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AI@SFエッセイ / ドラえもんの経済活動(前編)

ドラえもんの経済活動をどうとらえるか

仮に、人工知能がある企業の業務の半数の人の作業を代替することができるようになった状態について考えたい。つまり、ドラえもんが、地域・企業の一員として、役務(のび太の教育)を行いながら、地域経済(どら焼きの購入)に参加するときにその経済活動をどうとらえるかということである。

これは、個人的に非常に面白い思考実験で、ドラえもんが友達に欲しい皆様と一緒に考えたい。

…経済学については、素人も同然なので、リアリティのためにフィードバックいただけると非常にありがたい。

労働生産性におけるスケールメリット

経済学の中で個人の活動の価値は、労働生産性によって定義される。
そして、一般的に労働生産性には、スケールメリットがあるとされている。これは、皆さんの日常生活で感じる部分で、直観的に納得される方も多いと思う。

詳しくは、財務省が公開されている“企業規模と賃金、労働生産性の関係に関する分析”を参考願いたいが、一部抜粋させていただくと、2013年と2018年の企業規模と生産性の比較表がその特徴を示している。
(※縦軸のラベルが違うことに留意してください。この並びで軸を変えるのはミスリーディングだと思うが...)

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引用:企業規模と賃金、労働生産性の関係に関する分析
(縦軸:労働生産性(千円) 、 横軸:企業規模(人))

L1-4の企業において平均値が非常に高くなっているが、これは低規模の事業所において、二極化している可能性を示しているが、本題ではないので、脇に置く。

ここで改めて法人企業統計における労働生産性の式を見てみると、従業員数の増加速度より、付加価値額が早く増加しているときに右肩上がりのグラフとなるようなものである。そして業種によっては、第二因子によって特定のスケールメリットは、制限されているようである。

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ただし、ここにはドラえもん、つまり、人を自律的に支援する存在は含まれていない。なぜなら、彼らは、購入費は発生するが、人件費は発生しないし、営業利益は彼らのものとは換算されないからである。

ドラえもんの労働生産性

ドラえもんの労働生産性を考えるといいながら、実はそもそも労働生産性の対象にドラえもんが入っていないというのが、今回の最も大きなテーマでもある。

そもそもドラえもんの給与は何か?維持費は何か?それによって発生するのび太の頑張りは?

設定1:ドラえもんをのび太が使用する資産として捉えた場合

ドラえもんは、のび太よりも機能が高いかもしれないが、その効力はのび太を介して評価される。逆に言えば、のび太の労働生産性がどの程度向上したかによって評価されるが、ドラえもんの価値はのび太(正確には未来のセワシ)が購入した時点で価値が確定し、その後減価償却されていくのであろう。

つまり、現在のPCと同じ扱いである。データをいくら使い倒そうが、それは、使用者の技能であり、所有権は企業が持たざるを得ない。

そして、のび太の労働生産性は、見かけ上向上する。しかし、それは、会社のインフラが向上しているからである。

設定2:ドラえもんを個人として労働生産性を評価する場合

ドラえもんの主目的は、のび太の教育であるので、のび太の労働生産性を2で割ることに等しい。つまりこの場合、単純には設定1の半分になる。
この設定の重要なポイントは、労働生産性の評価が機器による増加分が除かれ、単純に仮想を含む人材ネットワークが増加した場合の組織の効力を示すことである。

しかし、これは工場ロボットなどを考えると取り扱いが難しい。そもそも、労働生産性の向上には、資金集中による投資効率の向上、生産の空転率の減少なども含んでいるからだ。

仮に、全ての事業所が赤字にならないことを目指して運営することを目標とすると、ドラえもんの採用は、のび太の労働生産性が2倍以上にならないといけない。

のび太は、ドラえもんと協調し2倍以上の労働生産性を獲得できるだろうか。2倍以上になるのであれば、それは、人材ネットワークが増加したことによる効果と考えられるのかもしれない。

2倍以上にするとういうことを観点すると、近年言われている共働き / ダブルワークについて検討するのが良いかもしれない。

ダブルワークは、人口ボーナスのひねり出しか

ダブルワークの推進は、よく女性の社会進出の文脈や、多様性の議論の中で話がされる。

しかし、その中で気になるのは、労働人口の増加による経済のスケール(いわゆる人口ボーナス)と、労働人口の増加による組織における労働生産性向上による経済のスケールが同一視されることだ。

そしてこの課題は、今回のドラえもんの労働生産性と課題の側面として一致していると考えられる。

ドラえもんは、"仮想"労働人口の増加による経済のスケールをどう補正して、組織における労働生産性の向上を評価するかということであり、

一方で、ダブルワークは、労働人口の増加による経済のスケールをどう補正し、多様性がもたらす労働生産性の向上をどう評価するかということといえそうだからだ。

では、組織における労働生産性の多様性をどのように評価するのが良いだろうか。

組織ネットワークにおける多様性

この問題を評価するために、仮に、労働生産性の向上からインフラを除くとすると、

個人:単一のノードの仕事量

組織:ノード間のネットワーク抵抗

によって、評価されるネットワークとして考えることができる。

実際に、e-mailなどを使ったコミュニケーションの定量化などが研究されている。

複雑ネットワーク科学の拡がり:4.企業組織ネットワークの解析-戦略的な組織構造と個人間のコミュニケーションの役割

ここでは、ノードの差を評価せず、コミュニケーションネットワークにおける評価がメインであるが、末尾の方にエージェントを活用したシミュレーションを行い、組織再構築などの可能性を評価している。

つまり、多様性を評価するためには、各ノードをエージェントとしての多様性を与え、ネットワークの発生頻度だけでなく、発生時の抵抗を追加で定義することで、今回の目的に沿った解析が実行できると考えられる。

...今回は、この仮説を立てたところまでで一度ストップしよう。

少し時間をとって、シミュレーション系を実装することを考えてみようと思う。







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