ファストファッションの違いをみる。ZARAが25年続くわけ。
ZARAが25周年を迎えました。
ZARAのオンラインショップ(特にアプリ)を使ったことはありますか?
筆者は年に2回爆買いしています。笑
そうです。激推しです。笑
推す理由はズバリ、返品無料と商品の豊富さです!
ZARAというと、奇抜なものが多いとかサイズが合わないとか、少しとっつきにくい印象があるかも知れませんが個人的にはすごく利用しやすいと感じているので、今回はKnowns Bizのデータを通して世間のZARAに対するイメージを見てみたいと思います。
改めてZARAとは
ZARAはスペイン発のファストファッションブランド。
現在世界に2200店舗以上(そのうち日本では約100店舗)とオンラインショップを運営している大企業です。
自社で企画、製造、販売を行っています。
ファストファッションというと生産コストを下げるために生産工場をアジアに集めていると思いきや、スペイン国内やヨーロッパ、その周辺のモロッコなどの工場も多く稼働しています。
さらに工場から一旦スペインに全て集めてから、世界各国の店舗の需要に合わせて出荷しているのだそう。
一見無駄の多いように見える物流ルートですが、現場の声をいち早く反映するための最適解だったのですね。
普段海外から発送されるものは"届くのが遅い"のが当たり前と思っているところがありますが、ZARAは本当に2日後くらいに届くのでかなり助かっています!
上記のことから、物流スピード(企画・生産から店頭に並ぶまでのスピード)がZARAの強みと言えます。
スピード感だけでなく、オンラインショップの送料無料に加え返品無料というサービスは、最初に知った時かなり衝撃的でした。
そんなZARAというブランドについてKnowns Bizではどのようなデータが並んでいるのでしょうか?
ZARAはどんな人が使っている?
デモクラ分析
知名度は約70%(ユニクロは驚異の96.9%)、好感度3.62(ユニクロ4)と
ファストファッションのジャンルで1位のユニクロと比べると少し下がりますが、満足度はユニクロと同率1位の78.2%と高い数値になっています。
知名度や好感度に関しては、デザイン性の高さや店舗のモードな雰囲気が理由で"利用しない人は利用しない”ことが影響していると思います。
またターゲットとしている層もユニクロの方がはるかに幅広いことも一つの要因でしょう。
顧客層はユニクロと比べるとZARAの方が女性の割合が高いことが分かります。
また20~30歳が全体の約6割を占めており、ユニクロより若い世代が多く利用していることが見えます。
派手すぎて田舎で着にくいと言うような趣旨の口コミを見かけて気になったので、居住地別のデータも見てみました。(↓)
認知率、好感率、購買経験率、現在購買率、次回購買率全てで関東圏の方が高く、年齢が上がれば上がるほどそれぞれの数値の差が大きくなっている傾向が見られました。
20代前半では認知率の差が2.9%なのに対し、50代前半では倍以上の8%となっています。
好感率もまた、少しずつですが年齢が上がるほど関東圏と全国では差が開いています。
このように、関東の店舗数が圧倒的に多いことも深く関係していると分析します。
サイコグラ分析
個人的価値には"自己愛強め"、”チャレンジャー”、”物欲旺盛”。
これらの項目から、着飾ることが好きで少し奇抜なものにも挑戦してファッションを楽しみ、お買い物が好きな人と分析できます。
消費的価値では、"オンリーワン消費"や"プレミアム消費"から人と被ることを好まない価値観が見受けられます。
ZARAでは個性的なデザインが多く、売り切れたら再販はないのでユニクロなどの他のファストファッションに比べると被りにくいと思います。
また、"トレンド・限定重視消費"からもファッションが好きな顧客が多いことが伺えます。
"ブランド消費"とありますが、ZARAはハイブランドのような雰囲気の服をそれよりはるかに手頃な値段で手に入れられるのも、メイン顧客の若い世代にとってはかなり魅力的なのではないでしょうか。
類似ブランドとの比較
近年はファストファッション市場はかなり成長していますが、その中でZARAの差別化とはどのように図られているのか。ここに注目して掘り下げてみましょう。
H&M
まず類似ブランドとして挙げたいのがH&Mです。
ZARAと同じように海外発のファッションブランドで、デザイン性があるのに価格帯が低く"おしゃれを楽しみたいが、安ければ購入する"ニーズを満たす点も共通しています。
顧客分布を比較すると20、30代の割合が少しずつZARAの方が高くなっています。
逆に40代前半ではH&Mのグラフが伸びているのが特徴的です。
ソシエタス分析ではZARAと多くの共通点が発見できます。
個人的価値:アウトドア派、自己愛強め、八方美人、都会派、チャレンジャーなど
消費的価値:ブランド消費、オンリーワン消費、ハラオチ型消費など
あがっている項目はほぼ同じと言えます。
目立った違いというと、H&Mではイノベーター消費がブランド消費が同じくらい高いことでしょうか。
これは、H&Mが若手ブランドや若手デザイナーとコラボをするため、一定数アンテナの高い顧客がいるためと考えます。
Forever21・TOPSHOP
Forever21やTOPSHOPもファストファッションブランドの日本上陸ブームを担った世界的ブランドですが、この2つは日本撤退に至った過去があります。
これについて考えられる理由としては"価格帯とクオリティのバランス"と"マーケティング"が挙げられます。
Forever21は値札を見てびっくりするほど安かったですが、縫製の雑さや生地のチープ感が気になりました。
また上記のリンクによると、アメリカのマーケティングを流用していたため日本にあった運営ができていなかったようです。
ZARAは国に合うマーケティングどころか店舗ごとに発注を受けているのでよりローカルの売れ筋が分析できているのが強いですよね。
TOPSHOPはZARAよりもさらにファッション性の高いエッジの効いた服を扱っていました。
ファストファッションと言いつつ価格帯はZARAよりも少し高く10,000円以上の商品も多くあったと記憶しています。
筆者はイギリスに留学していたのですが、メインストリートにすごく大きなTOPSHOPがありました。(イギリスのブランドで、本国でもかなり人気でいつも混んでいました)
日本より安く買えるし、店舗もかなり広くてオリジナル商品だけでなくセレクトも置いてあったりして、買い物をしている人たちもおしゃれな人が多くて。とにかくかなりテンションが上がったのを覚えています。
なぜテンションが上がったのか考えると、日本のTOPSHOPとのギャップだと思います。日本のTOPSHOPはもっと狭くて置いてあるものは限られていたし、もっと高かった。
日本のTOPSHOPで買い物をするときは、"この値段出すなら他にもありそう。"と思って買うのを悩んだことが多々ありました。
私のようにファッションが好きで、他のものより服にお金をかけたい人間でもそう感じていたということは、あまりマスに刺さらなかったことが容易に想像できます。
ZARAは価格とデザイン性や服のクオリティのバランス、そしてマーケティングのビジネス感覚に優れていて、それが日本でそして世界で成功している秘訣なのだと思います。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
どんなイメージを持たれているの?
Knowns Bizの分析によるとZARAのイメージは"かっこいい・イケてる"、"知的・クール"、"カリスマ性がある"など憧れ的な心理が読み取れる項目が多く入っている一方で、"カジュアル・プチリラックス"や"ベーシック・定番的"、"コスパ・経済性”など手が出しやすいイメージもあると示されています。
この相対するようなイメージの共存がZARAの一番の魅力なのではないかと感じます。
前述しましたがハイブランドのような高級感のあるアイテムがファストファッション価格で身につけられるのは唯一無二と言えるかも知れません。
(もちろん近くでよく見たらハイブランドのクオリティは素晴らしいですが、ZARAの高見えアイテムも侮れません!)
また、デザイン性のある服は基本的にお値段が張ることが多いですが、ZARAは0が一つ少ない!?くらいの価格で買えます。
トレンドを取り入れていつも違う服、違うスタイリングを楽しみたい人にとってはコスパ最強ブランドというわけです。
口コミにはおしゃれと言う単語がかなり頻繁に使われていました。
確かに、「おしゃれ番長」すごくわかる気がします。笑
誤解を恐れずに言うならば、イギリス英語のような"高飛車感”のある服の取り扱いが多いですよね笑
(実は筆者、イギリス英語とアメリカ英語の違い。と言うトピックで何時間も語れそうなくらいイギリスのポッシュな英語が好きなのです笑)
イメージ類似ブランドのランキングでは軒並みハンサムなイメージ(黒や白、パキッとした色のイメージがある)のブランドが並んでいます。
これは、モードな服を扱っているイメージに加え、ロゴや店内の雰囲気から受けるイメージも少なからず関係していると考えます。
実際はいろいろな系統があって、モードなラインは確かに高飛車感があるのですが、リゾート感の漂う服たちはSATCのアブダビ回(撮影地はモロッコと言われていますが)でキャシーたちが着て来ていたようなハイブランド服に似たような雰囲気がありますし、ストリートっぽい服も、子供服も、とにかく幅広いタイプのファッションを提案してくれています。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
最近のZARAに思うこと
ZARAを長年愛用している身として最近感じていることがあります。それは、近年ZARAが子供服とビューティに力を入れているということです。
そしてここ3年ほどの間にどんどん人気も上がっているということ。
ZARAは大きなSALEを1年に2回開催しているんです。
これがまたすごくて、最大80%割引。ほぼ全てが40%割引以上です。
もうこの時期以外ZARAで買いたくなくなる程安くなるので、セールの日程が発表されたらされたら一生アプリ内を行ったり来たりしてひたすらかーとに入れます。
文字通り、爆買いです。笑
今年長女が4歳になるので、生まれる前からZARAを見漁っていた4年前より、子供服のアイテムもかなり増えていますし、セール時の争奪戦もめちゃくちゃ過酷になっています。
買うものを吟味してカートを完成させておいて、セール開始の5分前くらいからスタンバってせーので購入ボタンを押すんですが、半分くらいスピード対決に敗れて売り切れてしまうこともあります。
子供服戦争がそんなに白熱しているなんて、みなさん知らないですよね?私だってどんどん買いにくくなって驚いているんです。
なので本当はここでお勧めするのも迷ったのですが、、、笑
子供服じゃなくて大人の服もセール時期はかなりお得なので、有益な情報はシェアしなければ!とカタカタとキーボードを打っております!
そしてさらに驚きなのが、セール品も返品可能且つ返品無料ということです。着てみたら違った、、という絶望感を回避できるんです!
オンライン購入の唯一の?懸念点を完全に解消しており、もう使わない手はないなと。
どうでしょう。この情報は潜在顧客の38.2%の方々に響くでしょうか?まだ足りないですか??笑
ではもう一つ。ビューティー系の商品の充実についてです。
2年ほど前、気づいたらアプリにBEAUTYのページができていました。その後どんどんプロダクトが増えて、今ではベースメイク、リップ、シャドウ、マスカラからブラシやスポンジまで幅広く販売しています。
Knowns Bizで見られるイメージ類似ブランドのランキングでは、アパレルブランドだけでなく多くのメイクブランドがランクインしています。
ZARAと似ているファストファッションブランドとして前述したH&Mと比較すると、どれだけビューティー系のイメージがついているかわかると思います。
他社との差別化という意味では一歩大きくリードしているのではないでしょうか。
ファッションの方にも言えることですが、ZARAのオンラインショップに並んでいるビジュアルがどれもハイセンスで私はみているだけでも楽しいです。スタイリング写真や物撮り、どれをとってもプロの仕事という感じがします。
(ファッション写真については後の「筆者のひとこと」で語りたいと思うのでお時間ある方はお付き合いください。笑)
どうでしょうか。私の熱量伝わりましたでしょうか?笑
ZARAオンライン、ぜひ覗いてみてください!
(回し者ではありません!)
まとめ
そんなZARAの顧客特性をまとめます。
ファストファッションのジャンルでは知名度は高い方ではないがそれでも約70%を獲得している。
満足度はジャンル内1位
全国的にみると顧客は20~30代の割合が高い
関東は店舗数が多く認知率や高倍率が他の地域に比べると高い
デザイン性のあるファッションを楽しむおしゃれ好きの顧客が多い
クールやカリスマといった"かっこいい"イメージが強い一方でカジュアルやコスパといった親近感の湧くイメージも共存している
店舗ごとに仕入れる商品とその数を決めているため、ローカルマーケティングが十分に反映されている
価格帯とデザイン性、クオリティのバランスが取れている
ZARAはファストファッションの中の他のブランドと比べると価格帯が高いですが、その分デザイン性や物流スピードの充実、送料・返品無料などのサービスを提供していることがわかりました。
現場の売れ筋やオンラインでの購入にスピード感を持って対応できるように、あえて物流にコストをかけ、土地にあったマーケティングを運用していることがZARAの経営力だと感じました。
筆者のひとこと
アパレルブランドのオンラインサイトって、商品単体の物撮りか、スタジオでシンプルな背景の撮影をしているものが多いと思います。
これはこれで商品の見やすさだったり比較しやすくていい点もたくさんあることは理解した上でここから話したいのですが、、、
ZARAの写真はスタイリングもこだわっていて、小物やセットに凝っているもの、さらにはロケに出ているものもあります。
雑誌を見ているような感覚があり、買い物をしているつもりがいつの間にかインプット作業をしているような気さえしてくるんです。
9月のキッズラインは学校が再開するのでBACK TO SCHOOLというコンセプトでした。
アート感漂うトンネル?のような子供の探検心を駆り立てるようなロケ地で撮影したり、定規的なアイテムを使ったり。服は無地で統一し少し秋を感じる落ち着いたトーン。スニーカーを合わせて登校スタイルを提案しています。
レディースラインでは、リラックス感のあるイメージ且つ都会的な雰囲気も残した終夏、初秋スタイルのビジュアルが載っていました。
海と街の対比がホリデーとその終わりを表現しているようで少しセンチメンタルな印象を受けます。
また、映画公開に伴いバービーとコラボ商品を出したためそのコレクションを用いてバービーの世界観を表現した広告クリエーションも出ていました。
(これとは別に、商品の物撮り写真もあります!)
かなり作り込んだ世界観です。いったい幾つのプロジェクトを、幾つのチームが並行して動き作っているのだろう、、
やはり世界規模のブランドともなると、関わっている人数の規模も違うなと思わせられます。
元スタイリストとしては、新商品がどんどん出る中でロケ撮影となると持っていく荷物もすごい量だし、物撮りも何十時間もかかるし、スタイリングを何百体も組んでいるんだろうなというのが手に取るようにわかるので(もちろんスタイリストも何人もいるのでしょうけど!)睡眠不足と筋肉痛と汗だくの姿が浮かびます、、、
プロデューサー、スタイリスト、アシスタント、モデル、フォトグラファー、ヘアメさん等々撮影に関わる全ての人にリスペクトを送りたいです。笑
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