満足度上位・どん兵衛と赤いきつね。狙う先は異なる年齢?地域?
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
最近のダナンは乾季真っ只中で、暑い日が続いております。
暑い日は家事をやる気が起きず、そんな時につい頼ってしまうのがインスタント麺。たまに食べる日本のインスタント麺の美味しさたるや…。
先月風邪を拗らせた時にもお世話になったのがカップのきつねうどんでした。
今回はKnowns Bizを用いて、「日清どん兵衞」と「マルちゃん赤いきつね」について比較分析してみます。
カップうどん・そばの満足度×認知度
まずカップうどん・そばジャンルの満足度x認知度を調べると、認知度に関してはどん兵衛・マルちゃん共に90%越えでしたが、満足度のみで見ると
1位日清どん兵衛、2位マルちゃん赤いきつねという結果が出ました。
※「日清どん兵衞」にはお蕎麦/その他うどんも含まれています
7Journeyの競合比較で見てみると、直近1年以内の購買である現在購買層(ロイヤル+離反予備軍)は「日清どん兵衛」が上回っています。
一方で現在購入していないものの購入意欲がある層(巻き戻し)、未認知やきっかけ待ちは「マルちゃん赤いきつね」の方が多い結果となっています。
さらにデモグラフィック分析も見てみます。上記グラフでは日清どん兵衛とマルちゃん赤いきつねの回答割合を比較し、同一の場合は100、多い場合は青字、そして少ない場合は赤字で"特徴度"という値で表しています。
このグラフの特徴度をみると「日清どん兵衛」購入者は30代が多く、「マルちゃん赤いきつね」は40代~50代の購入者が多いようですね。
男女比率ではどちらもバランスが取れていますがあえていうのであれば「日清どん兵衛」は女性の購入者、「マルちゃん赤いきつね」は男性の購入者がやや多い傾向にあります。
ではそれぞれの購入者がなぜこのように分かれるのかを見ていきたいと思います。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
日清どん兵衛
1976年に発売した「日清どん兵衛」は日清食品が製造している即席うどん・そばのブランド名です。業界初のどんぶり型容器で登場し、発売当初から東日本と西日本で味に変化を付けていたそうです。
1980年代には業界初の大盛りを発売。90年代には「天ぷら後のせ式製法」、2000年代にはおあげも東西で変化をつける、うどんの三層太ストレート製法を発明するなど年々進化を遂げているカップうどん・そばとなりました。
どん兵衛という商品名の由来については、ラジオ番組のインタビューで、
「『どん兵衛』の名前の由来は“うどん”の“”どん”と日本人の名前につく“兵衛”をくっつけた造語で、ほのぼのとした温かさが感じられるということで『どん兵衛』に決まりました」と紹介されています。
参考記事:CBCラジオ 多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
もっちりとしたストレート太麺と醤油のうまみと甘味があふれるジューシーなおあげに、東日本版は鰹出汁ベースに濃い口しょうゆ、西日本版は昆布出汁ベースに薄口しょうゆ、北海道版は利尻昆布出汁ベースに甘口しょうゆとつゆの味付けが異なっているのも特徴。
「どん兵衛」は商品ラインナップが豊富で、カップ麺以外にも袋麺タイプや具材のみの販売も行っています。
また、通常のどん兵衛より少し高価な「最強どん兵衛」も発売されており、もちもちとした食感の極太うどん、昆布の後引く旨みが特長の6種の合わせだしを使用したつゆ、通常よりもぶ厚いふっくらおあげ、長野県の老舗「八幡屋礒五郎」で特別に調合した特製ゆず七味唐辛子と"すべてが主役" と普段よりちょっぴり贅沢したい方にお勧めだそう。
どんな人が買っている?
デモグラ分析では30代の顧客が多いと出ていましたが、どのような人が「日清どん兵衛」を選んでいるのでしょうか?
「日清どん兵衛」の30代購入者のサイコグラフィックを見ると個人価値観は、"報われ待ち”"安定思考”な傾向があるようです。
社会価値観は"自分より家族優先”"現状満足”"対人ストレス過多”で、消費行動においては"お得感重視消費”"リピート消費”、また買い物で失敗をしたくない"タイパ重視型消費”が上位にきています。
コツコツと仕事や家事を頑張り、日々家族や人との関わりを優先。買い物においては自分の気に入ったものをより安くリピート購入し、冒険はしない人が多いのでしょうか。
消費者の声を見てみると、「あっさりしたつゆ」や「インスタント麺らしくないもっちりしたストレート麺」についての意見が多かったです。
また先にご紹介した「最強どん兵衛」に関しても声も多く「大量買いした」という消費者もいました。
マルちゃん赤いきつね
1975年に東洋水産が自社加工の“だし”を使用した、業界初のカップ入り即席きつねうどん「カップきつねうどん」を発売。
この「カップきつねうどん」が「赤いきつね」の前身となった商品です。当時、和風カップ麺は珍しく、和風カップ麺ブームの火付け役になりました。
「マルちゃん赤いきつね」と言えばセットで記憶されているのが「緑のたぬき」と「武田鉄矢さん」ではないでしょうか?1978年の発売当時から現在まで一貫してCMに出演されているそうです!
フライ麺ならではの食感のちぢれ麺としっかり甘めのおあげ。「マルちゃん赤いきつね」も発売当時から東西でつゆの味を変えて展開しており、東日本向けはカツオと醤油のしっかり味、西日本向けはカツオ・コンブ・煮干のダシに薄口醤油の上品な味となっています。
さらなるコアなニーズに応えるべく、うるめ鰯をたっぷり使用した「関西向け」と利尻昆布とかつお節を使った「北海道向け」を2001年に展開、「赤いきつね」「緑のたぬき」ともに、現在では4種類の商品を展開しています。
また全国各地のお祭りとタイアップし、オリジナルパッケージ商品を販売するなど、地域と密着したコミュニケーションを展開しています。
デモグラ分析では40代~50代の顧客が多いと出ていましたが、どのような人が「マルちゃん赤いきつね」を選んでいるのでしょうか?
個人価値観では"時間にシビア”が日清どん兵衛と共通して1位ですが、"健康志向”"物欲少なめ”"柔軟姿勢”と自分の健康などの管理ができ、こだわりよりも柔軟な対処を得意とする人が多いようです。
社会価値観は困った時に相談相手もいるが自立もしている"依存分散型”や自分の経験や得た情報を元に行動をする"ゴーイングマイウェイ”、"関わり面倒 ”と、どん兵衛購入者とは正反対の結果に。
消費行動は好きなものを適正価格で購入する"良いもの良い価格消費”"リピート消費”"コレクター消費”の傾向が高いです。
時間や健康において自己管理がしっかりしており、他者に依存し過ぎず自立している方が多いようです。好きなものを続けて買う傾向にありますが、作り手の思いや商品開発ストーリーなどへの共感が高いものも購入意欲をそそられるようです。
消費者の声を見てみると、「昔から変わらない味」「甘めのつゆ」についての意見が多かったです。また「おあげの染み込みがいい」との意見や「CMが記憶に残る」「どん兵衛より安く売っていることが多い」などもありました。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
色々な視点からみる違いとは?
上記以外にもそれぞれの購入者の傾向の違いが見られましたので紹介していきたいと思います。
購入者居住地
まず購入者の居住地を見てみると、構成比で比較をすると「日清どん兵衛」購入者が西日本から南日本に多いのに対し、「マルちゃん赤いきつね」購入者は東日本から中部地方に多いです。
これは日清食品は関西地方、東洋水産は関東地方に本拠地があることが影響しているのかもしれません。
イメージ・CM比較
また、ブランドイメージを比較すると「日清どん兵衛」は"家庭的”"定番的”"伝統”などが上位にきていますが、「マルちゃん赤いきつね」は"コスパ"や"懐かしさ”"カジュアル”なイメージが強いようです。
CMでは「日清どん兵衛」は"どんぎつね”で話題となった吉岡里帆さんと星野源さんのCMから『ツルモク独身寮』や『ショコラ』を描かれた漫画家・窪之内英策さんのキャラクターデザインによるアニメのTVCM、そして直近のCMにおいては『新世紀エヴァンゲリオン』や『サマーウォーズ 』などの監督で知られる貞本義行さんがキャラクターデザインを手がけるアニメTVCMとなっています。
日清食品ではカップヌードルでもアニメCMを起用し、話題となっていました。新CMでは学校を舞台とし、20代や10代の学生にも親しみやすく、またエヴァ世代(40代)にもアプローチできる作品となっているのではないでしょうか。
一方「マルちゃん赤いきつね」は定番の武田鉄矢さんに加え、最近は女優の麻生久美子さん、お笑いコンビ・シソンヌじろうさんを新キャラクターとして起用しています。
親しみのある武田さんを引き続き起用しつつ、購入者の少ない30代をターゲットにイメージチェンジやマルちゃん自体の認知向上も狙っているのではないでしょうか。
カップ麺のうどん・そばとラーメンでは?
日清どん兵衛もマルちゃんもどちらもカップラーメン商品も出しているので、ジャンル比較を簡単にしてみました。
どちらも主な購入者は30代〜50代前半に集中していますが、うどん・そばに比べてラーメンは10代~20代の若年層の購入者が多いです。
また、カップ麺(うどん・そば)の相関ランキングを見てみると、1位はカップラーメンではなくカップ焼きそばなのが意外でしたが、前回分析した「カップ焼きそば」の主な購入者層が今回分析したカップ麺うどん・そばと一致していたり、サイコグラフィックなども共通点が多いことから相関性が高いことも納得です。
Knowns Bizを使った資料を見てみたい方へ
まとめ
日清どん兵衛の特徴
・30代に選ばれる、女性がやや多い
・真面目で安定思考、冒険はしないタイプの傾向
・太麺、あっさりつゆが好み
・西日本・南日本で人気
マルちゃん赤いきつねの特徴
・40代~50代に選ばれる、男性がやや多い
・自己管理や自立しているタイプ、柔軟姿勢
・ちぢれ麺、甘めのつゆが好み
・東日本〜中部地方で人気
以上、比較分析で見られた特徴となります。
「日清どん兵衛」、「マルちゃん赤いきつね」どちらも長年をかけて商品の品質や味の追求だけでなく、便利な商品やCMなどにも力を入れていることがわかりました。
今後の順位も気になりますね!
筆者のひとこと
私が住んでいるダナンでも日本のインスタント麺は買えるのですが、輸入品なのでローカルのご飯屋さんに行くよりもちょっと高価です。
しょっちゅうは食べられませんが、体調を崩した時など日本のカップうどんにはホッとします。
私は猫舌なのでカップのきつねうどんを食べるときはおあげを一旦別皿に持っておいて、最後残ったつゆで温めながら食べるのが好きです。
みなさんはこだわりの食べ方などありますか?
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