

地の文:
 ニンジャの暴虐により地獄と化したライブハウスに地獄より禍々しいシャウトが響き渡った!
 入口から赤い弾丸めいて突入してきたのは憎悪と復讐の化身!
 ブースのLEDボンボリが、突入者の赤黒の装束を、そして「忍」「殺」と彫金されたメンポを照らし出す!

ニンジャスレイヤー「ドーモ、ニンジャスレイヤー(orナラク・ニンジャ)です」

地の文:アイサツからコンマ1秒、ネオサイタマの死神は自らの背後の扉及び部屋右にある事務所への直通扉に向け恐るべき精度でスリケンを投擲、赤黒い炎によりカギを溶接し通行不可能にした。

これによりライブハウス下側及び右側の扉は通行不可となる。PCにはニンジャスレイヤーにはほぼ勝ち目が無いこと、逃げるためには奥の扉から裏廊下を通って事務所裏口から脱出するしかないことを伝える。

★ニンジャスレイヤー及びナラクニンジャの能力は公式ページ通り
https://diehardtales.com/n/nde4de6ef5509#K7IiG

◆ニンジャスレイヤーの行動について
・ニンジャスレイヤーの出現と同時にサツバツとした空気が漂い、アトモスフィアがハードモードになり、基本回避難易度がHARDになったことをPCに伝える。(区別が面倒なので、射撃も回避HARDとしてしまってもいいかもしれない)
・ニンジャスレイヤーは1ターン目、最もDKKが高いPCにツヨイスリケンを投擲(回避難易度UH、ダメージD6)。以降最もDKKが高いPCを優先的に殺害しようと動く。
・ナラクニンジャの場合は1ターン目から遠慮なく連続側転を使用し、PC達を縊り殺す。(ついでに次々と一般人も殺していく。これは手番を消費しない)

◆ワンポイントアドバイス
 NMは、カタナ持ちのプレイヤーに対して、カタナをしまうことで連続側転がN判定で行うことが出来ることを教えてあげること。

◆裏廊下から楽屋への扉
 裏廊下から楽屋への扉はカギがかかっており、ハッキング判定でHARDで開けられる。
 ただし、開けようと試みたターンは扉の前に立つ必要があり、またハッキングは1チーム1回しか試すことはできない。(セキュリティロックがかかるのだ)、1度開けてしまえば誰でも通ることができる。
 なお、PCが開けたか開けないかに関わらずニンジャスレイヤーはこの扉の前に立ち止まることなくカラテで粉砕し、通行できる。

◆オプション
 セッション時間が推している場合は、時短のためここの扉は開いていることにしても良い。

・裏廊下を通り事務所右側の扉から出て、マップ端にたどり着ければそのPCは生還である。全PCが死ぬか生還したらミッション終了である。生き残ったPC達で⑧ミッション評価へ移行する


⑦最後の刺客

比較的控えめで邪悪ではないPC達の前にニンジャスレイヤーが現れることはなかった。だが、土地の権利書を狙った別のニンジャがPC達の前に現れる。
この戦闘はいわゆるボス戦である。PC達が苦戦の末、達成感を得る勝利が得られることが望ましい。

地の文:
ハンコを手に入れ、ライブハウスから出ようとする君達。だが、ライブハウスの入口に一人の男が現れた。男の出で立ちは漆黒のニンジャ装束、そしてメンポ。――紛れもなくニンジャだ。その後ろにはクローンヤクザが2人。

 NMはライブハウス入口にサイドスピアーとクローンヤクザ二体を置く。

サイドスピアー「ドーモ、サイドスピアーです。お前達のやってきたことは見させてもらった、見たところニュービーのようだがそうとは思えぬ良い手際だ」

地の文:サイドスピアーと名乗る男はオジギし、邪悪な黒いヤリを構えた。

サイドスピアー「しかし土地の権利所は俺様がいただく。この土地は我がブラックヤリ・ヤクザクランもかねてより狙っていたもの。今、貴様らから権利書を取り上げればまさに漁師がカチグミというやつよ」

地の文:
なんたる狡猾さ!この土地を狙う他のヤクザクランである! どうやら同じく『ヨタモノ』の地上げを狙っていたこのニンジャは、君達がこのミッションに派遣されたのを見かけ、その横取りをすべく現れたのだ!

――――――――――――――――――――――――――――――――
◆サイドスピアー(種別:ニンジャ) 
体力:6
精神力:5
脚力:3
カラテ:6
ニューロン:5
ワザマエ:4
ジツ:2(カトン)
近接攻撃ダイス:6
回避ダイス:6
万札:8
能力まとめ:近接攻撃威力2、遠距離ではカトン(中心部D3ダメージ)
◆装備や特記事項
 強烈なヤリドー:近接攻撃。ダメージ2
 回転ヤリドー:周囲の敵全員に近接攻撃。ダメージ1
――――――――――――――――――――――――――――――――

◆戦闘◆
 サイドスピアーはそれなりに経験を積んだヤクザニンジャであり、PC達の動きを「ニュービーだが、あなどれない」と評価しながら戦う。
 NMは適宜サイドスピアーにPCを褒めさせたり、サイドスピアー・クローンヤクザからの流れ弾によってモータルを死なせたりして戦闘の臨場感を演出すること。
 サイドスピアーと戦っている時点でPCは比較的邪悪ではないロールプレイの可能性が高いため、対照としてサイドスピアーは回転ヤリドーなどでモータルを巻き込み死させながら戦う邪悪なニンジャとして描くのが良いだろう。
 また、この戦いの途中でギンイチとイチヂクはライブハウス入口から離脱する。手慣れたNMであればこの原作登場NPCを使って演出を行っても良い。
◆戦闘終了◆

地の文:「お、俺がこんなニュービー達に……! サヨナラ!」サイドスピアーは爆発四散!

サイドスピアー撃破を以って、ただちにミッション終了となる。⑧ミッション評価に移行すること。


⑧ミッション評価

PC達がニンジャスレイヤーから逃げ切ったか、サイドスピアーを撃破したかに関わらず、その直後に、ソニックブームからIRCが入る。

ソニックブーム「ご苦労だったな。後始末のためのソウカイヤクザを送った。テメエらは土地の権利書を持ってとっとと帰ってこい。モタモタしてたらブッ飛ばすぞ」

地の文:
ライブハウスのモータルはもう殆どが逃げ、死体しか残っていない。死体漁りなどをしてもたもたしていたら、命令違反として実際にソニックブームにボコボコにされる可能性がある。

評価基準は以下のとおり。NMは各評価基準を満たしているかをチェックし、それに応じた褒め言葉を与えること。

・土地の権利書を手に入れた:2点
・客に十分な恐怖を与えた(客を3人程度殺害もしくは気絶させた):1点
・タメジマを殺害して土地をソウカイヤのものにした:1点

◆A :4点……余暇4日、1人15万札
◆B :3点……余暇4日、1人12万札
◆C :2点……余暇4日、1人10万札
◆D :1点以下……余暇4日、1人5万札(任務失敗)

また、ソニックブームにニンジャスレイヤーのことを報告すると、彼は君達の負った怪我と報告を見比べて以下のように言う。


◆ニンジャスレイヤーに1点以上のダメージを与えていた場合
「……どうやらケジメ逃れの方便ってワケじゃあ無さそうだな。ニンジャを殺すニンジャ?ケッ、ふざけやがって! テメェらはご苦労だった、これで美味いメシでも食うんだな」
と、一人につき2万札の追加ボーナス。

◆ニンジャスレイヤーに1点のダメージも与えていない場合
「……どうやらケジメ逃れの方便ってワケじゃあ無さそうだな。ニンジャを殺すニンジャ?ケッ、ふざけやがって! だがテメェら、震え上がってスリケンの一つも与えられずに逃げ帰ってきたとはどういうわけだ。次そんなクソみてえな態度だったら……わかるな?」
ボーナスは無し。

 また、サイドスピアーを殺害していた場合は、ソニックブームは以下のように言う。

「どうやら他のヤクザクランのニンジャをぶっ殺したようだな。注文以上のことをやってくるとは気に入ったぜ、これでソウカイヤに逆らうクソの数も減るだろう。これで美味いメシでも食うんだな」
と、一人につき3万札の追加ボーナス

セッションの最後に、ソニックブームはアジトを持っていないニンジャに一人住まい用の『ソウカイ・アパート』を手当してくれる。最低限の設備しかないが、家賃不要で住むことができる。
【ソウカイアパート】(「どどんとふ」を使う場合タテ8、ヨコ5)

画像2

ソニックブーム「住むところにも困るくらいのサンシタ用の住処だ。まともなアジトが見つかるまで住めば良い。俺からしたらウサギ小屋もいいところだが、テメェらにはお似合いだろうよ」

◆オプション
今後のキャンペイグン予定等に合わせ報酬は調整すること。
また、このセッションをキャンペイグンの第一話として使う場合は、別途アジトを渡しても良い。

以上、セッション終了。お疲れ様でした!

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