錦木千束が好きそうな映画
2022年夏アニメの中で最も注目されている「リコリス・リコイル」だが、主人公の狂人「錦木千束」は#01の描写から映画をよく見ていることがわかる。画面に映る範囲からは
ランボー
コン・エアー
ターミネーター
ダイ・ハード
マトリックス
のパロディとみられるBDが確認できる。「午後ロー」のようなラインナップだ。そこで今回は、彼女が好んでいそうな映画について考察してみたい。
「ジョン・ウィック」サーガ
もちろん「ジョン・ウィック」は外せない。千束はC.A.R.システムを用いて戦闘を行うが、この映画を見て影響されたと考えるのが自然だろう。腕時計の盤面を内側にしているのもジョン・ウィックの影響かもしれない。C.A.R.システムには両手の親指同士を合わせることで「リコイル」の軽減を図るという効果もあり、タイトルとの関連も大きい。ジョン・ウィックも殺し屋育成機関「ルスカ・ロマ」に育てられた孤児であり、自身の境遇と重ねて見ていたのではないだろうか。
バットマン/ダークナイト・トリロジー
後になって気付いたことだが、「バットマン」のキャラクター造形が千束/真島の造形に大きな影響を与えていることが推測される。千束/バットマン/表の顔と裏の顔を持ち、不殺の信念を持つイカれたヴィジランテであり、真島/ジョーカー/ベイン/大衆に選択をさせる(が、事実上選択肢はなく、スイッチは彼自身が握っている)イカれたテロリストである。真島の元ネタがジョーカーなのかベインなのか(見た目の元ネタはジョーカーだろう、もちろん)については議論が分かれるところだが、彼なりの社会に対する信念があり、かなり”正常”であることからベインの要素が強い(”バットマン”と同じ組織に才能を認められた、という部分も大きい)。真島は「バランス」に異様なこだわりを見せるが、これは「ダークナイト」におけるジョーカー/トゥーフェイスの「二者択一」を言い換えたものだろう。また、バットマンの原作には「梟の法廷」というヴィラン組織が出てくるらしく、またそのアジトはブルースの高祖父「アラン・ウェイン」の会社が所有するビルにあるらしい。これは「アラン機関」とそのアイコンとなるネックレスが「梟」であることの元ネタだろう。
「梟の法廷」は現在進行中のロバート・パティンソン版バットマンの続編に出てくるらしい。楽しみですね。
「ワイルド・スピード」サーガ
#02で(隠匿性を無視して)スーパーカーを運転したがったことから、車が爆走し爆発する類の映画全般(マイケル・ベイ作品など)も好きだろうなと思われる。「ワイルド・スピード」サーガには「(疑似)家族」の要素があり、喫茶リコリコも彼女にとってそれに近い場所なのかもしれない。
ジェイソン・ステイサム出演作品
まさに「午後ロー」的というか、仕事をきっちりこなすプロの姿がハードなアクションとともに描かれている作品が多い。銃だけではなく格闘訓練の重要さを学べる映画群といえるだろう。ちなみに、「アドレナリン2」では「主人公が(欠陥品の)人工心臓を埋め込まれる」という謎のリンクが見られた。まさかこれは……。
ウォンテッド
「殺しの才能を見込まれた青年が秘密結社に入り殺し屋になる→罠に嵌められ復讐するが自分を見失う→最後に自分を取り戻す」というストーリーは自分の未来の暗示のように思えるのではないだろうか。幼き日の彼女は銃弾曲げを試したかもしれない。
好みでなさそうな映画
デヴィッド・フィンチャー作品
終わりがすっきりしないものが多いので好みではなさそうだ。わたしを離さないで
自分の存在意義を考えてしまいつらくなりそう。「臓器移植」の部分が思いがけない形で拾われたが……。アニメ映画全般
特に偏見はなさそうだが、それはそれとして自分からは見なさそう(付き合いで見に行くことはあるかもしれない)。恋愛映画全般
自身の境遇から「見ても意味がない」と感じて避けていそう。喫茶リコリコには婚活に励む店員がいるが、戸籍がなければ結婚もできないし……。
総括
「リコリス・リコイル」にはOP映像の「スタンド・バイ・ミー」をはじめとして大量のオマージュが盛り込まれており、映画好きとしてはたまらない作品となっている。今後のきな臭い展開も楽しみだ(「スタンド・バイ・ミー」の展開を考えると……やはり……)。
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